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私は呼んでくれないの?

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 私たちはチクチクと布を縫っている。ナタリーにお願いして作ってもらったクマのぬいぐるみの型紙通りにチクチクとしている。


「ナタリー、難しいわ」
「頑張ってください。なるべく簡単にしてあるので」
「わかったわ。ふぅ……難しい」


 ぬいぐるみを縫うことになった私は真剣だ。ひと針ひと針縫うのを見てナタリーが今にもため息をつきそうだ。そこに扉が開いた。そちらを見ると、私たちの様子を見て、少し拗ねたような表情のステイが廊下に立っていた。


「ステイ様!」


 座っていた私たちは立ち上がり、ステイを中へ迎え入れる。朝が早いので、まだ休んでいると思っていたので、誘わなかったのだが、どうやら、すでに待っていてくれたようだ。


「ステイ様、おはようございます」
「おはよう、アンナリーゼ」
「もう、ご準備されていたのですね」
「えぇ、とても楽しみにしていたのだけど……もう、始まってしまっているのね?」
「すみません」
「いいのよ。私も嫌な言い方をしたわ」


「座っても?」というので、私が座っていた場所を譲った。ナタリーがすかさず私に責を譲ろうと動くが、首を横に振る。


「ところで、何をしているの?」
「昨日言っていたてるてる坊主を作ろうとしているのです」
「そう、それね!私、どんなものか見たいわ!」


 見たことがないというステイのために、デリアに言って持ってきてもらう。執務室に未だかかっている親子のてるてる坊主だ。


「これは、何のために作るの?」
「私が答えてもいいでしょうか?」


 ナタリーがステイに答えてくれるようで、てるてる坊主の話をしてくれる。ナタリーの丁寧な話に耳を傾け、どうやら機嫌も元に戻ったようだ。


「ステイ殿下は針仕事などできますか?」
「それほど得意ではないの」
「そうなのですね。もし、お手伝いいただけるなら……こんなふうに紐を編んでいただくことはできますか?」
「紐を?」
「えぇ、刺繍糸だけをつけても可愛いのですが、数種類の刺繍糸を編んで使うととても可愛いのです」


 可愛いの言葉に見本を見せてとやる気なステイに私は去年編んだものを見せることにした。デリアが編んだものだが、1番凝っているものなら7色の刺繍糸で編まれているものがある。とても、見た目も可愛く、実は、これを売り出してはどうかと昨年提案をした。
 却下になったのだが……理由がデリアほど正確に無ことが難しいからだと理由らしい。コーコナ領の職人たちの腕をもってしても、この紐は複雑で作るのが難しいらしい。
 ナタリーがステイに教え始め、私もそれを見ていた。どうやら、コツを掴んだようで、編んでいくのが、とてもうまかった。
 感心しながら、ステイが1本編み上げるのを見守った。
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