坊ちゃんと執事の日々のお話

紫雲もか

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3章

3話 計画を立てます

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それから,お祭り当日までの月日は長いようで短かった。
「早く,早く」
手招きをして,僕とメアリさんを急かす。
「わかりましたから…」
「もう,坊ちゃんは…」
それぞれ,呟いて坊ちゃんの方へ向かう。
すでに向かっている途中で坊ちゃんは馬車に乗り込んでいた。
「こんなお出かけ初めてなんですよね。私,だからすごく楽しみです」
僕は,メアリさんの過去を知らない。メアリさんがどんな人生を歩んできたのか,ふと気になってしまう。
「そうなんですか?僕も小さい頃に行ったきりなので楽しみです」
「そうですね。ですが,レオさんはあまり無理をなさらないでくださいね。旦那様にそのことだけは毎回言われているので…」
「もちろんそうさせていただきます」
今日は,今回はメアリさんに甘えれるところは甘えようと考えていた。メアリさんと坊ちゃんの方が今日のこととっても楽しみにしていたから。
そうして,坊ちゃんの方へと向かう。
「ねぇ,2人とも何話していたの?遅いよ…。早く行きたかったのに…」
「大丈夫ですよ。まだまだ,パレードには時間がありますから…」
僕がそういうと,坊ちゃんは顔を膨らませてる。
「違う。パレードまでの時間でたくさん回りたいって思っているの」
「そうですね。思いっきり,楽しみましょう」
メアリさんは坊ちゃんをなだめる。
「いいから,早く行こうよ」
僕とメアリさんは腕を引っ張られて,馬車に乗せらる。
僕は坊ちゃんの隣で,メアリさんは坊ちゃんの前に座った。
「ところで,坊ちゃん何をしたいんですか?」
あれだけ楽しみにしていたことは知っていたけれど,結局今日までの間忙しくて聞けていなかった。
「すごくしたいことは,パレード見る以外にはないんだけど,楽しみたいの」 
「それは…」
「うふっ,坊ちゃんそれなら私と一緒に何をするか考えませんか?」
メアリさんはそう言って,今回の祭りで何があるかを書いてあるものを鞄の中出してきた。そうして坊ちゃんと計画?立てていく。
それを見ていると,どこか懐かしく思えてきた。自分もこんなふうに兄と一緒にパレードを見に行ったことがあったから。
「ねぇ,レオ,レオは何かしたいとかないの?」
「そうですよ。レオさんは何かないのですか?」 
計画を楽しそうに立てている2人が急にこちらを向いて言う。
「そうですね…。私もパレード以外見たいものもしたいこともないのです。ですから,お2人の行動に会わさせていただきます。それではダメですか?」
「別に,ダメじゃないけど,僕たちがそれでいいのかな?って思ったから。本当にいいの?」
「いいですよ。気にしません」
僕は計画を立てると言うよりも立てられた計画に沿って行動する方が楽だと思っているのでさほどに気にはならないし,むしろ立ててくれとすら思う。そっちの方が行動しやすいと思っているから。
「レオ…ついたね」
馬車の窓から見える景色は,一段と賑わっているように見える。お祭りはこうでなくてはと高揚感も感じた。
「そうですね…。ところで最初は何をするつもりなんですか?」
「まずは,食べ物。食べたい」
「いいですね…ではおりましょうか?」
馬車もちょうど止まったので,僕は先に降りる。メアリさんと坊ちゃんが降りる時に,危なくないように。
「坊ちゃん,お手をどうぞ」
「ありがとう…ってすごいね。こんなに賑やかなところ初めて…」
あたりを見渡し,目をキラキラとさせている。
「今日はお祭りだから余計に賑わっていますね」
「ほんとうにお祭りってみんな楽しいんだね」
「そうですね。私も楽しかった思い出がありありと思い出しましたよ。ですから,坊ちゃんもほどほどにですが楽しんでくださいね。せっかく年に一回のお祭りを」
「うん。そのつもり。ね,メアリ」
坊ちゃんはメアリさんの方を見上げてそう聞いた。
「はい,もちろんです。それで,もう最初の目的地行きますか?」
「うん。早く行きたい」
メアリさんと坊ちゃんは楽しそうにそう話す。
「ところで,最初はどこにいくんですか?」
僕は,2人にそう聞いた。
「それは,着いてからのお楽しみでもいい?」
「そうですね。特に隠すこととかないですが,なんかそっちの方がワクワクしませんか?」
2人にそう言われて黙ってついていくことにした。
そうして,坊ちゃんが先頭をきって,歩こうとする。
「坊ちゃん,お一人で歩かれるのは迷子になる可能性もございます。ですから,手を繋いで行くのはどうですか?」
これは,メアリさんと決めていたこと。何かあるといけないから。
「僕,そんなに僕が迷子になりそう?」
坊ちゃんは,嫌な顔をして聞いてくる。すでに,11歳そんなに幼い年齢でもない。手を繋ぐとか嫌なんだろうなと思う。“これはどうしよう…”そう考えているとメアリさんの声が聞こえる。
「違いますよ。私たちは,坊ちゃんと一緒に回りたいと思っているのに,はぐれてしまっては一緒に回れなくなると思ったのです」
メアリさんは起点を聞かせてそう言った。さすがだなと思う。
「それでも嫌ですか?」
改めて坊ちゃんに尋ねた。
「それは,別に嫌じゃない。それなら,むしろ繋ぐ」
坊ちゃんは,僕の手を取って,自分の手と絡めてしっかりと繋ぐ。
「これで,離れることないね」
ニコニコの笑顔でこちらを見上げる。
「そうですね。離れることありませんね」
「うん,だね」
そうして,歩き始めようとすると,隣からメアリさん言う。
「ちょっと,坊ちゃん。私の手は握ってくれないのですか?」
「ごめん,メアリともちゃんと手繋ぐから」
メアリさんの手もしっかりと結ぶと僕たちは最初の目的地に歩き始めた。
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