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1/31 伊藤

R-1

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 おかしい。

 私が殴った筈の拳はアトムの体に弾かれる事なく、ぶにょんと突き刺さったはず。

 なんで、伊藤はアトムを殴れるの?


 アトム自身も、納得できない顔をしている。

 でも……、ここまでアトムを見ていた私にはわかる。

 動揺はしていない。


 伊藤の腰がさらに落ちた。

 私は叫んでいた。

「やめなさい、伊藤!」

 伊藤、5m以上も離れてから構えを解いた。

「何者だ?」

 2人の声が重なる。

「どうやって、殴った?」

 アトムの問いが先に重ねられた。

「浸透勁だ。一筋縄では行かなそうだったのでな。
おまえこそ、どう受けた?」

「衝撃だけ、亜次元に逃した」

 ……なにやってんのよ。
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