1,389 / 1,515
お忍び視察
しおりを挟む
今日はどこを周るとか何も考えていない。とにかくダリアと町をぶらつこうと思って出てきただけなので、中心部へと向かう。
歩いて行ける距離ではないので、途中で乗合馬車に乗ることにした。
「どうして乗合なのですか?屋敷で用意できましたよ?」
「逆にアデルに聞くけど、どうして乗合はダメなの?」
馬車には私たち三人と御者しかいないので、疑問に思ったことを聞いてくる。私は質問を質問で返した。すると、悩んでいるアデル。答えは簡単なのだが、思いつかないようだ。
ダリアが見かねて話に割って入ろうとしたので、私は首を横に振る。アンバー領で働くなら、これくらい答えを導いてほしい。今よりもっと難しい護衛はたくさんこなしているはずなのに、思いつかずに残念だ。
だんだん、憐れになってきて、小さくため息が漏れてしまう。過剰に反応してしまうのはアデルで何か言わなくてはと焦っている。
「簡単なことよ。乗合だとおしゃべりしていう領民と一緒に馬車に乗れるということよ?」
「あぁ、それならわかります」
「答え合わせをする?」
「お願いします!」
そう言ってアデルは、自分が考えることを話してくる。答えは完璧で理解している。やはり、領地の問題を考えてくれているのはよくわかった。
「アンナ様は、こうして領地を回られるのですか?」
「いいえ。今回は思いつきだから、いつもは馬で周るわよ?視察と言うより、ダリアと出かけたかっただけだから」
「そうだったのですか?お邪魔にはならないようにしないとと思っていたのですが」
「全然。邪魔だなんて思っていないわ。コーコナ領のことをダリアにも知ってほしかったから、今日は、いろいろなことを忘れて、楽しみましょう!」
ダリアに微笑みかけると、予想外の答えだったようで、驚いたあとで目を見開いていた。
迷惑だったかな?と思うところもあるが、出かけることは悪いことではないだろう。
「そういえば、セバスとアンバー領や公都はもう周ったかしら?」
「まだですよ。少し仕事が立て込んでいたので、それが落ち着いてからとなりました」
「なるほどね。そのほうがいいわね。セバス、アンバー領でも、公都の文官たちの中でも忙しいからね……」
「それは聞いているので、大丈夫ですよ!」
「寂しくなったら言って。セバスにいいつけるから」
「滅相もないです。ちゃんと家に戻ってきてくれることが、私に取って嬉しいことです」
そういって笑い、セバスのことを考えながらダリアと二人、乗合馬車の中で笑いあう。アデルもそれを微笑ましく見守っていてくれた。
歩いて行ける距離ではないので、途中で乗合馬車に乗ることにした。
「どうして乗合なのですか?屋敷で用意できましたよ?」
「逆にアデルに聞くけど、どうして乗合はダメなの?」
馬車には私たち三人と御者しかいないので、疑問に思ったことを聞いてくる。私は質問を質問で返した。すると、悩んでいるアデル。答えは簡単なのだが、思いつかないようだ。
ダリアが見かねて話に割って入ろうとしたので、私は首を横に振る。アンバー領で働くなら、これくらい答えを導いてほしい。今よりもっと難しい護衛はたくさんこなしているはずなのに、思いつかずに残念だ。
だんだん、憐れになってきて、小さくため息が漏れてしまう。過剰に反応してしまうのはアデルで何か言わなくてはと焦っている。
「簡単なことよ。乗合だとおしゃべりしていう領民と一緒に馬車に乗れるということよ?」
「あぁ、それならわかります」
「答え合わせをする?」
「お願いします!」
そう言ってアデルは、自分が考えることを話してくる。答えは完璧で理解している。やはり、領地の問題を考えてくれているのはよくわかった。
「アンナ様は、こうして領地を回られるのですか?」
「いいえ。今回は思いつきだから、いつもは馬で周るわよ?視察と言うより、ダリアと出かけたかっただけだから」
「そうだったのですか?お邪魔にはならないようにしないとと思っていたのですが」
「全然。邪魔だなんて思っていないわ。コーコナ領のことをダリアにも知ってほしかったから、今日は、いろいろなことを忘れて、楽しみましょう!」
ダリアに微笑みかけると、予想外の答えだったようで、驚いたあとで目を見開いていた。
迷惑だったかな?と思うところもあるが、出かけることは悪いことではないだろう。
「そういえば、セバスとアンバー領や公都はもう周ったかしら?」
「まだですよ。少し仕事が立て込んでいたので、それが落ち着いてからとなりました」
「なるほどね。そのほうがいいわね。セバス、アンバー領でも、公都の文官たちの中でも忙しいからね……」
「それは聞いているので、大丈夫ですよ!」
「寂しくなったら言って。セバスにいいつけるから」
「滅相もないです。ちゃんと家に戻ってきてくれることが、私に取って嬉しいことです」
そういって笑い、セバスのことを考えながらダリアと二人、乗合馬車の中で笑いあう。アデルもそれを微笑ましく見守っていてくれた。
0
お気に入りに追加
123
あなたにおすすめの小説

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!
日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」
見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。
神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。
特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。
突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。
なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。
・魔物に襲われている女の子との出会い
・勇者との出会い
・魔王との出会い
・他の転生者との出会い
・波長の合う仲間との出会い etc.......
チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。
その時クロムは何を想い、何をするのか……
このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。

追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる