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第2章 訓練の日々
訓練の日々 50
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グレーンが「なんだ試合をするのか?」と目を輝かせてすぐに飛んできて「私が審判をしよう」と申し出た。
それからグレーンの計らいで、入団試験の時の木製の武器、盾が用意され、加えて今回は怪我を防ぐために甲冑もつけよという事になった。シエンナの甲冑は機動性重視かつシンプルで機能的に作られてはいたが、それでも10kg以上の重さはある。レイはズシリとした重さに心地よい安心感を得た。ここでの訓練で体重は10kgほど増え、甲冑を支えて動ける筋力もつけた。ヨシ!っと気合を入れる。
「形式はシエンナでの試合形式とする。5回の組み打ちの中で、どこかで一撃を決めたら勝ちだ。勝ったものは残り、次の挑戦者の挑戦を受ける。5回の組み打ちでも決まらぬ時は、両者交代となる」
自身も甲冑をつけたグレーンが宣言した。
そんなグレーンを見てヴィベールが「アイツも好きだな」と隣のアヌシビに声をかけた。
レイの横にノアがやってきて耳打ちする。
「レイ、グレーン隊長も甲冑つけてるぞ。隊長もやる気じゃ」
「ああ。……でも、そんな事どうでもいい」
そう言うとレイは、すでに準備を整え待ち構えているランスをみた。
「入団試験での借りを返してくる」
レイは中型の盾とブロードソードを手に取りランスの前に立った。ランスも同じく中型の盾とブロードソードを持っていた。グレーンが両者の間に立って「これより、ランスとレイの試合を開始する」と宣言し、「始め!!」と声をかけた。
すぐに間合いを取った二人の間に、痺れるような緊張が走った。
ランスは以前と同じように盾全体で体を隠し、剣を頭の右上段に構え切先をレイに向けた。レイも、前回のハンドグリップの小型盾とは違い、ランスと同じ盾を取ったので、身を盾に隠し剣を上段に構えると自然と同じような構えとなった。
似ている。レイはランスを見てそう思った。レイの師匠はノースレオウィルの剣術、ソード&バックラーの流れを汲む固い守りの剣術だった。そこから相手の隙をつく一撃を繰り出すのだ。師匠との戦いを思い出しながら、サッと間合いを詰めた。
それからグレーンの計らいで、入団試験の時の木製の武器、盾が用意され、加えて今回は怪我を防ぐために甲冑もつけよという事になった。シエンナの甲冑は機動性重視かつシンプルで機能的に作られてはいたが、それでも10kg以上の重さはある。レイはズシリとした重さに心地よい安心感を得た。ここでの訓練で体重は10kgほど増え、甲冑を支えて動ける筋力もつけた。ヨシ!っと気合を入れる。
「形式はシエンナでの試合形式とする。5回の組み打ちの中で、どこかで一撃を決めたら勝ちだ。勝ったものは残り、次の挑戦者の挑戦を受ける。5回の組み打ちでも決まらぬ時は、両者交代となる」
自身も甲冑をつけたグレーンが宣言した。
そんなグレーンを見てヴィベールが「アイツも好きだな」と隣のアヌシビに声をかけた。
レイの横にノアがやってきて耳打ちする。
「レイ、グレーン隊長も甲冑つけてるぞ。隊長もやる気じゃ」
「ああ。……でも、そんな事どうでもいい」
そう言うとレイは、すでに準備を整え待ち構えているランスをみた。
「入団試験での借りを返してくる」
レイは中型の盾とブロードソードを手に取りランスの前に立った。ランスも同じく中型の盾とブロードソードを持っていた。グレーンが両者の間に立って「これより、ランスとレイの試合を開始する」と宣言し、「始め!!」と声をかけた。
すぐに間合いを取った二人の間に、痺れるような緊張が走った。
ランスは以前と同じように盾全体で体を隠し、剣を頭の右上段に構え切先をレイに向けた。レイも、前回のハンドグリップの小型盾とは違い、ランスと同じ盾を取ったので、身を盾に隠し剣を上段に構えると自然と同じような構えとなった。
似ている。レイはランスを見てそう思った。レイの師匠はノースレオウィルの剣術、ソード&バックラーの流れを汲む固い守りの剣術だった。そこから相手の隙をつく一撃を繰り出すのだ。師匠との戦いを思い出しながら、サッと間合いを詰めた。
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