19 / 73
3章
2 話 楽しみですね
しおりを挟む
坊ちゃんに早速,明日言わないといけないなと思う。流石に今日は夜ももう遅く,すでに眠ってしまっている頃だった。
きっと,坊ちゃんは喜んでくれるだろうな…。それから、メアリさんにも旦那様から連絡が行くだろうから,どうするか話し合わないと…。
「あ,レオさん」
後ろから声がかけられた。
「はい。どうかしましたか?」
声のする方へ振り返る。
そこには,急いで走ってきたであろうメアリさんがいた。
「あ,あの,パレード一緒に行くってほんとですか?」
早速,旦那様から聞いたらしい。行動するのが早い方だなと思う。
「は…い…やっぱり嫌でしたか?」
メアリさんに何にも言わないで決めてしまったから,申し訳なくなって聞いた。
「違います。むしろありがたいです。だから,お礼をと思って…」
「いやこちらこそありがとうございます。僕もメアリさんと行けるのすごく安心しました。僕と坊ちゃんでは心もとなかったので…。だから,本当にありがとうございます」
「いえ,いいんですよ。私はむしろ,行けないと諦めていたので行けるだけで嬉しいです」
メアリさんもよほど行きたいと思っていたんだろうなと思う。何よりも嬉しそうにそう話しているから。
なら,僕は行く必要があるのかな…?そんな考えが浮かんだ。
「それで,どうしますか?」
「そうですね。まあ,一緒に行動するだけなので,その場で決めるのはどうですか?」
ニコニコの笑顔と共に僕の前に立って言う。
「それもそうですね。何となく,不安になって…」
メアリさんは,僕の過去を知っているのかわからない。だから,メアリさんにはちゃんと自分の思っていることを言っておかなければならないと感じた。
「そうですよね。不安になりますよね…?まあ,でも坊ちゃんとお出かけは誰でもそうなりますよ」
「…そう言うものですか?」
「はい,私も不安はありますから…。ですが,楽しむ気満々です。だから,レオさんも思いっきり楽しみましょうね」
メアリさんは僕を元気づけるようにそう話す。
「そうですね。せっかくのお出かけ…楽しまないとですね」
「そうですよ」
「わかってます。メアリさんの方こそ,楽しみにしすぎて,風邪とか引かないようにしてくださいね」
「もちろんですよ…ってもう遅い時間ですね。失礼します。おやすみなさい。レオさん」
メアリさんは時間をみるなりそう言って,自分の部屋へと向かった。
「…おやすみなさい。メアリさん」
僕もそう言って,自分の部屋へと向かいベッドの中に入る。
ここにきて一年。さすがにここの部屋で寝ることや日々の生活に慣れてきている。それが,どこか嬉しいようで虚しく感じてしまう。
期限付きだからだろうか…?そんなことをふと考えてしまう。
“いやいや,それよりもパレードどうするか考えないと…”
そう言い聞かせて,眠りに入った。
「坊ちゃん,おはようございます」
寝起きではない坊ちゃんに挨拶をする。
「おはよう,レオ」
ここ一年で坊ちゃんは僕が起こしにこなくても最近はどうにか起きれるようになっていた。着替えはまだまだだけれども…。
まあ,僕に向かって“おはよう”というその表情だけは1年前と全く変わっていないから,まだまだ幼さを感じさせてくれる。
「おはようございます」
「うん…そういえばなんだけど,お父様に聞いてくれた?」
僕の前にきて,そわそわしてながら聞いてくる。よほど楽しみにしていたんだろうなと思った。
「はい,ちゃんと聞いてきましたよ」
「えっ…ほんと⁉︎てっきりレオ聞いてくれないと思ってた」
驚いた表情をしつつも嬉しそうだった。
ちなみに僕はそんなに聞きたくなさそうにしていたのかと恥ずかしくならずにはいられなかった。
「それは…あそこまで坊ちゃんに言われたから…」
「うふっ,そっか。レオもそんなふうに考えていたんだ。知らなかった」
「考えますよ。だって…」
それ以上は興味がないのか、言葉を遮られた。
「それより、どうだった?」
ニコニコの笑顔と共に話す。
「どうだったと思いますか?」
「知らないから、早く教えてよ」
ズボンの裾を引っ張り,聞かれる。
「教えて欲しいですか?」
ここまで楽しそうにしていると,どこか焦らしたくなってしまった。
「…早く,教えて欲しい」
裾を何回も引っ張りそう急かした。
「仕方ないですね…」
「仕方なくない」
頬に空気を含ませて言う。
「そうですね。旦那様は…」
「お父様は?」
「行ってもいいとおっしゃっておりましたよ」
僕がそう話すと、身体全体で嬉しそうにしていた。
「やった~。すごく嬉しい。レオと出かけることができるの」
「行けるのがではなく、私と行けるのが嬉しいのですか?」
てっきり,行けることが嬉しくてそんなにはしゃいでいるのだと思っていた。というか,ほとんどの人はそう考えるはず…。
「うん。レオとお出かけが初めてで,嬉しいの」
何の気なしにそう話す。けれど,僕にとってはそう思ってもらえることが何よりも嬉しかった。僕に心を開いてくれていることが。
「私も嬉しいですよ」
「それで,どんな服装で行けばいいのかな?僕ね,お祭りやパレード行ったことないんだ。それに,街にも行けたことないんだ…。身体も弱かったし,それに危険だからって理由で」
意外だった。坊ちゃんが街に対してある意味憧れのようなものをもっていることが。それなのに,僕と一緒に行ける方が優っているのは余計に嬉しいことだったりする。
それでも,僕にとって街はすごく嫌な思い出のある場所でもある。なんか,申し訳ないなと思う。こんなに喜んでもらえているから余計に。
「なら,今回は思いっきり楽しみましょうね。旦那様と兄さんが出るパレードもありますから」
「うん。そのつもり」
元気よく返事をした。こんな笑顔を見れるなんて思ってなかったから,ちゃんと旦那様に話してよかったなと思う。
「あ,一ついい忘れておりました」
「何を言い忘れてたの?」
「2人きりじゃなくて,メアリさんも一緒にいくと言うことです」
「そうなの?メアリも一緒に行けるの?」
これまた笑顔で嬉しそうに言った。
きっと,坊ちゃんは喜んでくれるだろうな…。それから、メアリさんにも旦那様から連絡が行くだろうから,どうするか話し合わないと…。
「あ,レオさん」
後ろから声がかけられた。
「はい。どうかしましたか?」
声のする方へ振り返る。
そこには,急いで走ってきたであろうメアリさんがいた。
「あ,あの,パレード一緒に行くってほんとですか?」
早速,旦那様から聞いたらしい。行動するのが早い方だなと思う。
「は…い…やっぱり嫌でしたか?」
メアリさんに何にも言わないで決めてしまったから,申し訳なくなって聞いた。
「違います。むしろありがたいです。だから,お礼をと思って…」
「いやこちらこそありがとうございます。僕もメアリさんと行けるのすごく安心しました。僕と坊ちゃんでは心もとなかったので…。だから,本当にありがとうございます」
「いえ,いいんですよ。私はむしろ,行けないと諦めていたので行けるだけで嬉しいです」
メアリさんもよほど行きたいと思っていたんだろうなと思う。何よりも嬉しそうにそう話しているから。
なら,僕は行く必要があるのかな…?そんな考えが浮かんだ。
「それで,どうしますか?」
「そうですね。まあ,一緒に行動するだけなので,その場で決めるのはどうですか?」
ニコニコの笑顔と共に僕の前に立って言う。
「それもそうですね。何となく,不安になって…」
メアリさんは,僕の過去を知っているのかわからない。だから,メアリさんにはちゃんと自分の思っていることを言っておかなければならないと感じた。
「そうですよね。不安になりますよね…?まあ,でも坊ちゃんとお出かけは誰でもそうなりますよ」
「…そう言うものですか?」
「はい,私も不安はありますから…。ですが,楽しむ気満々です。だから,レオさんも思いっきり楽しみましょうね」
メアリさんは僕を元気づけるようにそう話す。
「そうですね。せっかくのお出かけ…楽しまないとですね」
「そうですよ」
「わかってます。メアリさんの方こそ,楽しみにしすぎて,風邪とか引かないようにしてくださいね」
「もちろんですよ…ってもう遅い時間ですね。失礼します。おやすみなさい。レオさん」
メアリさんは時間をみるなりそう言って,自分の部屋へと向かった。
「…おやすみなさい。メアリさん」
僕もそう言って,自分の部屋へと向かいベッドの中に入る。
ここにきて一年。さすがにここの部屋で寝ることや日々の生活に慣れてきている。それが,どこか嬉しいようで虚しく感じてしまう。
期限付きだからだろうか…?そんなことをふと考えてしまう。
“いやいや,それよりもパレードどうするか考えないと…”
そう言い聞かせて,眠りに入った。
「坊ちゃん,おはようございます」
寝起きではない坊ちゃんに挨拶をする。
「おはよう,レオ」
ここ一年で坊ちゃんは僕が起こしにこなくても最近はどうにか起きれるようになっていた。着替えはまだまだだけれども…。
まあ,僕に向かって“おはよう”というその表情だけは1年前と全く変わっていないから,まだまだ幼さを感じさせてくれる。
「おはようございます」
「うん…そういえばなんだけど,お父様に聞いてくれた?」
僕の前にきて,そわそわしてながら聞いてくる。よほど楽しみにしていたんだろうなと思った。
「はい,ちゃんと聞いてきましたよ」
「えっ…ほんと⁉︎てっきりレオ聞いてくれないと思ってた」
驚いた表情をしつつも嬉しそうだった。
ちなみに僕はそんなに聞きたくなさそうにしていたのかと恥ずかしくならずにはいられなかった。
「それは…あそこまで坊ちゃんに言われたから…」
「うふっ,そっか。レオもそんなふうに考えていたんだ。知らなかった」
「考えますよ。だって…」
それ以上は興味がないのか、言葉を遮られた。
「それより、どうだった?」
ニコニコの笑顔と共に話す。
「どうだったと思いますか?」
「知らないから、早く教えてよ」
ズボンの裾を引っ張り,聞かれる。
「教えて欲しいですか?」
ここまで楽しそうにしていると,どこか焦らしたくなってしまった。
「…早く,教えて欲しい」
裾を何回も引っ張りそう急かした。
「仕方ないですね…」
「仕方なくない」
頬に空気を含ませて言う。
「そうですね。旦那様は…」
「お父様は?」
「行ってもいいとおっしゃっておりましたよ」
僕がそう話すと、身体全体で嬉しそうにしていた。
「やった~。すごく嬉しい。レオと出かけることができるの」
「行けるのがではなく、私と行けるのが嬉しいのですか?」
てっきり,行けることが嬉しくてそんなにはしゃいでいるのだと思っていた。というか,ほとんどの人はそう考えるはず…。
「うん。レオとお出かけが初めてで,嬉しいの」
何の気なしにそう話す。けれど,僕にとってはそう思ってもらえることが何よりも嬉しかった。僕に心を開いてくれていることが。
「私も嬉しいですよ」
「それで,どんな服装で行けばいいのかな?僕ね,お祭りやパレード行ったことないんだ。それに,街にも行けたことないんだ…。身体も弱かったし,それに危険だからって理由で」
意外だった。坊ちゃんが街に対してある意味憧れのようなものをもっていることが。それなのに,僕と一緒に行ける方が優っているのは余計に嬉しいことだったりする。
それでも,僕にとって街はすごく嫌な思い出のある場所でもある。なんか,申し訳ないなと思う。こんなに喜んでもらえているから余計に。
「なら,今回は思いっきり楽しみましょうね。旦那様と兄さんが出るパレードもありますから」
「うん。そのつもり」
元気よく返事をした。こんな笑顔を見れるなんて思ってなかったから,ちゃんと旦那様に話してよかったなと思う。
「あ,一ついい忘れておりました」
「何を言い忘れてたの?」
「2人きりじゃなくて,メアリさんも一緒にいくと言うことです」
「そうなの?メアリも一緒に行けるの?」
これまた笑顔で嬉しそうに言った。
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説


男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。


塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる