19 / 27
【19】自主トレ
しおりを挟む夏期休暇は1ヶ月ある。
その間も学院は解放されており、生徒の三分の一は帰省せず残っている。
マミアの様に遠すぎるので帰らない者、クレオ達の様にいつでも帰れる距離なので終わり間近で帰ろうと考えている者と人それぞれだ。
アルマンとストムは期間いっぱい帰省すると言って帰っていった。
居残り組は教諭も数名残ってはいるものの、基本的には自主学習。
のんびりしている者もいれば、エリスの様に気合いの入った者もいる。
「クレオもっと速く!」
クレオに攻めさせて防御力を鍛えている。
「もう全力だよ」
「アルマンより遅いわよ!」
「当たり前だろ!」
ロエルとマミアは側でお互いに『加護』や『治癒』を掛け合って能力の向上を図る。
「もうヘトヘトだよ」
「だらしないわねぇ」
「エリスは化けもんだ」
「失礼ね。レディに向かって」
「レディ?誰が?」
「お前な!」
エリスとクレオが揉み合っていると、テーツが近付いて来た。
「あ、テーツ先生こんにちわ」
「ああ。こんにちわ」
「どうしたんですか?」
「ちょっと彼女を見ていてアドバイスをしたくなってね。」
担当クラスは違えど、エリスの事は同性なのもあって目に止まっていた。
「エリス君と言ったね。」
「はい。」
「君はスピードがあるのに、防御となると真っ向から力で受け止めてしまう節があるな。」
そう言いながらテーツは木剣を二本取る。
「君の力ではどうしても男には敵わないから、二刀流なんでどうだ」
「二刀流?」
「ああ。片手で一本扱うから威力は落ちるが、手数や戦法は増える。 防御も受けるのではなくかわしたり、いなしたりしてカウンターを狙うといい。小賢しく見えるかもしれないが、君ならダンスをしてるかの様に戦えるかも知れない。 まぁ、一度見ててなさい。」
テーツはクレオに切っ先を向ける。
「相手はお前だ。」
「え、オレもうクタクタですよ?それに力でも先生に敵う気がしない」
「しのごの言わずに立ちなさい。お前は技術よりも根性を鍛えるべきだ」
クレオがいつも軽く手を抜いているのはテーツにはバレバレだった。
(先生、厳しぃ)
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる