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2章

【56】いざ、森の孤児院へ

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「ディオ達が?」

 みんながアタシの見ている方を向く。

「ホントだ」
「お知り合いですか?」
「はい。王都近辺の冒険者仲間です」
「それじゃ、あの方々も依頼の遂行中なのですかね」
「そう言えば、あの子達って施設出身て言ってたわよね?」

 とニコラ。

「あ、もしかしてその施設ってドーナなのかな」

 とリネット。

「なるほど。それはお話を聞いてみたいですね。紹介して頂けますか?」
「ボク行ってくる!」

 こちらに気づかず行って仕舞いそうなのでルーシが駆け出した。
 不馴れな街で知り合い見つけてルーシは嬉しそう。

「ディオ、ティチ、あ、スムカ!」
「え、ルーシ君?」

 3人共こんな所で会うと思っていなかったから目を丸くしている。

「あ、皆さんも。お久しぶりです」

 3人以外連れは居ない様子。
 スムカまで一緒なんて珍しい。彼女が冒険者になったなんて聞いてないし。

「久しぶりだね」
「皆さんはお仕事ですか?」

 ビックスさん達とディオ達、初見同士が会釈する。

「ええ。こちら、ビックスさんとニーダさん。2人のお供をしているの」
「ディオ達は?」
「俺達は故郷に帰る所なんです」

 やっぱり。

「ディオ達の故郷ってもしかしてドーナ孤児院?」
「はい。そうですよ」
「ボク達もそこに行くんだよ!」
「え、そうなんですか?何でまた」

 そこでビックスさんが割って入る。

「そちらの施設で特別な飴を売ってらっしゃると聞きまして、その買い付けです」

 飴?それってドーナと関係ないんじゃないの?

「‥‥飴ですか?そんなの作ってたか?」
「最近作り出したのかな。私達は分からないです」

 どうもビックスさんはかまして3人の反応を見ていたみたい。

「行き先同じならディオ達も一緒に行こうよ!」
「そうね。案内して貰えると助かるし」
「でも、俺達徒歩ですよ?」
「え、歩いて行くの?」
「はい。ここまでは乗り合いで来たんですけど、施設まで行く馬車なんてないので」
「じゃぁ、ウチの馬車に乗れば?セドいい?」

 ルーシは振り返ってセドを見る。

「ビックスさん達が良ければ」
「私共は構いませんよ」
「大丈夫ですか?3人もいますけど」
「少し狭くなるけど乗れるわよ」
「ルーシとだったら前に3人乗れるしね」
「それなら、お言葉に甘えて、行きだけお願いします」
「うん。ボク達明日出る予定だよ」
「じゃぁ、私達も今夜、宿取ろっか」
「宿無いのですか?」
「はい。これから出発しようと思っていたもので」
「なら、セドリックさん方の準備が良ければですが、今日出発しましょうか」
「ええ。大丈夫ですよ」
「そんな、悪いですよ。せっかく宿取ってあるのに」
「我々は数日滞在してましたから1日早まったとて問題ないですよ。支度しますので宿の前で待って居てください」
「分かりました。ありがとうございます」

 宿に戻り、支度して出発。




「実は私共は異端審問官です」

 ビックスさんの告白にディオ達は目を丸くする。
 ディチカを出てから1日過ぎた頃。
このタイミングで打ち明けるとビックスさんは宿で話していた。

 他人に聞かれない馬車の中で、それも先回り出来ない所まで来てから審問するっていう、言わば騙し討ちみたいな状況にツインブレスのメンバーは心が痛む。

「騙すような形になって申し訳ありません」
「‥‥それじゃぁ、買い付けって言うのは」
「あれは嘘です」

 ビックスさんとニーダさんは目的や事情などをアタシ達に教えてくれた時よりも丁寧に3人に話した。

「ホントに是正勧告だけなんですか?」

 教会が把握しているのはスキルの使用禁止の強要。

「教会は正当な目的も無く長時間、加護を阻む事を良しとしません」
「例えば、試験で不正や妨害行為になるスキルを試験期間中禁止にするのは良いですが、ドーナでは一生涯禁止と聞きました。これはあまりにも長時間で正当性も見受けません」
「私達は神から授かったものを容易く扱うなと教えられました」
「悪い考えでは無いと私は思います。ただ過剰過ぎるのでその辺を調査して是正して頂こうと考えてます。お話聞かせて頂いても宜しいてすか?」
「‥‥分かりました。俺達も疑問を抱いてましたので協力します」

 話を聞いてる限り変な教えってのは、スキル禁止が逸脱してる位らしい。
無闇にスキルを使う者に接触してはいけないってのも引っ掛かる。

「仕事を辞めて帰って来る様連絡が来たんです」
「でも俺達は教えに背いてスキル使って居るのでこの機会に勘当覚悟で院長に打ち明けようって、3人で話し合ってたんです」
「施設が是正を了承してくれれば勘当される理由も無くなりますね」
「そうなってくれると嬉しいです。やっぱり故郷が無くなるのは嫌なので‥‥」
「そうですよね。私共も円満に事が進む様に尽力しますね」
「ありがとうございます。宜しくお願いします」



 森には馬車がすれ違える広さの道が1本あった。
整備はされてなくてでっかい獣道って感じ。
 そこを半日進めば孤児院に着くらしい。
 1度軽く休憩取ってからその道をすすむ。

「!!」

 森からガサガサ音がしたかと思うと、突然ディオが立ち上がった。

「殺気があります。20個位。こっち向いてます!」

 みんな武器を取り、馬車から飛び降りた。
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