変態なので王道は進めない

ツワ木とろ

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【5】技能試験前

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 校舎での学科試験は孤児院で勉強してきたモノに比べれば簡単な物だった。

 ロエルは満点だろう。

 クレオも80点以上は取れていると思う。

「後半難しくなかった?」

試験を終え、エリスが言う。

「後半3分の1は難問だったかな」

「うそ、アタシ半分くらいから自信無い。」

 ロエルは二人の会話をキョトン顔で見ている。

「あ、ロエルがなに言ってるの?って顔してる」

「え、そんな事無いよ。後半難しかったよね」

「ふーん。でも全部解けたんでしょ?」

「・・・うん。まぁ、」

「やっぱりね」

「ロエルは頭良いからなぁ」

「そんな事ないよ。でも、ボク、技能じゃ成績残せないから学科頑張らないと、、」

「ロエルって自分が思ってるより強いと思うぞ」

「え?」

 クレオに言われ目を丸くする。

「アタシには避けてばっかりって思うけどなぁ」

「エリス見たいな脳筋とは違うんだよ。」

「なんだと?」

 エリスがまた胸ぐらを掴もうとするのをクレオはいなす。

「ム、ムカつくぅ!」

 頬を膨らますエリスを尻目にクレオはロエルに話かける。

「技能試験が院長の言ってた通りなら、ロエルも良いとこ行くと思うよ」

 ここで言う「院長」とは孤児院の院長の事。

 院長曰く、入試の技能試験は時間が無いので特別ルールを儲けているらしい。

 先に相手に一撃喰らわせるか、場外に追い込むか、転倒させ掌を地面に付けさせれば勝利。

「そうかなぁ」

「避けて転けさせれば良いんだよ。 上位に入って二人部屋に一緒に入ろうぜ。」

 入試の成績順に部屋割りが決まり、上位から一人部屋、二人部屋、四人部屋となっている。

 生徒間の合意があれば交換自由なので、二人が同じ部屋になれる可能性は高い。

「アタシは?」

「さすがに女子と同じ部屋は無理だろっ」

「えー、あ、『変態』と一緒じゃ危険だもんね」

 さっきいなされた腹いせだと二人は思った。

「もし誰かが一人部屋になったら、その部屋でパーティーしようね!」

「それってエリスが一人部屋だったらエリスの部屋でやるの?」

「んー、それはないかなぁ。女子部屋に男子はダメでしょ」

「なんだよそれ。なぁロエル、オレ達絶対二人部屋以上にはならない様にしような」

「二人部屋だったらもっと広くてパーティーしやすいねっ」

 エリスが笑顔で先を歩いて行く。

「は、八方塞がりだ・・・」

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