ハニーローズ  ~ 『予知夢』から始まった未来変革 ~

悠月 星花

文字の大きさ
上 下
1,427 / 1,513

学校運営についてⅢ

しおりを挟む
「収入が上がれば、領主としては税収が増えるっていうのもありがたい話なんだけど、学ぶことで、その人自身の価値が上がるのね?そうすると、例えばなんだけど……今までの
 環境から飛び出して、新しい挑戦をしようと考える人も出てくるのね?」
「自分を試したい、もっと知識を得たいというやつですね?」
「そう。それが、いいほうへいけば、アンバー領にいるような集団になったりするわけ」
「その最たるがヨハン教授ですね!」


 アデルが様当然のようにいうが、どちらかというと、ヨハンは欲の塊すぎて失敗なんじゃないかと思う。あえてそれは口にしないでおくが、苦笑いをしておいた。


「でも、町から出て行ってうまくいかなかったら?夢半ばで諦めてしまったら?」
「そういう人も出てくるでしょうね。その中から、また、立ち上がる人も出てくるとは思うけど……学びから冒険へ、挫折から気付きへと続いて、さらにそこからもう一歩進める勇気のある人は伸びて行く。人生全てがうまくいくわけではないけど、そういうことが大切だってわかるときが来る。やるかやらないかって選択肢があるなら、やる!っていうのが、今、学校に押し寄せてくる大人たち。今回の出来事で、諦めなくていいんだ、やってやるんだ!って気持ちになったから、学校へ来て、子どもたちの時間を奪ってまで学んでるんだよ」
「それじゃあ、子どもたちの時間はどうすれば……?」
「だから、時間や学習内容を分けるのよ。大人向けですってうたうことで、そちらに流れる人も増えるでしょ?より実践的な内容にすれば、子どもたちの学習に混ざる意味が無くなるわ」


 ココナが頷き、チャコは他にも考えているようだった。このチャコという人物……アンバーでいうところのリリーのような存在で私たちと領民とのあいだで良く動き回ってくれる。何より、チャコなりによく考えていることだ。1年前では考えられないことに、きちんとした目標や目的があるだけで、人は変われるのだとこの領地での手本となるような人物でもある。リリーには及ばないが、チャコやシークもまだまだ、成長の余地があるということでもある。


「大人用の学習要領って、どうしたものですか?」
「うん、それは、アンバー領から適切な人を呼び寄せることにするよ。学習要領も、何種類も用意しないといけないだろうから。しばらくは、このままだから、子どもたちを見守ってくれると助かるわ」
「わかりました。アンナ様は、やはり面白い感性の持ち主ですね?」
「私が?」
「はい。貴族だからって知っている知識ではありませんよね?」


 疑うチャコに私は、「みなと同じように学んだわ」と笑いかけると、胡乱目で見つめられる。確かに、私が領地や領民のために勉強しているというのが想像出来ないようであった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

『伯爵令嬢 爆死する』

三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。 その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。 カクヨムでも公開しています。

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

「あなたの好きなひとを盗るつもりなんてなかった。どうか許して」と親友に謝られたけど、その男性は私の好きなひとではありません。まあいっか。

石河 翠
恋愛
真面目が取り柄のハリエットには、同い年の従姉妹エミリーがいる。母親同士の仲が悪く、二人は何かにつけ比較されてきた。 ある日招待されたお茶会にて、ハリエットは突然エミリーから謝られる。なんとエミリーは、ハリエットの好きなひとを盗ってしまったのだという。エミリーの母親は、ハリエットを出し抜けてご機嫌の様子。 ところが、紹介された男性はハリエットの好きなひととは全くの別人。しかもエミリーは勘違いしているわけではないらしい。そこでハリエットは伯母の誤解を解かないまま、エミリーの結婚式への出席を希望し……。 母親の束縛から逃れて初恋を叶えるしたたかなヒロインと恋人を溺愛する腹黒ヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:23852097)をお借りしております。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

処理中です...