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第2章 訓練の日々
訓練の日々 41
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その日の晩は、ノア含め、皆でサンタンのギターを聴いた。
「レイ、レイのリクエストはあるかい?」サンタンが訊く。
「まだリクエストを訊いてなかったのはレイだけだ」
「……ない。俺は、今まで音楽というものに触れてこなかったから。曲を何も知らないんだ」
「そうか」
傍から「ノースレオウィルと言ったら、「伝説の魔法使いウィル」だろ」とトーブが言う。
「そうだな」とサンタンは少し考えたあと、座った体勢で片足をあげ、その間にギターを挟み構えた。目を瞑り、一呼吸置いた後、ギターを爪で弾き優しく弾き始めた。
弾ける音の粒は、まるでノースレオウィルの湖に降る雨のように、小さな波紋を空間に伝えては溶けて消えた。静かな哀愁あるギターに合わせ、サンタンが語り出す。
「その者、北の果て白き清浄な地にて、
星より生まれし魔法使い。
食がなければ魚を与え、
暖がなければ湯を与え、
明かりがなければ希望をふらし。
自由に風に吹かれ、
さすらい歩き、
たどり着いたその先で、
強く生きるもの、魔法使いウィル。
国に来たりし災いを払い、天へと還る。
光る道を歩みて、天へと還る」
レイの脳裏に、小さかった頃「魔法使いウィル」の話をしてくれた祖母の姿が浮かびあがった。温かく優しく愛にあふれた語り。それはレイに向けられたものであると同時に、何故か魔法使いウィルに向けられたものでもあるのを感じていた。祖母は魔法使いウィルの何を知っていたのか? 「強く生きなさい」という残された言葉にどう言う意味があったのか?
レイは輝星石のペンダントを握りしめた。
「レイ、レイのリクエストはあるかい?」サンタンが訊く。
「まだリクエストを訊いてなかったのはレイだけだ」
「……ない。俺は、今まで音楽というものに触れてこなかったから。曲を何も知らないんだ」
「そうか」
傍から「ノースレオウィルと言ったら、「伝説の魔法使いウィル」だろ」とトーブが言う。
「そうだな」とサンタンは少し考えたあと、座った体勢で片足をあげ、その間にギターを挟み構えた。目を瞑り、一呼吸置いた後、ギターを爪で弾き優しく弾き始めた。
弾ける音の粒は、まるでノースレオウィルの湖に降る雨のように、小さな波紋を空間に伝えては溶けて消えた。静かな哀愁あるギターに合わせ、サンタンが語り出す。
「その者、北の果て白き清浄な地にて、
星より生まれし魔法使い。
食がなければ魚を与え、
暖がなければ湯を与え、
明かりがなければ希望をふらし。
自由に風に吹かれ、
さすらい歩き、
たどり着いたその先で、
強く生きるもの、魔法使いウィル。
国に来たりし災いを払い、天へと還る。
光る道を歩みて、天へと還る」
レイの脳裏に、小さかった頃「魔法使いウィル」の話をしてくれた祖母の姿が浮かびあがった。温かく優しく愛にあふれた語り。それはレイに向けられたものであると同時に、何故か魔法使いウィルに向けられたものでもあるのを感じていた。祖母は魔法使いウィルの何を知っていたのか? 「強く生きなさい」という残された言葉にどう言う意味があったのか?
レイは輝星石のペンダントを握りしめた。
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