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2章
7話 どうにかしなければ…
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「おはようございます」
いつもと同じように,坊ちゃんを起こしに来る。
坊ちゃんは気持ちよさそうにすやすやとベッドで眠っている。けれど,最近は,あまり体調が良さそうではない。
坊ちゃんはもともと欲求が強い方ではないけれど,この歳でダイナミクスに気づいてしまったこともあって薬が合わないらしく飲んでないことも多いようだった。
それに加えて最近では,目で見てわかるような,体調不良が出てきてしまっている。例えば,目の下にクマができて寝れていないと言ったようなものである。
心配しても僕にはどうすることもできない。
与えられたことを受け取ることしかできないから。それでも,どうにかしなければならないと思う。坊ちゃんのためにも僕のためにも。
正直,僕も最近体調が良くない。もともと薬の効き目が悪いタイプではなかったけれど,色々あったせいで薬では抑えられなくなっている部分も出てきてしまっていた。
家にいた時はたまに兄が軽い命令を使って消化させてくれていた。けれど,今はそんなことできるはずもなく溜まっていくばかりのように思う。
(坊ちゃんが,何か言ってくれれば,何か使ってくれれば…)
そう願っては,無理だろうと毎度諦める。これが最近の僕の悩みであり日課となっている。
「坊ちゃん…」
ベッド脇まで行って呟いた。
「…ん?レオ,おはよう」
ピクッと身体が動き坊ちゃんは起き上がる。
最近では僕の声で起きれるようになったらしく,わざわざ身体に触れて起こす必要がなくなった。
「着替えにいたしましょうね…」
“体調がよくありませんよ”とか“よかったら欲求解消するためにプレイしませんか?”とか言いたいけれど,今は口が裂けても言えないなと思う。言いたいと思っても自分から聞くまでは何にも言わないと僕が豪語してしまっているから。どうにか,軽いプレイでもしないと…。
そんな想いがずっと頭の中で交差している。
そう考えているといつのまにか坊ちゃんは着替えを終えていた。
寝ぼけていても着替えはできるようになったのかと変なところで関心をしてしまう。
「レオ…今日は,ピアノの日?」
着替えを終えて部屋を出ようとした時に聞かれる。
「そうですね。今日はピアノの日です。頑張りましょう」
あの日から僕と坊ちゃんは定期的に練習をするようになった。
他にも,最近では他の習い事も一緒に復習をするようにもなっている。特に,マナーに関してはよく練習をする。これは,社会に出て必ずと言っていいほど必要なものになるから。
「レオは,僕と一緒にいて楽しい?」
ダイニングへと向かう途中,ふとそんなことを坊ちゃんが言い始めた。
「そうですね…楽しいですよ。それよりどうしたのですか?」
急に言われたので,僕は不安になった。僕が何か坊ちゃんを不安にさせたのではないかそんなふうに思ったから。
だから,一旦止まって坊ちゃんと目線を合わせて尋ねた。
「別に,何かあったわけではないんだけど…最近レオ,僕といるといつもどこか上の空に見えるから…僕なんかしたのかなって…」
「なるほど…それは…」
原因は当たり前のようにわかる。最近,確かに坊ちゃんを見ると違うことばかり考えてしまっているから。
「それは,坊ちゃんの体調がだんだんと悪くなっていっているのを見るのが嫌だなと思って…」
言いたくないと思いながら仕方なく言葉にした。
「レオ…僕は…」
明らかに声のトーンが下がり,僕の方を睨んでいるようにすら見える。
「…申し訳ございません。嫌でしたよね…」
「確かに,嫌だった。僕は,プレイをやりたくはないと思ったから…。話を聞いて…でも,レオがそのことで頭を悩まされているのも嫌だ…どうすればいい?」
僕に全てを委ねてくる。
「…それじゃあ,僕と一緒に一回プレイをやるというのはどうですか?」
僕は少し考えて,思い切って言ってみる。これしか出てこなかったから。
自分だって,プレイが好きなわけじゃない。それでも…。
「…レオは,嫌じゃないの?僕とするの」
そう聞かれて,ドキッとする。けれど,不思議と不安な気持ちは全くなかった。むしろ,坊ちゃんのために何かできるのならと思うほどだった。
「はい,嫌じゃないですよ。坊ちゃんとなら,大丈夫な気がします」
「ほんと?」
「はい,もちろんです」
「…わかった…じゃあ,どうすればいい?」
真剣な瞳で僕に尋ねてくる。まるでそれは,どこといえぬ恐怖すら伴っているように見えた。
「えっと…では,本日私がお部屋に伺います。それまでにどうするか考えておくので今日は普通に過ごしておいてください」
「わかった」
坊ちゃんはそう言って,朝食を食べにいってしまう。
(さて,どうしよう…)
自分で言っておきながら,何にも考えてなどいなかった。むしろ,嫌だと言われるとすら思っていたので,こんなことになるなんて夢にも思わなかった。
いつもと同じように,坊ちゃんを起こしに来る。
坊ちゃんは気持ちよさそうにすやすやとベッドで眠っている。けれど,最近は,あまり体調が良さそうではない。
坊ちゃんはもともと欲求が強い方ではないけれど,この歳でダイナミクスに気づいてしまったこともあって薬が合わないらしく飲んでないことも多いようだった。
それに加えて最近では,目で見てわかるような,体調不良が出てきてしまっている。例えば,目の下にクマができて寝れていないと言ったようなものである。
心配しても僕にはどうすることもできない。
与えられたことを受け取ることしかできないから。それでも,どうにかしなければならないと思う。坊ちゃんのためにも僕のためにも。
正直,僕も最近体調が良くない。もともと薬の効き目が悪いタイプではなかったけれど,色々あったせいで薬では抑えられなくなっている部分も出てきてしまっていた。
家にいた時はたまに兄が軽い命令を使って消化させてくれていた。けれど,今はそんなことできるはずもなく溜まっていくばかりのように思う。
(坊ちゃんが,何か言ってくれれば,何か使ってくれれば…)
そう願っては,無理だろうと毎度諦める。これが最近の僕の悩みであり日課となっている。
「坊ちゃん…」
ベッド脇まで行って呟いた。
「…ん?レオ,おはよう」
ピクッと身体が動き坊ちゃんは起き上がる。
最近では僕の声で起きれるようになったらしく,わざわざ身体に触れて起こす必要がなくなった。
「着替えにいたしましょうね…」
“体調がよくありませんよ”とか“よかったら欲求解消するためにプレイしませんか?”とか言いたいけれど,今は口が裂けても言えないなと思う。言いたいと思っても自分から聞くまでは何にも言わないと僕が豪語してしまっているから。どうにか,軽いプレイでもしないと…。
そんな想いがずっと頭の中で交差している。
そう考えているといつのまにか坊ちゃんは着替えを終えていた。
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着替えを終えて部屋を出ようとした時に聞かれる。
「そうですね。今日はピアノの日です。頑張りましょう」
あの日から僕と坊ちゃんは定期的に練習をするようになった。
他にも,最近では他の習い事も一緒に復習をするようにもなっている。特に,マナーに関してはよく練習をする。これは,社会に出て必ずと言っていいほど必要なものになるから。
「レオは,僕と一緒にいて楽しい?」
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「そうですね…楽しいですよ。それよりどうしたのですか?」
急に言われたので,僕は不安になった。僕が何か坊ちゃんを不安にさせたのではないかそんなふうに思ったから。
だから,一旦止まって坊ちゃんと目線を合わせて尋ねた。
「別に,何かあったわけではないんだけど…最近レオ,僕といるといつもどこか上の空に見えるから…僕なんかしたのかなって…」
「なるほど…それは…」
原因は当たり前のようにわかる。最近,確かに坊ちゃんを見ると違うことばかり考えてしまっているから。
「それは,坊ちゃんの体調がだんだんと悪くなっていっているのを見るのが嫌だなと思って…」
言いたくないと思いながら仕方なく言葉にした。
「レオ…僕は…」
明らかに声のトーンが下がり,僕の方を睨んでいるようにすら見える。
「…申し訳ございません。嫌でしたよね…」
「確かに,嫌だった。僕は,プレイをやりたくはないと思ったから…。話を聞いて…でも,レオがそのことで頭を悩まされているのも嫌だ…どうすればいい?」
僕に全てを委ねてくる。
「…それじゃあ,僕と一緒に一回プレイをやるというのはどうですか?」
僕は少し考えて,思い切って言ってみる。これしか出てこなかったから。
自分だって,プレイが好きなわけじゃない。それでも…。
「…レオは,嫌じゃないの?僕とするの」
そう聞かれて,ドキッとする。けれど,不思議と不安な気持ちは全くなかった。むしろ,坊ちゃんのために何かできるのならと思うほどだった。
「はい,嫌じゃないですよ。坊ちゃんとなら,大丈夫な気がします」
「ほんと?」
「はい,もちろんです」
「…わかった…じゃあ,どうすればいい?」
真剣な瞳で僕に尋ねてくる。まるでそれは,どこといえぬ恐怖すら伴っているように見えた。
「えっと…では,本日私がお部屋に伺います。それまでにどうするか考えておくので今日は普通に過ごしておいてください」
「わかった」
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