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強くなってもらわないと困ります
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「早速ですけど!」
「方向性が決まれば、そうくるか……。アンナリーゼが望むことは?」
「必要最低限の知識と強要、剣術、武術が必要です」
「それをプラムに強要するのか?」
「別に強要はしません。私の子ではないので。でも、言っておきますが、アンジェラの隣をうろつくのであれば、出来て当たり前にしておかないと、公が恥をかくことになりますよ?」
「何故、そうなる?」
私は挑戦的にふふっと笑う。ジョージアはその意味をわかっているようで、少しだけ身じろぎして私から離れる。今言ったものは、私の回りにいるものは最低限の知識や教養として備えている。あのセバスでさえ、身を守るすべまではきちんと訓練している。そのうえで、個々の能力差があるわけだが、どうやらあれほど私の周りについて教えたはずの公に伝わっていないようだった。
「いいですか?」
「あぁ、いつでもいいぞ」
「最低限の知識とは私たちの住まうローズディアを含め、他二国の知識、教養を必要としています」
「……三国だと?俺でもあやしいのに、まだあるのか?」
「それに加えて、インゼロ帝国です。他にも遠方の国の知識、語学など多岐に渡ります」
「そんなに必要ないだろう?知識なんて、知っているものを呼び寄せればいい」
「それは、公だから出来ることですし、それでは間に合わないこともあります。全てを知ることは難しいので要点だけでも覚えてほしい。国の考えやどういう状況になっているかを知るだけでも違う。文化や教養を知るのは社交の場で恥をかかないため。我が国でよくても、他国では犯罪になることもある。そういうのをきちんと把握しておいてほしいです。あと、知識がある人を呼べばいいとおっしゃいましたが、殺される場合や会えない場合もありますからね?」
「……どこまで考えているんだ?」
「できうる限りですよ?剣術にしたって、自身の身を守れるくらいの技量は欲しいですね?守りながらの戦いは不利にしかなりませんから!」
そういったとき、公はジョージアの方を気の毒そうに見た。確かにジョージアもそれほど強いわけではない。前線で戦う器量も鼓舞できる指揮も出来ないだろう。そのぶん、頭の回転はいいので、セバスやイチアたちと話を意識的にしてもらうようにしている。本人には言ってないが、戦略会議の潤滑油として、ジョージアはうまく周りを取りなしてくれる役割を果たすことになる。それを見越している。
「公はジョージア様を気の毒そうに見られていますが、ジョージア様にはジョージア様にしかできないことをしてもらうので、今のままでいいのですよ」
「……それにしたって、プラムには荷が重いのではないか?まだ、5歳だぞ?」
「レオもそれくらいから、勉強を始めていると思いますが?レオに出来て、プラム殿下にできないということはないですよね?」
ニコニコと笑いかけると、引きつったように笑う。レオを知っている公は思い浮かべているのだろう。
「あの金髪の子だろ?いつだったか、円卓に連れてきた」
「そうですよ。今はもっと成長しています。デビュタントも近いので、ウィルやセバス、私について勉強をしています。将来、アンジェラの護衛になるべく、研鑽を積んでいるのですよ」
「……アンジェラの護衛。それは、本当か?」
「えぇ、もちろん、目指すのは、養父と同じ近衛らしいですけど、同じような道に進むと決めているようです」
「……ウィル・サーラーか。アンナリーゼが唯一、背中を預けられる人物だと言っていたな。ウィルの方もだったが……、もしかして、それも狙っているのか?アンナリーゼの子だから、同じくらい、それ以上に成長をすると考えれば……」
レオの将来を想像したのだろう。ウィルという手本がいるなか、私と同じくじゃじゃ馬と言われかねないアンジェラの背中を守るのは、他ならないレオだ。アンジェラの前を突破するのはカイルだとするなら……プラムには何が出来るだろうか?今、シシリーもダンも文官として将来働くために知識を詰め込んでいる。イチアという優秀な先生が、効率よく戦術なんかも教えていると聞いていた。
「それなら……前を……」
「カイルが急成長していますわ!」
「なっ、じゃあ、文官を……」
「文官も数名勉強しており、その実力は折り紙付き。軍師としても申し分がないほどの教えを詰め込んでいます」
「……アンジェラに関していえば、もう、将来を固めている……そんな感じか?」
「さぁ、どうでしょうね?でも、これだけの人材の中で、ぬくぬくと育っているプラム殿下は、アンジェラの後で纏いにしかならないわ」
驚く公を他所に、こんな教育をお願いしたいと言えば……ため息が出るようだ。この話合いは不毛ではないかと私は思える。
「どうしますか?プラム殿下を甘やかしますか?子どもですから、そういった時期は必要だと思いますが、最低限のものがなければ、婚約の偽装自体がなかなか難しいことになります」
公はわかったと静かにいう。そうすると、必要になってくるのは教育がかり。今の先生ではとても教えてくれない勉強を効率よく根気よくしないといけないので、私がプラムの先生を名乗りをあげた。
「方向性が決まれば、そうくるか……。アンナリーゼが望むことは?」
「必要最低限の知識と強要、剣術、武術が必要です」
「それをプラムに強要するのか?」
「別に強要はしません。私の子ではないので。でも、言っておきますが、アンジェラの隣をうろつくのであれば、出来て当たり前にしておかないと、公が恥をかくことになりますよ?」
「何故、そうなる?」
私は挑戦的にふふっと笑う。ジョージアはその意味をわかっているようで、少しだけ身じろぎして私から離れる。今言ったものは、私の回りにいるものは最低限の知識や教養として備えている。あのセバスでさえ、身を守るすべまではきちんと訓練している。そのうえで、個々の能力差があるわけだが、どうやらあれほど私の周りについて教えたはずの公に伝わっていないようだった。
「いいですか?」
「あぁ、いつでもいいぞ」
「最低限の知識とは私たちの住まうローズディアを含め、他二国の知識、教養を必要としています」
「……三国だと?俺でもあやしいのに、まだあるのか?」
「それに加えて、インゼロ帝国です。他にも遠方の国の知識、語学など多岐に渡ります」
「そんなに必要ないだろう?知識なんて、知っているものを呼び寄せればいい」
「それは、公だから出来ることですし、それでは間に合わないこともあります。全てを知ることは難しいので要点だけでも覚えてほしい。国の考えやどういう状況になっているかを知るだけでも違う。文化や教養を知るのは社交の場で恥をかかないため。我が国でよくても、他国では犯罪になることもある。そういうのをきちんと把握しておいてほしいです。あと、知識がある人を呼べばいいとおっしゃいましたが、殺される場合や会えない場合もありますからね?」
「……どこまで考えているんだ?」
「できうる限りですよ?剣術にしたって、自身の身を守れるくらいの技量は欲しいですね?守りながらの戦いは不利にしかなりませんから!」
そういったとき、公はジョージアの方を気の毒そうに見た。確かにジョージアもそれほど強いわけではない。前線で戦う器量も鼓舞できる指揮も出来ないだろう。そのぶん、頭の回転はいいので、セバスやイチアたちと話を意識的にしてもらうようにしている。本人には言ってないが、戦略会議の潤滑油として、ジョージアはうまく周りを取りなしてくれる役割を果たすことになる。それを見越している。
「公はジョージア様を気の毒そうに見られていますが、ジョージア様にはジョージア様にしかできないことをしてもらうので、今のままでいいのですよ」
「……それにしたって、プラムには荷が重いのではないか?まだ、5歳だぞ?」
「レオもそれくらいから、勉強を始めていると思いますが?レオに出来て、プラム殿下にできないということはないですよね?」
ニコニコと笑いかけると、引きつったように笑う。レオを知っている公は思い浮かべているのだろう。
「あの金髪の子だろ?いつだったか、円卓に連れてきた」
「そうですよ。今はもっと成長しています。デビュタントも近いので、ウィルやセバス、私について勉強をしています。将来、アンジェラの護衛になるべく、研鑽を積んでいるのですよ」
「……アンジェラの護衛。それは、本当か?」
「えぇ、もちろん、目指すのは、養父と同じ近衛らしいですけど、同じような道に進むと決めているようです」
「……ウィル・サーラーか。アンナリーゼが唯一、背中を預けられる人物だと言っていたな。ウィルの方もだったが……、もしかして、それも狙っているのか?アンナリーゼの子だから、同じくらい、それ以上に成長をすると考えれば……」
レオの将来を想像したのだろう。ウィルという手本がいるなか、私と同じくじゃじゃ馬と言われかねないアンジェラの背中を守るのは、他ならないレオだ。アンジェラの前を突破するのはカイルだとするなら……プラムには何が出来るだろうか?今、シシリーもダンも文官として将来働くために知識を詰め込んでいる。イチアという優秀な先生が、効率よく戦術なんかも教えていると聞いていた。
「それなら……前を……」
「カイルが急成長していますわ!」
「なっ、じゃあ、文官を……」
「文官も数名勉強しており、その実力は折り紙付き。軍師としても申し分がないほどの教えを詰め込んでいます」
「……アンジェラに関していえば、もう、将来を固めている……そんな感じか?」
「さぁ、どうでしょうね?でも、これだけの人材の中で、ぬくぬくと育っているプラム殿下は、アンジェラの後で纏いにしかならないわ」
驚く公を他所に、こんな教育をお願いしたいと言えば……ため息が出るようだ。この話合いは不毛ではないかと私は思える。
「どうしますか?プラム殿下を甘やかしますか?子どもですから、そういった時期は必要だと思いますが、最低限のものがなければ、婚約の偽装自体がなかなか難しいことになります」
公はわかったと静かにいう。そうすると、必要になってくるのは教育がかり。今の先生ではとても教えてくれない勉強を効率よく根気よくしないといけないので、私がプラムの先生を名乗りをあげた。
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