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【8】クレオ準決勝

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 クレオとギルスロットが向かい合う。

「変態のクセによく勝ち抜いて来たな」

「変態だからじゃないですかね」

 『変態』が悪目立ちして、せめぎ合うのを躊躇する奴が居たのは事実。

「二人とも私語は慎みなさい。」

「先生、確認したい事があるんですけど」

「何ですか?手短にお願いします。」

「挑発とか恐喝とかの言葉攻めはルール違反になりましか?」

「、いいえ。試合中の心理戦は違反ではありません。ただ、今は試合前なので慎んで下さい。」

(それもそうか。)


「それでは試合を開始します。初め!」

 ギルスロットが木剣を振り下ろし、しのぎを削る形になる。

「(どうだい、あまり無理せず負けを認めたら)」

ギルスロットがクレオにしか聞こえない声で囁く。

「(苦労掛けないって言うなら君の仲間の無礼も不問にしるよ)」

「(・・・そうですねぇ)」

クレオが突っぱねて二人は距離をあける。

 ギルスロットはうっすらニヤケている。

 今はギルスロットも名札を着けていた。

それは着けて居ないと失格にすると注意を受けたから。

 そこには『騎士』と祝福の名称が記載されている。

「ギルスロット様にはご兄弟がいらっしゃいますか?」

「?ああ。兄が二人居るがそれがどうした?」

「なるほど、だからお貴族様なのに『騎士』なんですね」

「なんだと!?騎士も立派な爵位だ!」

「ええ、そうですね。でも平民でもなれる。 要はオレ達と同格?」

 周囲からクスクスと笑い声が漏れる。

「貴様、黙って聞いてりゃ調子に乗りやがって!」

ギルスロットも祝福に不満があったのだろう、怒りに任せて剣を振り上げ向かってくる。

(黙っては無かったけどなぁ)

クレオは横にずれて攻撃をかわすついでに足を掛けた。

 ギルスロットは豪勢に転ぶ。

先程よりも大きな笑い声が響く。

「き、貴様!」

「それまで!」

審判がクレオに軍配を上げた。

「何故だ!転倒だけでは勝敗決まらないだろ!」

今にも掴みかかりそうな勢いで不服を申し立てる。

「気が付かなかったですか?貴方が転倒する瞬間、彼はうなじに剣を当てましたよ。」

「そんなの知らない!審判の見間違いじゃないのか!?」

「見間違いは無いです。負けでも既にいい成績なんですから、これ以上恥を去らすのはおよしなさい。」

(さっきの八百長発言が審判にも聞こえてたのかもしれないな)

「・・・貴様、覚えておけよ。」

そう言ってギルスロットは立ち去り、取り巻きの中に消える。


「クレオ、よくやった!」

戻るとエリスがジャンプして抱き締めて来た。

 小さいにしても柔らかいモノを感じる。

クレオは顔に出さない様、無表情を決め込む。

「やりすぎたかなぁ」

「そんな事無いわよ。」

「うん。ボクもスカッとした」

「ならよかったは」

 クレオを見る周りの目が少し変わった様に三人は感じていた。

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