代償【リレー小説】

緑井 藻猫R

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1/7 シモーネ

I -1

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 ただでさえ、徐々に薄れてきた花の効果。

 急に抱き着かれて突き抜けるように妹の香りが鼻腔をくすぐった。僕はシモーネを抱き返した。

 そのまま口が開く。

 頭にかじりつこう。

 いやダメだ。と残り僅かな理性がそれを抑制する。

 絶対に美味しい。食べてしまえば。食べたい。食べたい。

 食べたい。

 妹の頭にかじりつこうとした瞬間、マスクに仕込んでいた花が口に入った。

 口に広がる酷い異臭に僕はハッと我を取り戻す。

「!!」

 直ぐに口を閉じ、異臭の根源を噛み潰す。今のは危なかった。

「さぁ、行ってくれシモーネ」
「じゃぁね、お兄ちゃん」

 僕はシモーネを両親へとそっと押し出した。
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