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お出かけ日和Ⅶ

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 食事処を出た私たちは、また少し馬車に揺られる。それほど時間はかからず、目的地へ着いた。


「今日はどんな視察になるのでしょう?」
「所謂裏路地を抜けたら……っていう場所に向かうの」
「それって、危なくないんですか?」
「コーコナ領は改善されているはずよ?去年、来たときに一掃したから。町全体を作り直したの」
「作り直したって……規模が」
「ふふっ、それほど大きなものではないし、コーコナ領の予算に私財を使えば、出来ないことはないわ」
「……そんなことが言えるのは、アンナ様だけですよ?」


 聞いていたダリアがため息をついて呆れている。その気持ちもわからなくはないが、できるだけ管理している領地は領民にとって、生活がしやすい場所であってほしい。ココナのような犠牲がないようにと願ってのことだ。


「エルドア国を考えると、なかなか規模的に難しいでしょうけど、領地自体が小さな規模のコーコナ領なら、改善は可能なのよ。アンバー領の規模の立て直しもした経験があるからっていうのもあるけど、コーコナ領の主要産業自体が、潤っているから難しくもないわ」
「それはどうしてですか?」
「産業が活発なら、働き口があるということ。日銭稼ぎで食うや食わずだった人が、学ぶ機会や仕事につけて生活基盤が安定する環境を整えるのが私の仕事だから。そうすることで、産業の活性化や税収にも繋がるし、他領へ出ていくことになったとしても、コーコナ領の領民は優秀だと広まれば、次に領地から旅立つ人の足掛かりにもなるでしょ?」
「そういうものですか?」
「そういうもの。実際、アンバー領で研究員をしていたものたちが他領での活躍を耳にすることも多くなってきたし、警備隊から近衛になった人もいるわ。もちろん、コーコナ領からも、商才をかわれて他領で活躍している者もいるからね?」
「……まだまだ知らないことがたくさんありますね。僕ももっと勉強を頑張らないと」


 私はレオの言葉に頷いた。レオ自身、向上心の塊のような少年である。未来の姿も知っているが、最終的にウィルのような存在になるだろう。目指しているのが、ウィルなのだから。


「そうね。勉強も出来るにこしたことはないよ?ウィルみたいに。私は勉強はダメだったけど、ウィルは両方よかったからね。バランスのいい出来具合だったし……悔しいけど、認めるわ」
「父様、ずっと試験は2位だったと聞いています」
「そうね。ハリーが常に1位だったから……。違う学年なら、間違いなく、主席よね」


 当時を思い出しクスっと笑うと、「僕も目指してみます」とレオがきらきらした目で私を見てきた。
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