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それじゃあ

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「報告はそれくらいにしましょうか。セバスからの情報は時間を見つけて屋敷へ来てくれる手筈になっているから。最後は、領地へ戻る日にちを決めたいのだけど」


「どう思う?」とアデルへ視線を送ると、考えを纏めているようだ。今日、コーコナ領から帰ったばかりだ。私だけならまだしも、レオとダリアは負担になるだろう。


「最低でも、1週間は時間をおいて移動にするか、アンナ様とは別に隊を組むか。どちらかになりませんか?」
「そうよね。私は旅慣れているけど、レオはまだ体力的には子どもだし、ダリアも長距離の移動は大変よね。セバスも城の案件を片付けて行きたいでしょうから」
「パルマのためですね?」
「ディル、パルマをいつまでも子ども扱いしないで?立派に勤めをはたしているわ」


 ディルを窘めると、「ついつい」と言葉を濁してしまう。パルマは城勤めをしているが、一応、アンバー公爵家の次期筆頭執事候補でもあった。優秀な人材であるため宰相も手放さないのだが、パルマはトワイス国の者であるので、アンバー公爵家預かりでもある。執事としての教育をディルが手塩にかけてしているので、ついつい親心が出てしまうのだろう。
 私たちがいない間でも、ディルを訪ねて屋敷に来ることがあるらしい。信頼関係が出来上がっている証拠なのだろう。


「いつもセバス様の仕事が片付いてから移動されますけど、それではダメなのですか?」
「構わないわ。領地には優秀な人材がたくさんいるから、私が何か言うより、ずっと仕事が効率よく動いているわよ」
「それなら、今年もセバス様の仕事がひと段落する時期に移動するとしましょう」
「去年はいろいろとありましたからね」


 ディルの含みある言葉に苦笑いしながら、「今年は何もないわよ」と笑い返した。今のところ、ウィルからもセバスからも情報はないので、順調のようだ。ジョージア的には、アンバー領へ早く帰りたい気持ちはあるだろうが、ジョージアの個人的に帰りたいというのは、対応しない。


「何はともあれ、セバスに連絡ね」
「ウィル様はいいのですか?」
「隊長格にはなっているけど、主な仕事はハニーローズ……アンジェラの護衛だわ」
「確かに。忘れれしまいそうです」
「とはいえ、ウィルも隊長格であることには変わりないから、やらないといけないこともあるはずよ。邪魔にされても……大隊長だからね」


 三人でウィルのことをクスクスと笑っていると、玄関に馬車の停まった音がした。どうやら、城からジョージアたちが帰ってきたようで、馬車の停まった音のあとに子どもたちの声も聞こえてきた。
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