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【27】
しおりを挟む一度寮に戻り、支度をして玄関で合流。
クレオ、ロエル、エリスは支度らしい支度もないしそれ所ではないので、制服のまま、ギルスロットを待っている。
「おっそいわね。おいてく?」
「エリスが言い出したんでしょ?もうちょっと待ってあげようよ」
ロエルはそう言うが、彼も早く向かいたい気持ちが動作に出ている。
家族の元に帰ろうとしている者で寮に戻ったのはこのグループだけ、と言うかギルスロットだけ。
クレオも気がはやるのを抑え込んでいる。
「それじゃぁ、向かおうか」
現れたギルスロットが言う。
上等な服に着替え、上等な剣をさぜている。
三人は思う所があったが、言い争う時間も惜しいので何も言わずに寮を出た。
街は崩れた家屋、泣き崩れる人々と混乱は見られないが、落ち着いているとはとても言えない状況で、あの異変が学園内だけでは無かったことが伺え、嫌でも不安が募る。
孤児院は街の中心から少し離れた大きな川の側にある。
下流は魔族領にまで延びていると言われる川で、普段から流れが早いのだが今は水嵩も水流も増している。
下水替わりにされているので汚物などを捨てやすいよう柵は低い。
「こんな汚ならしい川の側を通るなんてどうかしてる!」
ギルスロットがぼやく。
「側にウチがあるんだから仕方ないでしょ」
「なんだと?それじゃ、君達の家に向かってるのか?僕の家が先だろ!」
「うっさいわねぇ。ウチの方が近いんだから先に行くわよ。嫌なら1人で行きなさいよ」
結局ギルスロットは文句を言いながらも付いてくる。
孤児院は外から見た限り変わりがなかった。
「みんな無事かな」
玄関を開けると辺り一面が赤くなっていた。
中央に三人には見慣れた帽子を被る大きなモノが背中を向けている。
「院長、なのか?」
振り返ったそれは、魔獣になった教諭に似ていて、口元が血だろうか赤くなっている。
周りには体の破片らしきモノが散らばっている。
三人は凄惨な景色に目眩をこらえ、ギルスロットは見えない所で嘔吐した。
「Gyoeeee!」
「クレオ!」
唐突にクレオに襲い掛かり、玄関から飛び出す。
クレオは咄嗟に腕を鋼に変えて居たのでダメージは無いが、川沿いの柵まで押しやられてしまう。
面識しか無い教諭は倒せても、自分達を育ててくれた人かも知れないと思うと、手が出せないで居る。
グサッ
(え?)
突然の痛み。
見ると魔獣の喉を貫通した剣先が胸に刺さっている。
「クレオ!」
「いやー!」
クレオは魔獣と共に川に落ちて行った。
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