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警備隊のお仕事Ⅲ

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「さっきからの話を聞く限り、自分たちがいかに何も考えていなかったことがわかりますね」
「シーク」
「そうだろう?チャコ。この町が新しくなることに関わったからこそ、気が付いたこともたくさんあった。だた、なんとなく、警備隊に入って、偉そうに見回りと言って、フラフラとしていただけなのか……」
「まぁ、確かにな。他の地域の警備隊もそんな感じじゃないのか?」
「違うと思うわよ?」


 私が口を挟んだので驚いてこちらを見てくる。あまりにも驚いた表情を向けてくるので、こちらも驚いた。


「アンナは各地回っていますからね。警備隊の状況も知ってはいますよ」
「これでも領主ですから?」


 小首を傾げて可愛らしく言ってみると、忘れていたかのような驚きが返ってきた。

 ……領主には見えないでしょうけどね?

 どこに行ってもあんまり領主らしからぬ振る舞いをしているので、すっかり忘れている人もいるそうだ。私はそれで構わないし、領主です!と主張する機会はそれほど多くなくていいとも思っている。それよりも、私は、こうやって町や村を歩き回ってみんなの生活を見て回りたかった。


「……あまりにも自然すぎて忘れてしまいます」
「いいのよ。それで。別に命令することも今はないし、ちゃんと、そのときが来れば、公爵だっていうのは嫌というほどわからせてあげるから」
「……いえ、十分わかりました」
「えっ?まだ、何も発揮していないけど?」
「思い出しただけで、十分ですよ。アンナリーゼ様が現場第一にされていることも、昨年知って驚いたんですけど、そうですか。他の地域は……」
「関りが深かったからね。コーコナ領の基幹産業に関わるし、災害もあったから。警備隊との関りも多かったから仕方がないわよ」


 シークは何か言いたげであったが、私はそれ以上を受け入れなかった。それよりも、今、二人が感じていることを他の警備隊員にも伝えて欲しいと思う。


「チャコもシークも、この町に関わって変わったと聞いているわ。最初こそあれだったけど、人は変われるし、次の世代にどうあるべきなのか伝えていってほしいわ。慣れ合いではなく、仕事として領民への感心を持ってほしいの。それが、領地で起こるかもしれない何かに繋がる場合もあるし、私への報告として上がってくることもあるから。領主って、全てを把握しているわけではないのよ。あなたたちのような人が私の目になり耳になり情報を与えてくれるの。だから、期待しているのよ」
「ありがとうございます。またひとつ、気付けた。今日は町の案内を出来て良かったです」
「そうね。私も楽しかった。まだ、全部は回り切れていないからそろそろ行きましょうか?」


 私たちは席をたち、店を出た。町の見ていない場所をフラフラと歩き回って、変わっていった町に何度も頷いた。途中、チャコとシークに声をかけてくる人がいるのを見れば、この二人も変わったのだなと感じた。
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