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2章

【51】王都帰還

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 通路をダッシュして、出口でジャンプ。

 スケルトン倒しながら進むのは面倒なので高めに飛んで上り口に向かうと、グフリア達が既に半分くらいの距離こちらに来ていた。

「ナナチャにゃ!」
「何かあったのか!?」

 思ったより時間が掛かってたのと、ギガースが倒れた時の地響きがこっちにも伝わってたらしく、心配になって合図を待たずに向かってくれたみたい。

「討伐達成したみたいだよ!今戻ってるみたいだから、あたい達も急ごう!」

ニコラからの手紙を読み、グフリアが声を張る。

 こっからはアタシも参戦しよっと。


 通路前に着いてしばらくするとツインブレスが戻って来た。

「お疲れ。大変だったね」
「まぁね」
「ごめんなさい、1層目の魔法解除しちゃったわ」
「わかった。あたい達、充分休息取らせて貰ったから心配ないよ」

 ツインブレスの姿を見て楽勝で無かったのは分かってくれたみたい。
 後でギガースが出たの伝えたらビックリするかな。

「まず、魔晶石を外に出すのが先決ね」
「ああ。みんな、戻るよ。帰ったらゆっくり休んで明日から全フロア殲滅だ!」

 魔晶石を持ち出しちゃえば、もうモンスターは湧かないんだっけ。




 それから5日掛けて順ぐりモンスターを殲滅して廻った。
 ずっとのたうち回ってたサイクロプスもやっと退治してあげて、不謹慎だけど何かスッキリした。

 6日目はスジャも連れて最終確認。

 鈴の付いた杖持っててチリンチリンうるさい。
 何でもディオのスキルが周囲100メートルくらいの殺意とその向いている方向を探知出来るらしくって、「殺意がこもってれば物でも分かります。ただ、モンスターがこちらに気付いてないといけないんですけどね」との事。
 それで音鳴らして気付かせようとしてるのね。
 ってかそんなスキルなら冒険者より警ら隊の方が向いてそうだけど。
 あ、だから護衛班だったのか。


 丸4日掛けて2周巡回して、殲滅されたと判断された。
 後はダンジョンを埋めるだけらしいけど、それは軍の仕事らしい。
 ダンジョンの中はギルド。外は軍って住み分けっぽい。
 じゃぁ討伐中警備してくれれば良かったのにと思うけど、事情があるんでしょうね。大人の。


「お世話になりました。」

 パルイ村の人達にに別れを告げ、全員引き上げる。
 スジャと護衛班とグフリアはルングスに行って精算。
 他の人は各々の拠点に帰る。
 分配等は彼女達を信用して任せちゃう。
 小切手を教会の鳩で送ってくれる手筈なので、王都に戻った時には届いてるはず。

「今回ルーシとナナチャは大活躍だったね」

 馬車の荷台に乗ってリネットが言う。

「もう完全にウチの主力ね」
   そんな事言われたら照れちゃうわぁ。
「ニコラも今回は大分疲れたんじゃない?」
「そうね。こんな毎日魔力が枯渇したのは初めてね。もうこりごりかな」
「クエストは当分遠慮したいわね」



 ルーシがガーゴイル倒した時の様子をニコラとリネットが見ていたのでその話になり、王都に帰る途中の時間潰しにレベルアップしたスキルを色々試してみる事になった。
 ニコラは紋章の研究してるだけあって、スキルについてもノリノ。
 因みに、紋章それ事態は変化していない模様。


 色々試した結果、形や大きさは変えられても質量は変わらないみたい。
 例えば小石を大岩に変えたとしても、重さは小石のままだし、大きくなった分スッカスカで脆い。
 逆に大岩を小石にしたらダイアモンドばりに硬くなるけど、重くて持てない。

 それに、生き物には使えなかった。食べ物もそう。
無機質にしか作用しないって感じ。
 
 後、2つの物を合体も出来ないし、1つを2つにも出来ない。
 見た目2つでも繋がってれば1つと見なす見たいで、けん玉とか作れそうなんだけど、そもそもルーシが見た事無いモノは作れない。

 使い処を模索した結果、ガントレットとディアボロスをアクセサリーに変化させて置く事になった。
 即座に装備出来るし何度も繰り返し変化させる事でまたスキルが上がるんじゃないかなってニコラの案。

 左のガントレットはブレスレットに、右のは指輪にして中指。
 ディアボロスは親指用の指輪に変化させた。
 ブレスレットを触ってガントレットに戻し、その後親指を握る形でグーを作るとガントレットも戻り、ディアボロスが右手に握られた状態で元に戻る。

 一連の動作を練習しまくって、スムーズに行えるまで体に染み込ませる。
 これで急に暴漢に襲われても安心ね。
 そんな事そうそうないと願いたいけど。



 昼間に王都に到着した。
 それだけで何だか癒される。
 もう、ここが故郷なのかな。

 その足で教会に向かい、グフリアからの届け物を受け取る。

「私、手紙出して来るね」

 自分の小切手を受け取るとリネットがそう言った。
 ここから別行動していいなら、アタシ達も教会の中に行こうかしら。
 メルヴィルさんとの約束あるし。

 セド達も各々寄り道するらしい。
 銀行に預入に行くらしいのでルーシの分もお願いして、ルーシとアタシは教会の裏手に回った。

 ネックレスを見せ、メルヴィルさんかエミリーに会いに来た事を伝えると簡単に中に入れて貰えた。

 小部屋に通される。
 アポ取って無いので長らく待つか、最悪後日の約束取り付けるだけになるかもって案内してくれた人が言っていた。
 それは仕方ないか。

「ルーシ君、ナナチャ、久しぶり」

 数時間待たされて結局会えないってのも覚悟してたのに、拍子抜けするくらい早くエミリーが現れた。

「テルティアの誕生会以来ですね。お元気でしたか?」

 それにメルヴィルさんまで。
 教会内だからかこの前より丁寧な気がする。

「早速ですけど、ネックレスお預かりしますね」

 挨拶も早々にエミリーはネックレスを受け取って退室。

「魔石の交換待つ間、お話しましょうか」

 メルヴィルさんがアタシ達に手を差し出す。


 メルヴィルさんのスキルで精神世界へ。
 ここならアタシも会話出来るわ。

「メルヴィルさん、お久しぶりです。お変わりないようですね」
「ええ。ナナチャさんもお元気そうで何よりです」
「お忙しい所、急に来てしまってすみません」
「大丈夫ですよ。あまり時間は取れませんが、私もお話したかったですから。この1年はどうでしたか?」
「色んな事がありましたけど、楽しい事が多かったと思います。ねぇ、ルーシ」 
「うん‥‥ はい。色んな事覚えられて楽しいです」
「それは良かった。あれからカシウスとは仲良くなりました?」
「とっても仲良しです」

 ルーシが笑顔で答える。

「サーリアについて何か分かりました?」

 もう関わりたくないけど、一応気にしないといけない事だからね。

「明確な事は分かってません。他国でそれらしい人物が目撃されたと言う話もあるにはあるのですが」

 海外逃亡かぁ。そうだったら安心なんだけど。

「偽ポーションに関わってたかもハッキリしない内に、偽ポーションが影を潜めてしまって‥‥ 別の案件も出て来ていますが」
「ポーション飴ですか?」
「ご存知なんですね」
「酒場で耳にしただけですけど」
「偽ポーションとポーション飴の関係性も定かでは在りませんけど、もしかしたら皆さんに調査の依頼を出すかも知れません」
「そうですか。分かりました」
「そろそろ戻りましょうか。エミリーも戻って来る頃でしょうし」


 意識が戻るとエミリーが待っていた。
 新しい魔石に交換したネックレスを受け取る。

「次お会いするのはカシウスの誕生会の時ですかね」

 そっか、テルティアと年子だからそろそろなのか。

「また会えるのを楽しみにしてます」

 笑顔で会釈して、メルヴィルさんとエミリーが退室する。

   「アタシ達も帰りましょっか。」
   「うん」

 しばらくすると案内係が現れて裏口まで送ってくれた。

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