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第3章 特別任務

特別任務 22

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 夜までの間にフォーメーションの確認を行なった。トーブは火炎放射の距離を確認しながら皆の後ろからどのように援護射撃ができるかを確認した。ノアはクロスボウでの射撃を、隠れた位置や、ディック、レイの後ろから素早く移動しながら淀みなく行なった。
 
 それを見てレイは確かにディックの言うように心強い二人だと改めて感じていた。そして、それに比べて俺は…… とレイはデイックの横で盾を並べながら不甲斐なく思った。レイの役目はディックと共に壁になること、そして隙をみてナイフを投げつけると言うものだ。

 
 レイは盾を構えて、目の前の空間にナイフを投げた。

「レイ、もっとしっかり敵を想像しろ」

 ナイフを拾いに行ったレイにディックが指文字でジェスチャーを送る。

(壁になるのが最も危険な仕事。お前の筋力が必要だ。自信を持て。レスリングをした俺が保証する)

 レイは、ディックのジェスチャーにハッとし自分の両頬を思いっきり叩いた。
 ……つまらん事を考えるな! 集中だ集中。
 目の前にそびえる怪物をイメージし、レイは自分の役割に集中した。



 夕日は瞬く間に沈み、森を深い闇が支配した。気温がグッと下がったことを、白い吐息が実感させる。ランタンの炎で道を照らしながら、馬をゆっくり走らせ、山の方へと向かう北側の道を慎重に進んでいった。誰も口を聞かず、静かに聞こえる馬の蹄の音も、深い闇の中に溶け込んでいった。どれぐらいの時間進んだか分からなくなった頃、少し開けた広場へとでた。

「良し。馬を少し休ませる」

 ディックはそう言うと馬をおりた。レイとノアが新しいランタンに灯りをつける。

「かなり冷えたな。少し暖を取ろう」

 ディックは脇にあった焚き火のあとに近づいた。そしてしばらくそのまま眺めていた。

「どうした?」とトーブが訊く。

 ディックが炭になった木を足で蹴飛ばしどかす。レイとノアも近づいた。

「まだ新しい。……濡れている」
「なに?」
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