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戻れば戻ると
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「あと少しで公都ですね?」
「そうね。どうして帰りって早く感じるのかしらね?」
「それは、同じ道を通っているからわくわく感がないからだそうですよ」
ダリアの顔にはわくわく感しか感じられない表情を見ながら頷いた。話を聞く限り、コーコナ領が嫌だったとか窮屈だったとかではないらしい。ただ、セバスがいなかったことを寂しく思ったようだ。新婚早々連れまわした私の落ち度なのかもしれないが、セバスは今、城に缶詰で屋敷には帰れないと聞いている。アンバー領への出向を命じられているが、社交の季節だけは、私に付き従い公都に帰ってくるので、公都での仕事……城での仕事を余儀なくされる。ウィルも同じではあるが、大隊長の仕事はほとんどを部下たちに任せてあるので、口出しするとかえって混乱を招くので、見直ししたい訓練であったり、相談事だけに答えているようで、セバスに比べれば、仕事は少ないようだ。
「先にダリアを送って行くから」
「いえ、申し訳ないですので、みなさんが降りてからで大丈夫です」
「いいのよ。今日はセバスに屋敷に帰るよう言ってあるから、先に向かいましょう。私は立ち寄らないから、また、明日か明後日、セバスの都合のいい時間に屋敷に来てと伝えてくれる?」
「わかりました。必ず伝えます。本当にお言葉に甘えてもいいのですか?」
「もちろんよ!」と微笑んだ。レオはウィルがミアをアンバーの屋敷に迎えに来るので、そこで落ち合うことになっている。
「長い時間、拘束してしまってごめんね?」
「いえ、屋敷にいても、特に何もすることがありませんでした。セバスチャン様も城へ向かわれたままだと聞いていますので、視察に連れて行っていただいて、良かったと思っています」
「それならよかったわ。次ダリアに会うのは、アンバー領へ向かうときかしらね?」
「そうなると思います。また、領地ではお世話になります」
「そういえば、屋敷が建ったと聞いているから、ぜひ、招待してちょうだいね?」
「もちろんです。屋敷といえど、お隣ですから、すぐですけど……」
「それでも、かなり拘った作りになっているそうだから、私も楽しみにしているわ」
屋敷の設計には関わっていないらしいのだが、嬉しそうにしているあたり、設計図は見せてもらっているようだ。ダリアのために建てたと言っても過言ではない屋敷でもある。その表情を見ればわかる。
馬車がガタンと停まった。どうやらトライド男爵の屋敷に着いたようで、挨拶をするダリア。デリアが、扉を開き先に降りていく。外には男爵邸の侍従が荷物を運ぶ段取りをしていたので、デリアがテキパキと指示をしていく。侍従であっても、公爵邸の侍女であるデリアの方が位が上になるので、見事な采配を私への挨拶のために飛び出して来たトライド男爵夫妻が驚いていた。荷物はあっという間に分けられ、屋敷へと運ばれていく。ダリアも馬車から降りたので、私は馬車の中からダリアや男爵夫妻に向かって「ごきげんよう」と挨拶をした。すぐに馬車の扉は閉められ、みなが待つアンバー公爵の屋敷へと馬車は再度走り出した。
「そうね。どうして帰りって早く感じるのかしらね?」
「それは、同じ道を通っているからわくわく感がないからだそうですよ」
ダリアの顔にはわくわく感しか感じられない表情を見ながら頷いた。話を聞く限り、コーコナ領が嫌だったとか窮屈だったとかではないらしい。ただ、セバスがいなかったことを寂しく思ったようだ。新婚早々連れまわした私の落ち度なのかもしれないが、セバスは今、城に缶詰で屋敷には帰れないと聞いている。アンバー領への出向を命じられているが、社交の季節だけは、私に付き従い公都に帰ってくるので、公都での仕事……城での仕事を余儀なくされる。ウィルも同じではあるが、大隊長の仕事はほとんどを部下たちに任せてあるので、口出しするとかえって混乱を招くので、見直ししたい訓練であったり、相談事だけに答えているようで、セバスに比べれば、仕事は少ないようだ。
「先にダリアを送って行くから」
「いえ、申し訳ないですので、みなさんが降りてからで大丈夫です」
「いいのよ。今日はセバスに屋敷に帰るよう言ってあるから、先に向かいましょう。私は立ち寄らないから、また、明日か明後日、セバスの都合のいい時間に屋敷に来てと伝えてくれる?」
「わかりました。必ず伝えます。本当にお言葉に甘えてもいいのですか?」
「もちろんよ!」と微笑んだ。レオはウィルがミアをアンバーの屋敷に迎えに来るので、そこで落ち合うことになっている。
「長い時間、拘束してしまってごめんね?」
「いえ、屋敷にいても、特に何もすることがありませんでした。セバスチャン様も城へ向かわれたままだと聞いていますので、視察に連れて行っていただいて、良かったと思っています」
「それならよかったわ。次ダリアに会うのは、アンバー領へ向かうときかしらね?」
「そうなると思います。また、領地ではお世話になります」
「そういえば、屋敷が建ったと聞いているから、ぜひ、招待してちょうだいね?」
「もちろんです。屋敷といえど、お隣ですから、すぐですけど……」
「それでも、かなり拘った作りになっているそうだから、私も楽しみにしているわ」
屋敷の設計には関わっていないらしいのだが、嬉しそうにしているあたり、設計図は見せてもらっているようだ。ダリアのために建てたと言っても過言ではない屋敷でもある。その表情を見ればわかる。
馬車がガタンと停まった。どうやらトライド男爵の屋敷に着いたようで、挨拶をするダリア。デリアが、扉を開き先に降りていく。外には男爵邸の侍従が荷物を運ぶ段取りをしていたので、デリアがテキパキと指示をしていく。侍従であっても、公爵邸の侍女であるデリアの方が位が上になるので、見事な采配を私への挨拶のために飛び出して来たトライド男爵夫妻が驚いていた。荷物はあっという間に分けられ、屋敷へと運ばれていく。ダリアも馬車から降りたので、私は馬車の中からダリアや男爵夫妻に向かって「ごきげんよう」と挨拶をした。すぐに馬車の扉は閉められ、みなが待つアンバー公爵の屋敷へと馬車は再度走り出した。
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