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1468. インゼロ帝国へ
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「なんか、ジョージア様って姫さん甘いよね?」
「いいでしょ?甘くても。甘やかしてくれる人も必要よ?」
「えっ?俺、かなり甘やかしていると思うんだけど?」
驚いた表情でこちらを見るウィルに、こちらもきょとんとしてしまった。
私、ウィルに甘やかされいるの?
そんな素振りも感じていなかった私は、「嘘だぁ!」と反論する。すると、少し拗ねたような表情を一瞬したあと、前を向いてしまった。
「ウィル?」
「どうかした?」
「えっと……甘やかしてくれてるの?」
心配そうに覗き込むと、すごく神妙な表情で、ずっと遠くを見たまま、こちらに見向きもしない。仕方がないので、小さくため息をついたあと、元の距離に戻ろうとした。その瞬間、いつもの飄々としたウィルに戻って、にぃっと人懐っこい笑顔を向けてくる。この笑顔は、私たち友人だけが見れるものだそうだが、してやったりというものも見えたので、やっぱり、騙されたのだろう。
「姫さんを甘やかしたら、暴れ馬の如く、どっか行ってしまうじゃないか。誰がその暴れ馬の面倒をみるんだよ?」
「ひどいわ!暴れ馬だなんて!認めるしかないじゃない!」
「自覚はあるんだね?ジョージア様の前だと大人しく出来るのに、どうしていなくなったらこんなことになるのか。そうはおもわないか?」
私に問われているわけではないので、私は後ろを向いた。後ろにいたのは、ナタリーとセバス、ヒーナがいた。セバスは、若干、馬にしがみついているようなので、馬が迷惑そうだ。
「思いますわ。私たちもしっかり手綱を握っておかないと……」
「……アンナリーゼ様、本当、敵地に行くんだから、ちゃんとね?」
「それより、セバスは大丈夫?顔色悪くない?」
「……セバスはいつになったら、馬に乗れるようになるのかしら?」
「ナタリー、それは言わないであげてよ?」
「……本当、やめて。早く馬車に乗りたい。気持ち悪いんだけど」
顔色の悪いセバスを見て、みながため息をついた。馬に乗る練習はたびたびしているが、未だに慣れないようだ。短い距離ならなんとかなるみたいだが、公都からここまでは結構な距離だ。二人の護衛にヒーナをつけていたのだが、セバスを見て呆れているようである。
「ヒーナ、もう少しセバスにも優しくしてあげてちょうだい?」
「わかっています、アンナリーゼ様。ただ……、時間にも遅れていますから、もう少し頑張ってほしいところです」
「だ、そうだけど、セバスはあと10キロほどの道のり、大丈夫そう?」
みなが心配しながらセバスを見る。若干厳しい視線を送っているヒーナがいるが、コクンと頷くセバス。限界が近いのだろう。
「少し先に水飲み場があるから、そこまで頑張りなさい。休憩をしましょう」
「アンナリーゼ様!」
「ヒーナ、口答えは許しません。元々日程には余裕があるから、少し休憩を入れたからって大丈夫なの。それより、先に水飲み場の安全確保してきてくれるかしら?」
「わかりました」
次の瞬間には、ヒーナは飛び出して行ってしまう。軽やかな馬術のヒーナを羨ましそうに見つめるセバス。
「……僕もあれくらい、馬に乗れたらなぁ」
「ますます酷くなっていますわね?学生の頃は、まだ、乗れていたきがしますけど」
「……座りっぱなしの仕事をしているからね。だから……」
「やはり、もう少し、馬に乗れた方がいいですから、練習あるのみですわ」
「……ナタリー、それは……」
「セバスが馬に慣れないから、アンナリーゼ様が苦労するの。忘れてはダメよ?」
そういうと、ナタリーも馬を前に歩かせる。どう見ても、馬に乗りなれていますという雰囲気に、私たちはコーコナ領などへの移動で相当、馬に乗っている様子がわかる。
「まぁ、セバスもナタリー見習って、ちゃんと乗れた方がいいぞ。俺たちには、お嬢を助けるという役目があるんだから、足を引っ張るわけにはいかないから」
セバスの背中をぽんぽんと軽く叩いてから、ウィルは馬に前進するように指示をする。その場に残った二人は、先を歩くウィルとナタリーの背中を見つめながら、それぞれの想いを考えるのであった。
「いいでしょ?甘くても。甘やかしてくれる人も必要よ?」
「えっ?俺、かなり甘やかしていると思うんだけど?」
驚いた表情でこちらを見るウィルに、こちらもきょとんとしてしまった。
私、ウィルに甘やかされいるの?
そんな素振りも感じていなかった私は、「嘘だぁ!」と反論する。すると、少し拗ねたような表情を一瞬したあと、前を向いてしまった。
「ウィル?」
「どうかした?」
「えっと……甘やかしてくれてるの?」
心配そうに覗き込むと、すごく神妙な表情で、ずっと遠くを見たまま、こちらに見向きもしない。仕方がないので、小さくため息をついたあと、元の距離に戻ろうとした。その瞬間、いつもの飄々としたウィルに戻って、にぃっと人懐っこい笑顔を向けてくる。この笑顔は、私たち友人だけが見れるものだそうだが、してやったりというものも見えたので、やっぱり、騙されたのだろう。
「姫さんを甘やかしたら、暴れ馬の如く、どっか行ってしまうじゃないか。誰がその暴れ馬の面倒をみるんだよ?」
「ひどいわ!暴れ馬だなんて!認めるしかないじゃない!」
「自覚はあるんだね?ジョージア様の前だと大人しく出来るのに、どうしていなくなったらこんなことになるのか。そうはおもわないか?」
私に問われているわけではないので、私は後ろを向いた。後ろにいたのは、ナタリーとセバス、ヒーナがいた。セバスは、若干、馬にしがみついているようなので、馬が迷惑そうだ。
「思いますわ。私たちもしっかり手綱を握っておかないと……」
「……アンナリーゼ様、本当、敵地に行くんだから、ちゃんとね?」
「それより、セバスは大丈夫?顔色悪くない?」
「……セバスはいつになったら、馬に乗れるようになるのかしら?」
「ナタリー、それは言わないであげてよ?」
「……本当、やめて。早く馬車に乗りたい。気持ち悪いんだけど」
顔色の悪いセバスを見て、みながため息をついた。馬に乗る練習はたびたびしているが、未だに慣れないようだ。短い距離ならなんとかなるみたいだが、公都からここまでは結構な距離だ。二人の護衛にヒーナをつけていたのだが、セバスを見て呆れているようである。
「ヒーナ、もう少しセバスにも優しくしてあげてちょうだい?」
「わかっています、アンナリーゼ様。ただ……、時間にも遅れていますから、もう少し頑張ってほしいところです」
「だ、そうだけど、セバスはあと10キロほどの道のり、大丈夫そう?」
みなが心配しながらセバスを見る。若干厳しい視線を送っているヒーナがいるが、コクンと頷くセバス。限界が近いのだろう。
「少し先に水飲み場があるから、そこまで頑張りなさい。休憩をしましょう」
「アンナリーゼ様!」
「ヒーナ、口答えは許しません。元々日程には余裕があるから、少し休憩を入れたからって大丈夫なの。それより、先に水飲み場の安全確保してきてくれるかしら?」
「わかりました」
次の瞬間には、ヒーナは飛び出して行ってしまう。軽やかな馬術のヒーナを羨ましそうに見つめるセバス。
「……僕もあれくらい、馬に乗れたらなぁ」
「ますます酷くなっていますわね?学生の頃は、まだ、乗れていたきがしますけど」
「……座りっぱなしの仕事をしているからね。だから……」
「やはり、もう少し、馬に乗れた方がいいですから、練習あるのみですわ」
「……ナタリー、それは……」
「セバスが馬に慣れないから、アンナリーゼ様が苦労するの。忘れてはダメよ?」
そういうと、ナタリーも馬を前に歩かせる。どう見ても、馬に乗りなれていますという雰囲気に、私たちはコーコナ領などへの移動で相当、馬に乗っている様子がわかる。
「まぁ、セバスもナタリー見習って、ちゃんと乗れた方がいいぞ。俺たちには、お嬢を助けるという役目があるんだから、足を引っ張るわけにはいかないから」
セバスの背中をぽんぽんと軽く叩いてから、ウィルは馬に前進するように指示をする。その場に残った二人は、先を歩くウィルとナタリーの背中を見つめながら、それぞれの想いを考えるのであった。
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