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視察からの帰ったら

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「あとは、お願いね?」
「任せてください。アンナリーゼ様も忘れないでくださいね?」
「うん、先生のことね。任せておいて!」


 私たちは視察を終えて、チャコとシークと別れた。馬車に揺られて屋敷へと戻った。結構な距離を歩いたので、レオとダリアはお疲れのようで眠っている。デリアがさっとひざ掛けをそれぞれにかけてやっていた。


「ありがとう、デリア」
「いえ、これくらいのこと。お二人ともよく眠られていますね?」
「うん、結構な距離を連れまわしていたいたからね。疲れたと思うよ」
「ダリア様はわかるのですが、レオ様もですか?」
「うん、まだ、子どもだからね。いくら鍛えているとはいえ、体力の限界値は私たちより少ないわ。それに寝る子は育つのよ?しっかり育ってもらわないと!」


 レオの金髪を撫でると、口がむにょっと動いている。リアンかウィルに頭を撫でてもらったとでも思ったのだろうか。あどけない寝顔が可愛くて仕方がない。


「レオ様ももう少ししたら、デビュタントではないですか?」
「そうね。そのあたりはリアンと相談しているってウィルが言ってた」
「伯爵の子として、デビュタントになるのですか?」
「そうね。そうなるわ。でも、ウィルは、一代限りの爵位だから、いずれ、自分自身で爵位を取らないといけないとは、言っているみたいね。アンジェラの護衛になるのなら、なおのこと。焦ることなく、爵位授与を目指すようレオの教育も進んでいるらしいわ」
「……こんな小さな子でも、将来を自身の手で掴まないといけないのですね」
「お家断裂になっていなければ、男爵位っていう手もあるにはあるんだけど……私が潰しちゃったからね」


 苦笑いをしながら、デリアの方を見ると、辛そうな表情をしていた。私の周りには、ダドリー男爵に連なる者たちが多すぎると常々デリアに言われてきたのだが、レオとミア兄妹にその母であるリアン、ソフィアの子であるジョージと……私に近しいところにいるものが多いので、心配してくれている。


「アンナ様、もう少しご自身のことも考えられてはいかがですか?レオ様やミア様はアンジェラ様のために、リアンは子どもたちのために、ジョージ様はジョージア様の願いで側においていらっしゃいます。本当に、アンナ様の心は大丈夫なのですか?」
「えぇ、大丈夫よ。私も望んで側に置いているの。だから、悲しいことは言わないでちょうだい」


 デリアに笑かけ、レオの頭をもう一度撫でる。きらきらと輝く金髪が顔にかかったので取ってやると、更に深い眠りについたようだ。余程疲れているようで、屋敷までゆっくりと眠らせてあげることにした。
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