ハニーローズ ～ 『予知夢』から始まった未来変革 ～

お出かけ日和とお昼ご飯

「さすが、アデルよね？」
「……さすがではありません。これは、もう慣れです。いいですか？ココナさん！」


　私のお供が多いアデルにとって、外での振る舞いは日常的なものではあるが、ココナは私たちと出かけることが少ないし、出かけたとしても、私と食事をすることなんてなかったから、その驚きなのである。

　……それにしても、アデルが得意げに話をしているわ。

　私は、アデルがココナに注意点を小声で話しているのを聞きながら微笑んだ。

　アデルも最初はココナと同じかそれ以上だったんだけどな。まぁ、私の仲間の一人になって馴染んだということね。

　いいことではあるので、感慨深く二人を見つめていると、ダリアが耳打ちしてくる。


「あのお二人の距離間を見ていると、恋人のようですね？」
「そうね。こうやってみると、なんだかお似合いだけど……」
「何かあるのですか？」
「うん、アデルの想い人は別だから」
「……たしか、リアンでしたか？孤児院の」
「そう。レオとミアの母親よ」
「なるほど。複雑ですね？」
「そう？リアンは元々ダドリー男爵の第三夫人だからね？」


　私がリアンのことを話すと、思わず大きな声を出してしまったダリア。その瞬間、アデルとココナの会話も止まった。


「ダリアさんはどうかしましたか？」


　不思議そうにアデルが私とダリアを交互に見て首を傾げている。ニコッと笑って誤魔化すと、もう一度、二人が私とダリアを見てから、話に戻っていく。


「……すみません。はしたなくも」
「いいのよ。知っている人は少ないわよ？レオとミアの出生も知っている人はごくわずかね」
「……あの、アンナはいいのですか？」


　チラッとレオを見るダリアに頷いた。レオの頭を撫でると、アデルたちへ真っすぐ向いていたレオがこちらを見上げる。


「アンナさん、どうかした？」
「うぅん、なんでも。レオは大人しいなって思って」
「そうかなぁ？」
「そうそう。でも、数年後にはモテモテで大変になりそうよね」
「……どういうことですか？」
「成人して学園に行く頃には、もっとかっこよくなって、ウィルをも凌ぐ学園いちのモテる男の子になりそうよね？」


　少し照れたような表情をするレオ。ダリアもバカな質問をしたと思ったのか、レオの頭をそっと撫でた。私に撫でられることはあるが、ダリアに撫でられたことはなかったので、レオは破顔している。
　私はなんだか複雑な気持ちになってしまったが、そろそろメニューを広げてもいいものかと問うてみたのであった。