【禁術の魔法】騎士団試験から始まるバトルファンタジー

第５章 メテオストライク

メテオストライク １９

　レイはそんな日々を暮らしながら図書館に通っていた。
　そして冬が終わり草花が芽吹き始めた頃、ようやく封印を解く日がやってきた。
　
　満月の夜。
　丘の上を春風が吹き抜けていき草原の草が波打つ。
　レイが静かに丘の上に向け歩みを進めると、ノアが月を見上げ待っていた。

「ありがとう。来てくれて」
「お安い御用」

　ノアが笑って答えたが、その顔はすぐに真顔に戻った。

「どうした？」
「ちょっとね。……後で話す」

　ノアは顔をあげ、再び空を見上げた。
　レイもノアも、チュニックではなく正装をし剣を携えていた。レイに至っては盾も担いで持ってきている。

「本当にやるの？」
「ああ」
「魔物が出るんでしょ」
「そう記載されていた。そして打ち勝つ事が必要らしい」

　レイはそう話しながら草地を離れ、砂地の地面に魔法陣を描きはじめた。

「私のイメージはラウドの森で見たあの異形。あんなの想像してるけど」
「何が出るかは詳しく書かれてなかった。でも、失敗すると死ぬらしい」

　レイが熱心に魔法陣を描きながらサラリと言った。

「……死なさない！　私もいる」

　レイが手を止めノアを見て微笑んだ。

「ここには私もいる」

　もう一度ノアがはっきりと言う。
　レイはそれを聞いてうなずき、残りの魔法陣を描き切った。