代償【リレー小説】

1/11 逃走

R－２

　口をすぼめ、もう一撃。

　残りのもう一本の足も吹き飛ぶ。

　油断できない相手だから、念を入れたのだ。

　そして、振り返った僕の方が戸惑っていた。

　そか、そうなるよな。

　下半身は着衣が絡みつき、ほぼ人間のまま。

　非常に目のやり場に困る。

　でも、上半身は魚。

　まだ第一段階なんだ。

　アレを喰わないと、僕やあの将軍のようにはなれない。

　アレはこの入り江にまだいるはず。

　僕は、魚人になってしまっているカレンを抱え込んで泳ごうとして、拒絶された。

　そか。

　カレン、変身と代償について、初めて理解したんだ。

　今なら戻れる。

　でも、アレを喰ったら完全に戻れなくなる。