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買いたいものⅢ

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  うーんと唸りながら、ダリアが服を選んでいる。適当でいいとはとてもじゃないが言えず、私とアデルは見守っていた。ダリアの好みを疑っているわけではないが、セバスへの贈り物という特別な枠組みになると、悩みに悩んでいるようだった。そんなダリアの姿を私は可愛いと思う。アデルも微笑ましくダリアを見つめているので、同じような気持ちなのだろう。


「どんな服を選びますかね?」
「そうだな。あのあたりの服を見ているのだから、ふだんと然程かわらないのじゃないかしら?」
「それって、お忍び用になります?」
「まぁ、正直着ている人によるわよね?」
「と、いいますと?」
「ジョージア様は、何を着ても貴族なのよ」
「どうしてですか?」
「立ち居振る舞いがね。歩く姿でさえ、もう貴族です!って感じだから、周りが気を使ってくれているわ」


 ジョージアのことを想像をしているらしく、何度かアデルは頷いた。そのあと、私を見る。アデルを見つめ返すと、頷くので小首を傾げてみた。


「アンナは、貴族って感じがしないのは、ふだんから屋敷を抜け出しているから?」
「人聞きの悪い言い方しないで?間違ってはいないけど、傷つくわ」
「間違ってはいないのですね?」
「否定はしないわよ?でも、適応能力があるって言ってくれるかしら?ウィルに言われているみたいで、今、アデルのこと締めあげたいと一瞬思ってしまったもの」
「それは、困りる。アンナに締められたら、確実に意識が飛びますから。ウィル様、なら、確かに言いそうですね……」


 小さくため息をついているアデルと店員にいろいろと質問を始めたダリアを交互に見ながら、しばらく時間がかかりそうだ。


「アンナは、いつも着ている服はナタリー様からの支給品なのですか?」
「支給品って、おもしろいことをいうのね?間違ってはいないけど。ナタリーが私に合うものを年に数着作ってくれるの。私はすぐに汚したりするから……」
「そのあとの服ってどうするので?」
「汚したのは着ないでとデリアに言われるから、渡し下げかしら?メイドや侍女たちに。私が着ていると言っても、だいたい数回袖を通しただけだからね」
「多少は破れているけど?」
「それほど、汚していないのだけど、破れてもいないし。でも、デリアがダメと言ったらだめだからね。本当にお気に入りの物は、汚さないようにと心がけているの」


 私の意外な一面を知ったとアデルが驚いていた。ダリアの方を見てみると、さっきより見ている数が多いようだ。私はアデルと一緒に、ダリアへと近づ、どんなものを選んだのか聞こうと移動した。
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