転生竜と賢者の石な少年

ツワ木とろ

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1章

【25】合同訓練②

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 この日の夕食は前回よりも会話が弾んでる。
 対戦したことで打ち解けたんでしょうね。

「対人戦は不馴れなので、とても勉強になります」

 とセド。

「我々も3人での稽古ばかりなので、とても良い刺激になりました」

 とロジィさん。

「3人だとマンネリになってたし、ロジバールさんの言う通り、相性に左右される事も分かりました」

 ちなみにロジィさんはセドとヴィオラとも手合わせして、2人とも軽くあしらってた。
 そんなロジィさんなのに、エイミ-とハマールには敵わないらしいわ。

「私は刃のある武器での攻撃を防ぐスキルを持っているのですが、エイミラットは布ですし、ハマールは攻撃が効かないですから」

 それが相性ってやつなのね。

「勝てない私の言う事には説得力がありませんでしたので、今回はとても助かりました」
「エイミラットさんがリボンも使って剣を4本持ったらすごそうよね」

 リネットが言う。

「剣術が得意ではないのですが、この機会に試してみてもいいかも知れませんね」
「うん。もっと強くなりそう」
「冒険者ってみんなだいたい独学だから、ワタシ達も基礎は教わりたいわね」
「でしたら、午前に少し体術を取り入れて、その後手合わせにいたしましょう」
「人数が奇数だし、明日も審判やろうか?」

 ガイウスさんが言う。
 たしかに切りが悪い。

「それならワタシとリネットも接近戦には向かないから抜けた方がいいかしら」
「遠距離系と対峙するのもとても良い経験になりますので、お2人も参加頂けますか」
「それなら喜んで」
「ローテーションで相手を変えて行こうかと考えているので、子供達と対戦する際は剣もしくは槍も用意しておりますので、そちらをお使いください」
「じゃぁ、外野は僕だけかな?」
「いいえ。ガイウス様も参加頂きますよ」
「それだと人数がおかしくならないかい?」

 どうしてもやりたくないのかしら。
 まぁ、インドア派がアウトドアを強制されたら拒否反応くらいは起こすでしょうけども。

「ナナチャ殿にも参加頂けば、偶数になるのでは?」

 え?アタシ?

「確かに、ナナチャの実力も知っていた方がいいね」

 そうよねぇ、そう思うわよねぇ。
 想定してなかったから、今まで呑気にしちゃってたわ。

「ルーシ殿、いかがでしょうか?」
「ナナチャに聞いてみるね」

   「ナナチャ、やる?」
   「いいけど、手加減出来ないわよ」
   「出来ないの?」
   「やった事ないから分からないのよ。そう伝えてくれる?」
   「うん。分かった」

「手合わせとかやった事ないから手加減出来るか分からないって言ってる」
「確かにこれまでに少しでもやっておくべきでしたね。私の失態です。申し訳ありません」

 それはしょうがないわよね。 ルーシがメインなんだし。

「ボクを鍛えてくれてたんだからしょうがないって。後、自分の実力が分からないから、最初は大人とやらせて欲しいって言ってる」
「お気遣い感謝します。そうですね、最初は私とで、後も大人と続く様に組ませて頂きますね」

 ルーシの話術も上達してて通訳も上手になったわね。

   「えへ」

 アタシだけに照れ笑いを見せてくれた。



「どうして私たちとは魔法も弓も使わないの?」

 女性陣とのお風呂タイム。
 テルティアも毎日誘ってくる訳じゃないから、今日は誘いに乗ってあげたわ。
 明日はみんな夕食前にお風呂だけ入って帰るらしいから、明日は男性陣と入る!

「矢も魔法も手から離れてしまったら手加減のしようがないから、実力的にまだ危ないと思ったんでしょうね」
「そっか‥‥ 私も戦ってみたかったなぁ」
「テルティア様の実力なら、直ぐに実現すると思いますよ」
「そうなんだ。テルティアって強いんだ」
「ええ。同学年では男子よりもお強いと思います」
「へぇ。すごいね」
「ううん。ルーシ君の方が強いと思う。夕方一緒に稽古してるけど、1日ですごく上達しちゃうからそろそろ相手にならないかも」
「テルティア様も上達しているではありませんか」
「ルーシ君と比べたら全然だよ」
「あの子の成長スピードが異常なのよ。そんなのと比べるだけバカらしくない?」

 とヴィオラ。

「そうよねぇ。私はみんながあの年までにちょっとずつ学んで来る事を数日で一気に吸収してるのかなって思ってる」

 アタシもそう思うな。からっからのスポンジみたいな感じ。
 その内湿って来て、吸収力ダウンしてみんなと並ぶんじゃないかな。
 その方が自然でいいと思う。


「私、魔法習いたい」

 ルーシ話が落ち着くと、テルティアがニコラに言った。

「テルティアって、受紋まだなのよね?」
「うん」
「じゃぁ無理ね」
「受紋後だったらいい?」
「適正調べて、才能あったら教えてあげるわ」
「うん。ありがとう」

 とりあえずそれでテルティアは満足したのかな。

「ルーシにも教えてあげなきゃね」
「そうね。適正無かったから基本だけだけど教えなきゃね」
「私も一緒に教わっちゃダメ?」

 本当は満足していなかったテルティアがまた言う。

「ルーシはもう加護受けてるから、一緒にだとルーシを待たせる事になっちゃうわよ」

 ルーシはいいって言いそうだけど、教えてもらえるなら早いに越したことないわ。

「でも、なんで受紋後じゃなきゃいけないの?」
「受紋前に魔法使うと体への負担が大きくて早死にするとか、妹神が怒って加護を授けてくれなくなるとか言うわね」
「それって本当なの?」
「さぁ。試した人がいるのか分からないし、自分で試そうって子もいないんじゃない?」

 リスクおってまで試そうなんて思わないだろうし、確かめたいって学者は居たとしてもそいつはもう受紋前の子供じゃないものね。

「受紋まで後どれくらい?」
「2ヶ月位」
「あっと言う間じゃない。それ位待ちなさいよ。そしたらニコラが心置き無く教えてくれるわ」

 とヴィオラ。
 子供の時間と大人の時間を一緒の長さで考えるのは野暮だけど、退っ引きならない事情がない限り、考慮する気もしない長さね。

「そうね。素質あったら今日ワタシがやった魔法よりもすごいの教えてあげるわ」
「ほんと?」
「ええ」
「ニコラの魔法はすごいのよ。たぶん王国一じゃないかしら」
「リネット、それは言い過ぎよ」
「そんなことないわ。あと2ヶ月我慢すれば王国一の魔導師から教われるんだもん。我慢するわよね?」
「うん。我慢する」

 才能なかったらどうするのかしら?それとも魔法使える人には素質の有無が分かるのかしら。
 とりあえずテルティアを納得させるその場しのぎに思えるのが少し心配だわ。
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