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【4】開眼②
しおりを挟む「え、まだ開眼出来てないの?」
校庭で昼食を取りながらエリスが言う。
「大きな声出すなよ。まだ残りたかったのにお前が無理矢理連れ出したんだろ。」
「だって終わってると思うじゃない。ロエルだって終わってるでしょ?」
「うん。まぁ」
「それも人それぞれだろ。エリスはどんな能力だったん?」
「アタシは・・・」
エリスの能力は、
『剣技』・剣技に秀でる。
『経験』・経験値が増す。
『成長』・成長が促進される。
「ずいぶんざっくりした能力だな。」
「うるさいな」
「でも、何だか凄く強くなりそう」
「でしょ。ロエルは分かってるぅ」
「『成長』とか胸にも作用されるかな。 っ痛て」
今の言動には問答無用に拳が飛んできた。
「変な事言ってないで、あんたも開眼しちゃいなさいよ」
「分かってるよ。」
「このままだと本当にただの変態よ」
「うるさいなぁ。今からやるよ。」
今度こそ集中して開眼する。
クレオの能力は
『変態』・全てのモノを変態する。
「何それ。何だか嫌らしい。」
エリスが眉をひそめる。
「そんな事無いんじゃない?何だか凄そう。」
クレオが小石を手に取るとグチャグチャと動き出し、薔薇の花になった。
「すごいすごい!クレオ凄いよ!」
ロエルがはしゃぐ。
「変態ってそう言う事?」
「そう言う事っぽい。」
薔薇の花をロエルに差し出すととても嬉しそうに眺めている。
「お前が『勇者』か?」
突然三人の前に取り巻きを連れた金髪が現れた。
アクセサリーで金持ちなのを強調している。
「あんた誰?」
エリスが相手の態度に比例した受け答えをする。
「お前、ギルスロット様に向かって失礼だぞ!」
取り巻きの一人が言う。
名前と祝福は名札を見れば分かるのだか、彼はそれをしていない。
「まぁ、一般人が知らなくても無理無いよ。僕はギルスロット・ランデロイ。」
ランデロイと言えばこの地域を納める侯爵家の名前だ。
「で、そのランデロイさんが何の様なの?」
名前を聞いても態度を変えないエリスにロエルがやきもきする。
「『勇者』が現れたって聞いてね。僕は貴族だし、お近づきになっておいた方が良いんじゃないかと思ってね。」
「ギルスロット様からいらして下さったんだぞ。もっと感謝しろ!」
「そう。アタシはエリス。宜しくね。」
エリスが立ち上がるのに連なって二人も立ち上がる。
「そちらの子も『聖女』なんだね。素晴らしい・・・は?『変態』?」
クレオの名札を見て目を疑う一同。
「あはははは!『変態』なんて聞いた事ない。」
一同が大声で笑う。
「君達、そんな怪しい奴と居ないで僕達といた方がいいよ。おいで。」
ギルスロットが手を差しのべる。
「名札を隠してる奴の方がよっぽど怪しいわ。」
「僕には必要ないだろ?」
「ルールも守れない、だらしない奴。」
「なんだと、失礼だぞ!」
取り巻きがうるさいのは無視している。
「仕方ないよ。きっとオレよりダサい祝福だったんだよ。」
とクレオも乗っかる
「なんだと!」
これにはギルスロット本人が声を荒げた。
「それにアタシ達、変態もたしなめないお子ちゃまに興味無いの。 行こ!」
そう言ってきびすを返して三人はギルスロットの前から立ち去った。
「大丈夫かなぁ。貴族にあんな事言って」
ロエルが心配する。
「大丈夫よ。あっちが悪いんだから」
エリスはまだ不機嫌だ。
「でも、格好よかったな。さすが『勇者』だわ。」
「そう?ありがとう」
クレオの一言で機嫌が治る。
「『変態をたしなむ』ってなんか凄いな」
「あれはただの言葉のあやよ!」
今度は顔があからぐ。
「いや、良いと思うよ。エリス本当は賢いんじゃないか?」
「やめてよ!」
「そのくらいにして早く行こ。学科始まる前にちょっと落ち着きたいし」
ロエルが二人の手を引っ張る。
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