1,440 / 1,480
変わっていくことへの期待Ⅴ
しおりを挟む
「どうして?領地のことを考えてくれていたのでしょ?」
「……そうですけど、一介の警備隊員が口を出していいものではないかと」
「そう?ここは、他領とは違い私の領地だもの。領民が何を考え、何をしてほしいのかを知れる機会は多くないわ」
「アンバー領では、そういう領民からの意見みたいなものは、どうやって収拾しているのですか?」
シークも興味があるらしく、私に問いかけてくる。チャコはシークの質問を止めようと下が、私は首を横に振り、反対にチャコを止めた。
「アンバー領を実際運営しているのは、イチアよ。特殊な経歴の持ち主で、経験も豊富。私の先生役でもあるわ。加えてノクトも同じね。私にも領地への提案はあるけど、私の提案が必ずしも領民にとっていいとは限らないのよ。そこで、領民との間に入ってくれているのが、警備隊の隊長たち」
「警備隊ですか?」
「そう。何か困ったことがあれば、警備隊に連絡するの。あとは、要望があるときなんかね?」
「それって……膨大な情報とか要望数になりませんか?」
「ある程度、警備隊に届くまでに精査されているわ。町や村には代表となるものがいて、その人物を中心に話し合いの場を作るの。農作物で人手がいるから、どうにかならないかとか……ね?」
「えっと……その話し合いでまとまった意見が警備隊に届けられて、それを領主が見る?」
「そんな感じ。全ての意見が通るわけではないのだけど……予算とかいろいろあるからね?でも、拾える意見があるなら参考にして検討することもあるわよ?」
私の話を真剣に聞くチャコとシーク。自分たちは町を領地を守るだけが仕事だと思っていたというふうで、もちろん、それは間違っていない。ただ、それが全てだとも私は思っていなかった。自身が屋敷から飛び出している時間が多いからというのもあるが、町や村のあちこちで挨拶をして、元気だったかと聞いて回ることもある。領主だとみなが知っているというのもあるが、アンバー領での「ゴミ拾いのアンナちゃん」の印象が強いらしく、受け入れられている。その話もする。
「……たしかに、警備隊は町や村を回る仕事ではあります。不審な人がいれば声をかけることはあるけど、そうか。町の人に声をかけてもいいんですね?」
「うん、慣れ合いはダメだよ?取り締まる側だからね。でも、生活に変わりがないかとか、少し話を聞くだけで、不審者発見ってこともなくもないから」
「あぁ、ありましたね?不審者とっつ構えたこととか」
「アデルは現場にいなかったんじゃないの?」
「取り調べの方法を聞かれたので、一緒に調書とるときにはいましたよ?」
アデルも警備隊ではないものの、元近衛であるので、何かと私の知らないところで活躍をしているらしい。アデルの話を聞きたそうにしているので、時間を取ろうと言う話になった。
「……そうですけど、一介の警備隊員が口を出していいものではないかと」
「そう?ここは、他領とは違い私の領地だもの。領民が何を考え、何をしてほしいのかを知れる機会は多くないわ」
「アンバー領では、そういう領民からの意見みたいなものは、どうやって収拾しているのですか?」
シークも興味があるらしく、私に問いかけてくる。チャコはシークの質問を止めようと下が、私は首を横に振り、反対にチャコを止めた。
「アンバー領を実際運営しているのは、イチアよ。特殊な経歴の持ち主で、経験も豊富。私の先生役でもあるわ。加えてノクトも同じね。私にも領地への提案はあるけど、私の提案が必ずしも領民にとっていいとは限らないのよ。そこで、領民との間に入ってくれているのが、警備隊の隊長たち」
「警備隊ですか?」
「そう。何か困ったことがあれば、警備隊に連絡するの。あとは、要望があるときなんかね?」
「それって……膨大な情報とか要望数になりませんか?」
「ある程度、警備隊に届くまでに精査されているわ。町や村には代表となるものがいて、その人物を中心に話し合いの場を作るの。農作物で人手がいるから、どうにかならないかとか……ね?」
「えっと……その話し合いでまとまった意見が警備隊に届けられて、それを領主が見る?」
「そんな感じ。全ての意見が通るわけではないのだけど……予算とかいろいろあるからね?でも、拾える意見があるなら参考にして検討することもあるわよ?」
私の話を真剣に聞くチャコとシーク。自分たちは町を領地を守るだけが仕事だと思っていたというふうで、もちろん、それは間違っていない。ただ、それが全てだとも私は思っていなかった。自身が屋敷から飛び出している時間が多いからというのもあるが、町や村のあちこちで挨拶をして、元気だったかと聞いて回ることもある。領主だとみなが知っているというのもあるが、アンバー領での「ゴミ拾いのアンナちゃん」の印象が強いらしく、受け入れられている。その話もする。
「……たしかに、警備隊は町や村を回る仕事ではあります。不審な人がいれば声をかけることはあるけど、そうか。町の人に声をかけてもいいんですね?」
「うん、慣れ合いはダメだよ?取り締まる側だからね。でも、生活に変わりがないかとか、少し話を聞くだけで、不審者発見ってこともなくもないから」
「あぁ、ありましたね?不審者とっつ構えたこととか」
「アデルは現場にいなかったんじゃないの?」
「取り調べの方法を聞かれたので、一緒に調書とるときにはいましたよ?」
アデルも警備隊ではないものの、元近衛であるので、何かと私の知らないところで活躍をしているらしい。アデルの話を聞きたそうにしているので、時間を取ろうと言う話になった。
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜
O.T.I
ファンタジー
レティシア=モーリスは転生者である。
しかし、前世の鉄道オタク(乗り鉄)の記憶を持っているのに、この世界には鉄道が無いと絶望していた。
…無いんだったら私が作る!
そう決意する彼女は如何にして異世界に鉄道を普及させるのか、その半生を綴る。
引きこもりが乙女ゲームに転生したら
おもち
ファンタジー
小中学校で信頼していた人々に裏切られ
すっかり引きこもりになってしまった
女子高生マナ
ある日目が覚めると大好きだった乙女ゲームの世界に転生していて⁉︎
心機一転「こんどこそ明るい人生を!」と意気込むものの‥
転生したキャラが思いもよらぬ人物で--
「前世であったことに比べればなんとかなる!」前世で培った強すぎるメンタルで
男装して乙女ゲームの物語無視して突き進む
これは人を信じることを諦めた少女
の突飛な行動でまわりを巻き込み愛されていく物語
【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。
ただひたすら剣を振る、そして俺は剣聖を継ぐ
ゲンシチ
ファンタジー
剣の魅力に取り憑かれたギルバート・アーサーは、物心ついた時から剣の素振りを始めた。
雨の日も風の日も、幼馴染――『ケイ・ファウストゥス』からの遊びの誘いも断って、剣を振り続けた。
そして十五歳になった頃には、魔力付与なしで大岩を斬れるようになっていた。
翌年、特待生として王立ルヴリーゼ騎士学院に入学したギルバートだったが、試験の結果を受けて《Eクラス》に振り分けられた。成績的には一番下のクラスである。
剣の実力は申し分なかったが、魔法の才能と学力が平均を大きく下回っていたからだ。
しかし、ギルバートの受難はそれだけではなかった。
入学早々、剣の名門ローズブラッド家の天才剣士にして学年首席の金髪縦ロール――『リリアン・ローズブラッド』に決闘を申し込まれたり。
生徒会長にして三大貴族筆頭シルバーゴート家ご令嬢の銀髪ショートボブ――『リディエ・シルバーゴート』にストーキングされたり。
帝国の魔剣士学園から留学生としてやってきた炎髪ポニーテール――『フレア・イグニスハート』に因縁をつけられたり。
三年間の目まぐるしい学院生活で、数え切れぬほどの面倒ごとに見舞われることになる。
だが、それでもギルバートは剣を振り続け、学院を卒業すると同時に剣の師匠ハウゼンから【剣聖】の名を継いだ――
※カクヨム様でも連載してます。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
踏み台令嬢はへこたれない
三屋城衣智子
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる