代償【リレー小説】

1/7 シモーネ

Ｒ－１

　生まれ育った村だ。

　隅から隅まで知っていると思っていたけど、それでも村を離れている間に生じた変化もあった。

　幾つか畑の作目も去年と異なっているし、そのためか畑に棚なんかもできている場所もある。

　これらは、逃げたり隠れたりするのにも便利だろう。

　それに……。

　良いことを思いついた。

　凶王の軍は人ではない。

　だから、価値観は異なるけど、食べ物に関しては一緒だ。

　必ず畑の実りは確認に来る。

　畑なら土も柔らかい。

　僕はそこに自分を埋めて、凶王の軍の偉い奴に不意打ちをかけ、混乱に乗じてさらに狩る。

　指揮系統を失った軍は脆い。

　僕は、より安全に勝てるかもしれない。