転生竜と賢者の石な少年

ツワ木とろ

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2章

【61】打ち明ける

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 地竜は全く動かなく、熱も冷めてきてる。
 死んだんだと思われる。

 それが確認出来ると、みんながセドリックの側に集まった。
 ヴィオラが息をしていないセドに被さり泣いている。

「ごめんなさい。私の所為で‥‥」

 とニーダさん。

「あなたは悪くない。そんな事分かってるのよ!」

 ヴィオラが叫ぶ。

「セドは護衛任務を全うしただけだから‥‥」

 そうなんだけど、こんな事になる様な任務だとは思ってなかった‥‥

「私達は外しましょう。ニーダは教会に連絡して下さい。ディオさん達と私でまだ火が燻ってないか見回りましょう」

 ニーダさん達が無言で頷き、その場を離れる。


「ルーシ、足大丈夫?」

 とリネット。
 ホントに心配してくれているけど、無言の雰囲気に耐えられないのとヴィオラに掛ける言葉が見付からないってのもあるのだと思う。

「大丈夫」

 ズボンと靴はスキルで修復されてるし、体は血の力で回復してる。
 たぶん、生きていれば‥‥

「本当に?あの熱い液体に直接使ってたのに?」
「ルーシっていつも無傷よね」

 ずっと一緒にダンジョン潜って来たんだもの、いい加減疑問にも思うよね。
 そろそろ隠しきれないかしら。

「ポーション持ってるの?」

 普通そう思うのか。

「うん、まぁ」
「だったら何でセドリックに飲ませてあげなかったのよ!」

 ヴィオラが叫ぶ。
 1番に駆け着けたルーシはセドを助けようとしていた。
 でも、端から見たらポーション持ってるのに飲ませなかったって見えたのだろう。
 ホントはポーションなんて持ってないんだけど‥‥

 彼の名誉の為にも打ち明けた方がいいかな。
 アタシは地面をカリカリする。

「リネット、ナナチャが読み上げて欲しいって言ってる」
「え?『アタシから話があるの』ってナナチャ、文字書けるの?」

 前に書けない振りしてたけど、そんな事言ってられない。
 ルーシに自分で説明させたくなくて、でもアタシがルーシ以外とコミュニケーション取るにはこれしか今方法がないから。

「『それも含めて内緒にして欲しいのだけど‥‥』」

 ルーシはサーリアの実験で血がポーションみたいになった事、知れ渡るとまた実験体にされかねないから黙っていた事など、全てを事細かには説明してないけど、筆談で伝えられるだけは誠意を込めて伝えたつもり。

「なるほどね。それなら腑に落ちる点もあるけど、にわかには信じがたいわね」

 とニコラ。

「見てて」

 ルーシがおもむろにナイフを取り出し、手首辺りを切る。

「ちょっと!」

 リネットが止めに入った時には滴るだけの血が溢れ、傷は無くなっていた。

「ホントね。治ってる‥‥」
「分かったから。疑ってないから、もうそんな事しないで!」

 そう言ってリネットがルーシを抱き締める。

「これってアナタの血を飲んだ者にも効果があるの?」
「うん‥‥」
「たまに変わった行動取ってたのはそう言う事なのね」

 たまにルーシが血を飲ませようとしてアタシが止めてた時の事を言っているのだと思う。

「じゃぁ、なんでセドリックに飲ませてくれなかったのよ‥‥」

 ヴィオラが言う。

「‥‥セドが飲んでくれなかった‥‥」
「無理矢理にでも飲ませれば良かったじゃない。そしたらこんな事にはならなかった!」

 また声を荒げだす。

「『死んだ人は治せないのよ』だって」

 アタシが書いた文字をリネットが読んでくれる。
 アタシの憶測でしかないけど、そうなんだと思う。
 蘇生は出来ない。
 たぶん、セドは即死だった。

「ヴィオラ、辛いのは分かるけど、みんなもそうだし、誰かがどうしてればどうにかなったって事もないわ」

 とニコラ。
 リネットがさらに強くルーシを抱き締める。

「‥‥分かってるわよ‥‥」

 ヴィオラはセドを見つめながら彼の手を握った。
 セドリックの焼けて変わり果てた姿をアタシは直視出来ない。


「納屋が無事でした。連絡が来るまでは動けませんし、今日はそこで休みませんか?」

 しばらくして戻って来たニーダさんが言う。

「わたしはここでいいわ‥‥ 2人にして‥‥」

 とヴィオラ。
 彼女の気持ちを汲んで、みんなその場から離れる。

「お辛いでしょうが、セドリックさんの為にも火葬された方が」

 納屋に向かう中、ビックスさんがニコラに話す。

「ええ。でも今日だけはそっとして置いてあげたいです。」



 納屋では重苦しい空気が流れてる。

 セドの事ばかりになってたけど、ディオ達もスムカが大変な事になったし、育ての親があんなだったしでお互いがお互いに気を揉める状況じゃない。

「明日、来た時の道まで行きましょう。そこにいらっしゃる方々を埋葬して差し上げたいと思うのですが」
「ありがとうございます。」

 あのゴブリン達はディオやティチの兄弟だったんだっけ。
 比べるモノじゃないけど、家族と知らずに殺してしまった彼等の方が辛いかも。

「今日は色々ありましたから、早く寝ましょう」

 辛さはあるけど、疲労感も強いのでみんな各々のタイミングで眠りに落ちて行った。



 朝、目を覚まし外に出ると‥‥

 ヴィオラとセドリックの姿がなかった。
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