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第4章 禁術の魔法
禁術の魔法 1
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ロヴァンヌ王国南東部に位置するトラヴィス領テト地区。そのテト地区が隣国トゥーバル王国の攻撃を受け1ヶ月が過ぎようとしていた。国境のロンバル川を渡河され、南に広がる農村地域に進軍を許してしまった。それでも2万を超すトゥーバル兵に対し、シエンナ騎士団千、トラヴィス騎士団の引き連れてきた傭兵3千。合計4千の軍勢でここまで何とか持ち堪えてきた。
現在は小村マノに軍事拠点を築き敵の攻撃に備えている。
耐えてロヴァンヌ王国中央からの援軍を待っていた。
「まだ来んのか中央の援軍は!!」天幕の中に怒声が響いた。
ランスは作戦会議が行われている天幕の入り口で警備にあたりながらその声を聞いた。そっと中を覗き見ると、トラヴィス騎士団連隊長のフェンバッハが、中央で唾を撒き散らしながら「明日にでもトゥーバルの兵が攻め入って来そうだと言うのに。……もたんぞここも!」と言い立てていた。
トラヴィスの騎士たちは皆、紋章入りの豪華な鎧を着込み存在感を放っていたが、その中でも特に恰幅のよいフェンバッハは派手なサーコートとマントを着込み、誰よりも目立つ格好をしていた。
天幕の中央には円卓があり、その周りをトラヴィス騎士団、シエンナ騎士団、傭兵部隊の代表者が囲っていた。シエンナ騎士団からはグレーン、隠密部隊のコウナ、ストラスブルが席についていた。
ランスの位置からは後ろ姿しか見えなかったが、グレーンとストラスブルの間に小柄で痩せた体のコウナは埋もれているように見えた。コウナはひどく年を取っている。ランスは、杖にすがってよたよたと天幕に入っていくコウナを少し前に見ていた。髪は白髪で薄く、顔には深い皺が刻み込まれていた。
× × ×
現在は小村マノに軍事拠点を築き敵の攻撃に備えている。
耐えてロヴァンヌ王国中央からの援軍を待っていた。
「まだ来んのか中央の援軍は!!」天幕の中に怒声が響いた。
ランスは作戦会議が行われている天幕の入り口で警備にあたりながらその声を聞いた。そっと中を覗き見ると、トラヴィス騎士団連隊長のフェンバッハが、中央で唾を撒き散らしながら「明日にでもトゥーバルの兵が攻め入って来そうだと言うのに。……もたんぞここも!」と言い立てていた。
トラヴィスの騎士たちは皆、紋章入りの豪華な鎧を着込み存在感を放っていたが、その中でも特に恰幅のよいフェンバッハは派手なサーコートとマントを着込み、誰よりも目立つ格好をしていた。
天幕の中央には円卓があり、その周りをトラヴィス騎士団、シエンナ騎士団、傭兵部隊の代表者が囲っていた。シエンナ騎士団からはグレーン、隠密部隊のコウナ、ストラスブルが席についていた。
ランスの位置からは後ろ姿しか見えなかったが、グレーンとストラスブルの間に小柄で痩せた体のコウナは埋もれているように見えた。コウナはひどく年を取っている。ランスは、杖にすがってよたよたと天幕に入っていくコウナを少し前に見ていた。髪は白髪で薄く、顔には深い皺が刻み込まれていた。
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