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【2】祝福

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 学院に到着すると校門で手続きをする。

そこで名札とカルテの様な物を受け取る。

 その後、男女分かれて校舎で身体測定をし、即座に支給される制服に着替えて競技館へ。

「待った?」

 校舎前で三人は待ち合わせ競技館へ向かう。

「エリス、制服似合ってるね」

「エヘ。ありがとう」

 青いベストに水色のチェック柄のボトム。

「ロエルはハーフパンツにしたんだね」

ボトムの種類は長ズボン、ハーフパンツ、スカートから選べ、エリスはスカート、ロエルはハーフパンツ、クレオは長ズボンを履いている。

「クレオがこっちの方がいいって言うから・・・」

「うん。そっちの方が似合ってる。」

「ありがとう」

「スカートでもエリスより似合ったかもな。」

「それ、どういう意味よ。」

エリスがクレオの胸ぐらを掴む。

「こう言う意味でしょ。」

クレオは両手を上げて降参のポーズを取りながら口は減らない。

「落ち着いて。クレオもエリスが可愛くなって照れてるだけだから」

「そうなの?なら良いけど」

エリスが少し照れ臭そうにする。

(エリスはちょろいなぁ)

クレオは思う。


 今日のざっくりとしたスケジュールが貼り出されている。

 ・競技館にて祝福の確認

 ・競技館にて祝福の開眼

 ・昼食

 ・校舎にて学科試験

 ・競技館にて技能試験トーナメント

 ・クラス分け、部屋割り発表


「祝福の確認てドキドキするね。」

 生を受けてから14年立つと神から授かると言う『祝福』。

「格好いいのが良いなぁ」

 授かる『祝福』は人それぞれ。

「エリスはゴリラじゃね?」

 クレオにまたからかわれてエリスは睨む。

「またぁ。本当、エリスの事好きだよね」

ロエルは少し困った笑顔でそう言った。

「ばっ、違げーし!」

クレオの顔が赤くなる。

「へぇ、そうだったんだぁ。 でもそんな接し方じゃ好きになってあげないよ?」

エリスが仕返しとばかりにほくそ笑む。

「だから違うってば!」


 競技館内に五ヶ所、テーブルが並べられて居て、その上に水晶が置かれている。

 その水晶に触れると『祝福』の名称が水晶内に浮かび上がる。

 列に並び、順番が来たらカルテの様な物を係りに渡し水晶に触れる。

 見る限り、確認し終えて喜ぶ者は多く居るが、落胆する者は少ない。

 エリスの前に並んで居た三人は『商人』と『鍛冶士』。家業に関わりがあるのか納得な表情をしていた。

 もう一人は『猛者』。体も大きく、軍隊を目指しているのか喜びが顔に出ている。


 エリスの番。

 彼女が触れると水晶は乳白色に濁り、文字が浮かび上がる。

「『勇者』です・・」

 場がざわつく。

「やったぁ。なんか強そう」

エリスは『猛者』『強者』などのくくり位に思って喜んでいるが、本当は10年に一人いるか位、希な祝福。

「エリス凄いね」

「分かってないのもあいつらしいけどな。」


 続いてロエルの番。

 彼は不安そうに水晶に触った。

「『聖女』ですね・・・え?」

係りの者がカルテに記載する際に性別を見た様で、カルテとロエルを見比べている。

「わっはははっ」

「ちょっとクレオ笑いすぎ」

「だってお前、『聖女』って男なのにっ」

 希な祝福ではないが男が授かるのは聞いたことがない。

「まぁでも、ロエルらしくって良いんじゃないか?」

「やめてよ」

 頬を膨らませるロエルを見て、誰もが納得するだろうなとクレオは思った。


 クレオの番。

(『強者』とかかなぁ)

 孤児院ではエリスに敵わないにしても良い勝負をしてきたのでクレオはそんな風に考えていた。

 エリスも似たように思っている。

 ロエルだけはクレオも『勇者』なんじゃないかと信じていた。

「・・・『変態』、です・・・」

(なんだそれ?)

 エリスの時と同じ位周りがざわついた。

 そんな祝福、聞いたことがない。

 周りの人々が物理的に距離をあける。

(うわぁ、悪目立ちしてる)

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