24 / 73
3章
7話 お守りします
しおりを挟む
「坊ちゃん怪我などは大丈夫でしょうか?」
坊ちゃんを見つけるとすぐに坊ちゃんの方まで駆け寄った。そして,僕は坊ちゃんの身体を抱え込み誰も近づけないようにする。
「僕は大丈夫。見つけてくれてありがと」
「よかった……」
安心して緊張感が少し和らいだ。
「本当にごめん…なさい」
よほど怖かったのか今にも泣きそうだった。
「いえ,私が目を離したのがいけないのです」
「気にしないで,レオは悪くない。僕が勝手に人についていったから…」
「それは,あとで話しましょう。ですから…」
それ以上喋ろうとした時,大きい声が聞こえてくる。
「おい,何やってんだよ」
襲ってきた人たちのボスみたいな人がやってきて怒鳴り散らしていた。
「す,すいません」
今までの人とは,どこか違くて嫌な予感がする。
僕には到底どうにかできないようなそんな予感が。
「ほんとだよ。せっかく,金取れる機会なんだから,手こずるんじゃねぇって言ったの聞いてなかったのか?」
こちらを見向きもしないで怒鳴っているので,どうにかその隙に逃げようとした。
「お逃げください。今なら反対側から逃げることが可能です」
「でも…」
「いいのです。坊ちゃんは助けをお呼びください」
どうにか坊ちゃんだけでも逃げることは可能だと思った。僕が縦になればいいのだから。
「おい,動くな』
後ろに目でもついているのか,そう声に出された。
「えっ…」
嫌な予感があたり僕は,その場から動けなくなって、座り込む。
「レオ,どうしたの?」
「そ,その,あの人…Domみたいで…」
急に命令を使われるとやはり驚き,昔を思い出してしまう。
「だ,大丈夫?」
坊ちゃんは恐怖でなのか声が震えている。
「どう,にか…」
不安にさせないようにどうにか体裁を保てと脳が言っているので、笑顔で応える。
それにこんなところで倒れたら坊ちゃんが連れ去られてしまう。そんな失態できない。
それにメアリさんも,もうすぐ来てくれるだろうし…。
「おいおい,こいつSubなのか?ならちょうどいいな…」
僕に気づいたのかニヤニヤと何かを企んでこちらへとやってくる。
僕は今から起きるであろうことを想像するだけで,怖くなる。怖くて,身体が動かなくなる。
でも…。
「レオ,大丈夫.僕がいるから…。僕の声だけに集中して…」
鋭く僕の耳に響いた。いつも僕に優しく囁くように命令を言う坊ちゃんの声が。
「ぼ,坊ちゃん…」
頭がふわふわとして身体は動かなかったのに,その声によって僕の頭が鋭く冴え,身体も幾分も楽になった。
「レオ,大丈夫だから。僕がいるから…だから,だからお願い…」
もう一声で,気持ち悪いのが和らいで身体も動かしやすくなった。
勇気を出して,僕に言ってくれているのだろう。やはり声も小さな身体も震えている。
「はい…。そんな不安そうな顔しないでください…」
こんな悲しそうな顔も声も聞きたくない。
「…してない…。レオの方が辛そう…」
「坊ちゃん,大丈夫にいたしますから,まずはお逃げください」
「…嫌だ。こんなレオ置いて行けない」
「置いていってくださっていいのです。それより坊ちゃんに何かあった方が心配です…ですから…お願いです…」
「ん…わかった…レオ待っててね」
僕の必死さが伝わったのか素直に涙を堪えながら,坊ちゃんは反対側にかけて行った。
僕は,坊ちゃんを追いかけようとする人たちをどうにか引き止める。
人通りまで行ければどうにかなるだろうと思って…。
「行かせない。絶対に」
そう言いつつも,僕には体力は残っていない。久しぶりに動いたからだと思う。けど…坊ちゃんが見えなくなるまではと手に力を入れる。
「はぁ…」
“もう無理…力入らない…”
「ふっ,君もう動けないでしょ?」
「……っ」
核心をつかれてしまう。でも,こんな時くらいちゃんとしろよと自分に思う。
「やっぱり動けないんだ…」
ニコリと笑みを浮かべ,僕の腕を掴んだ。
振り払おうとして力を腕に入れようとする。
「ダメだ,stay」
「えっ…いや…」
坊ちゃんの声しか聞きたくないのに,嫌でも彼の声が聞こえてくる。耳を塞ぎたいのに塞げもしない。
「お前だけは逃さない。お前もどうせいい暮らししているんだろうしな…」
ぐいっと髪の毛を掴まれて顔を上げられる。僕はどうしようもなくなってしまう。
「…いや…だから,もう離して…お願い」
手で払いのけようとするけれど,身体はやはり動かなかった。
“なんで…なんで,僕の身体はこうなのだろう?”
悲しくなって,視界がぼやけて行く。
「おいおい,さっきの威勢はどうした?」
「……っ」
「まぁいい。連れて行くか?それとも,ここでやってしまうか?まぁどっちにしろどうせさっきの坊ちゃんの執事とかなんだろうしな…」
ぱっと頭から手が離されたと思ったら,すぐに周りにいた男たちに手が縛られ,目隠しをされる。
「いや…離しせって…」
視界が奪われて,どうしようもなくなる。身動きも取れずに何が起きているのか何をされるのかわからなくなって怖くて怖くて仕方がない。
「…ぅっ…もう…」
もう涙が溢れ出て,目隠しされた布に染み込んでいくことがわかる。
辛くてでも逃げれないと頭ではわかっているこの感じが,どうしようもなく過去を思い出してしまっていた。
「大丈夫。何にも考えなくてもいいようになるから…」
「そ,そんなのっ…んっ」
急に口の中に何かを詰められる。
「うるさい口は塞いでおかないといけないからな」
「んっは」
どうもがいても口に詰められたものが外されることはなかった。
坊ちゃんを見つけるとすぐに坊ちゃんの方まで駆け寄った。そして,僕は坊ちゃんの身体を抱え込み誰も近づけないようにする。
「僕は大丈夫。見つけてくれてありがと」
「よかった……」
安心して緊張感が少し和らいだ。
「本当にごめん…なさい」
よほど怖かったのか今にも泣きそうだった。
「いえ,私が目を離したのがいけないのです」
「気にしないで,レオは悪くない。僕が勝手に人についていったから…」
「それは,あとで話しましょう。ですから…」
それ以上喋ろうとした時,大きい声が聞こえてくる。
「おい,何やってんだよ」
襲ってきた人たちのボスみたいな人がやってきて怒鳴り散らしていた。
「す,すいません」
今までの人とは,どこか違くて嫌な予感がする。
僕には到底どうにかできないようなそんな予感が。
「ほんとだよ。せっかく,金取れる機会なんだから,手こずるんじゃねぇって言ったの聞いてなかったのか?」
こちらを見向きもしないで怒鳴っているので,どうにかその隙に逃げようとした。
「お逃げください。今なら反対側から逃げることが可能です」
「でも…」
「いいのです。坊ちゃんは助けをお呼びください」
どうにか坊ちゃんだけでも逃げることは可能だと思った。僕が縦になればいいのだから。
「おい,動くな』
後ろに目でもついているのか,そう声に出された。
「えっ…」
嫌な予感があたり僕は,その場から動けなくなって、座り込む。
「レオ,どうしたの?」
「そ,その,あの人…Domみたいで…」
急に命令を使われるとやはり驚き,昔を思い出してしまう。
「だ,大丈夫?」
坊ちゃんは恐怖でなのか声が震えている。
「どう,にか…」
不安にさせないようにどうにか体裁を保てと脳が言っているので、笑顔で応える。
それにこんなところで倒れたら坊ちゃんが連れ去られてしまう。そんな失態できない。
それにメアリさんも,もうすぐ来てくれるだろうし…。
「おいおい,こいつSubなのか?ならちょうどいいな…」
僕に気づいたのかニヤニヤと何かを企んでこちらへとやってくる。
僕は今から起きるであろうことを想像するだけで,怖くなる。怖くて,身体が動かなくなる。
でも…。
「レオ,大丈夫.僕がいるから…。僕の声だけに集中して…」
鋭く僕の耳に響いた。いつも僕に優しく囁くように命令を言う坊ちゃんの声が。
「ぼ,坊ちゃん…」
頭がふわふわとして身体は動かなかったのに,その声によって僕の頭が鋭く冴え,身体も幾分も楽になった。
「レオ,大丈夫だから。僕がいるから…だから,だからお願い…」
もう一声で,気持ち悪いのが和らいで身体も動かしやすくなった。
勇気を出して,僕に言ってくれているのだろう。やはり声も小さな身体も震えている。
「はい…。そんな不安そうな顔しないでください…」
こんな悲しそうな顔も声も聞きたくない。
「…してない…。レオの方が辛そう…」
「坊ちゃん,大丈夫にいたしますから,まずはお逃げください」
「…嫌だ。こんなレオ置いて行けない」
「置いていってくださっていいのです。それより坊ちゃんに何かあった方が心配です…ですから…お願いです…」
「ん…わかった…レオ待っててね」
僕の必死さが伝わったのか素直に涙を堪えながら,坊ちゃんは反対側にかけて行った。
僕は,坊ちゃんを追いかけようとする人たちをどうにか引き止める。
人通りまで行ければどうにかなるだろうと思って…。
「行かせない。絶対に」
そう言いつつも,僕には体力は残っていない。久しぶりに動いたからだと思う。けど…坊ちゃんが見えなくなるまではと手に力を入れる。
「はぁ…」
“もう無理…力入らない…”
「ふっ,君もう動けないでしょ?」
「……っ」
核心をつかれてしまう。でも,こんな時くらいちゃんとしろよと自分に思う。
「やっぱり動けないんだ…」
ニコリと笑みを浮かべ,僕の腕を掴んだ。
振り払おうとして力を腕に入れようとする。
「ダメだ,stay」
「えっ…いや…」
坊ちゃんの声しか聞きたくないのに,嫌でも彼の声が聞こえてくる。耳を塞ぎたいのに塞げもしない。
「お前だけは逃さない。お前もどうせいい暮らししているんだろうしな…」
ぐいっと髪の毛を掴まれて顔を上げられる。僕はどうしようもなくなってしまう。
「…いや…だから,もう離して…お願い」
手で払いのけようとするけれど,身体はやはり動かなかった。
“なんで…なんで,僕の身体はこうなのだろう?”
悲しくなって,視界がぼやけて行く。
「おいおい,さっきの威勢はどうした?」
「……っ」
「まぁいい。連れて行くか?それとも,ここでやってしまうか?まぁどっちにしろどうせさっきの坊ちゃんの執事とかなんだろうしな…」
ぱっと頭から手が離されたと思ったら,すぐに周りにいた男たちに手が縛られ,目隠しをされる。
「いや…離しせって…」
視界が奪われて,どうしようもなくなる。身動きも取れずに何が起きているのか何をされるのかわからなくなって怖くて怖くて仕方がない。
「…ぅっ…もう…」
もう涙が溢れ出て,目隠しされた布に染み込んでいくことがわかる。
辛くてでも逃げれないと頭ではわかっているこの感じが,どうしようもなく過去を思い出してしまっていた。
「大丈夫。何にも考えなくてもいいようになるから…」
「そ,そんなのっ…んっ」
急に口の中に何かを詰められる。
「うるさい口は塞いでおかないといけないからな」
「んっは」
どうもがいても口に詰められたものが外されることはなかった。
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説


男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。


塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる