代償【リレー小説】

1/16 北へ

Ｒ-２

「ば……、化け物」

　村の若い男は、口をぱくぱくと動かしたあとに、、ようやくそんな言葉を紡いだ。

　つまらない。

　そんなことしか言えないのか。

　僕は僕だ。そして、シモーネを守るためにここに来た。

　邪魔していると、昔からの同じ村での付き合いの誼で、大目に見ている範囲を超えるぞ。

「さぁ、シモーネ。
僕も、その男を殺したくて殺すわけじゃない。
だけど、お前を守るのは僕だから、僕はお前を守るために、僕はお前を食べようと思って、僕はお前をお前お前お前……」

　僕は、なにを言っているのだろう？

　自分で、自分の言っていることがわからない。

「さあ、おいで、シモーネ」