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公都に帰る準備
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「おはよう」
子どもたち声をかけると、朝から元気に返事をしてくれる。私たちの食事の準備を終えたデリアが後ろにたち、エマの給仕を見ていた。デリアの後継として育てているのだ。離れている間もやり取りはあったらしい。意外といい師弟関係になっているようだ。そこにマリアを加えれば……いい関係になるだろう。今はまだ見習いのマリアは向こうで孤児院の子らと食事を取っていた。
エマが子らの給仕を終えたところで、私たちも食べ始める。
一家団欒の時間は意外と少なく、こうして食事の時間くらいが1番ゆっくりと出来る。
「デリア」
「御用ですか?」
「えぇ、エマもいるから、今後の話を少し」
「もうそろそろ公都へ戻る時期がきていますからね」
「そうなの。そろそろ出発しないといけない時期でしょ?」
デリアは頷き、エマの方にも視線を送る。デリアのほうで私やジョージアの準備をしてエマのほうで子どもたちの準備をする。メイドたちも手伝うのでそちらとの連携も必要なため、目で会話をしているのだろう。
「いつ出立しますか?」
「ジョージア様はいつがいいですか?私のほうの引継ぎは2日程頂きたいので、それを考慮していただければ助かるのですが」
「そうだな……今年は少し遅いと聞いているから、1週間から10日後の出発でいいんじゃないか?デリア、それで準備はできる?」
「もちろんです!最短3日でできますよ」
「ふふっ、そんなに急がないわ。旅の工程もあるから……1週間後の朝に出発ということで。子どもたちの体調管理もお願いね?」
「かしこまりました。今回はマリアとシシリーを連れていかれるのですよね?」
「そうよ。あの子たちにも経験させておきたいわ。デリアとエマでマリアをお願いね」
「シシリーはどうするのですか?」
「パルマに連絡したら、毎日帰ってくると言っていたしセバスも帰るから、どちらかにお願いするわ」
「……お忙しいのではないですか?」
私は少し考える。確かにあの二人は、公都に帰れば、私の何十倍も忙しい。国の文官だから報告もあるし、セバスにいたっては特例の派遣であるから、いろいろと課せられている。それでも、子ども一人面倒を見るくらいは、片手間だろう。今年はダリアがいるから、お茶会に連れまわさないといけないと指名は私とナタリーが担っている。
「どうにかなるわ。ダメだったら、私が見るし。ダリアも軍に属してはいたけど、文官も出来そうだし」
「ダリア様はダドリー男爵家で社交の季節はずっといらっしゃるのですか?」
「そうよね?今まで、セバスは宿舎に泊まっていたけど、どうするのかしら?ウィルと違って、実家でいいの?」
「他所のことまで考えなくても、なんとかするだろう?必要だったら、屋敷の客間を解放してもいいし、別館を貸してもいい」
「なるほど。それはいいですね。別館は私的にいわくつきなのでお薦めしませんけど」
プイっとそっぽを向きながら、デリアに必要なものを伝えていく。そうすると、私の抜けているものを補足していってくれる。
去年はリアンが準備してくれた。不足はなかったが、やはりデリアのほうが私のことをよくわかっているようで……何も言わなくても準備は整いそうだ。
「そういえば、両親から手紙が来ていて、公都に戻ったら1度屋敷に招待してほしいと連絡があったの。エマ」
「はい、客間のご用意ですか?」
「いいえ、子どもたちの服なんだけど……その日はアンジェラも男装させておいて欲しいの。少し、出かけたいと思っているから」
「侯爵様たちとですよね」
「えぇ、コーコナへ向かうつもり。社交季節の半ばくらいだから」
「わかりました。服の用意をしておきます」
「コーコナへは何をしに向かわれるのですか?」
「トワイスでもハニーアンバー店のドレスや服は人気らしくって……見て回りたいそうよ。孫たちと出かけたいっていうのが1番の理由でしょうけど」
クスクス笑うと、アンジェラがおじいちゃんに会えるの?と喜んでいる。幼かったから覚えていないかと思っていたが……どうやら手紙や玩具を送ってきてくれる私の両親のことを好きなようだ。現金な娘に肩を竦める。
「お義父さんたちが来るなら、俺もコーコナへ行っても問題ない?」
「もちろんです。私は執務がありますから、できれば案内をお願いできれば助かります」
「アンナはどこに行っても執務が1番だね。たまには、羽を伸ばすことは考えていないの?」
「そんなことはありませんよ。コーコナの空気も好きですからね!綿花の収穫には私も参加するつもりです。今年は子どもたちも連れていきたいなぁなんて思っているんですよね」
「それなら、ダリア様もお誘いされてはいかがですか?ナタリー様も行かれますよね?」
「そうね。セバスに聞いておくわ。セバスは社交の季節が終わるまで、公都にいないといけないから」
「……なんだか、可哀想だね?」
「そうですか?あれで、生き生き執務をしていますよ。私以上に仕事人間ですからね」
噂をすれば、セバスとダリアが入ってくる。何か楽しい話題があったのか、二人でクスクスと笑いあっている。二人の関係はとても良好なように見えた。
「セバス、ダリア」
私が二人を呼ぶと、どうかした?と近寄ってきた。さっきの話を伝えると公都へ帰る準備をしておくのとダリアのことをお願いされた。
見知らぬ公都でトライド男爵の屋敷に籠るのは息がつまるだろうとセバスもダリアに行っておいでよと提案してくれた。
子どもたち声をかけると、朝から元気に返事をしてくれる。私たちの食事の準備を終えたデリアが後ろにたち、エマの給仕を見ていた。デリアの後継として育てているのだ。離れている間もやり取りはあったらしい。意外といい師弟関係になっているようだ。そこにマリアを加えれば……いい関係になるだろう。今はまだ見習いのマリアは向こうで孤児院の子らと食事を取っていた。
エマが子らの給仕を終えたところで、私たちも食べ始める。
一家団欒の時間は意外と少なく、こうして食事の時間くらいが1番ゆっくりと出来る。
「デリア」
「御用ですか?」
「えぇ、エマもいるから、今後の話を少し」
「もうそろそろ公都へ戻る時期がきていますからね」
「そうなの。そろそろ出発しないといけない時期でしょ?」
デリアは頷き、エマの方にも視線を送る。デリアのほうで私やジョージアの準備をしてエマのほうで子どもたちの準備をする。メイドたちも手伝うのでそちらとの連携も必要なため、目で会話をしているのだろう。
「いつ出立しますか?」
「ジョージア様はいつがいいですか?私のほうの引継ぎは2日程頂きたいので、それを考慮していただければ助かるのですが」
「そうだな……今年は少し遅いと聞いているから、1週間から10日後の出発でいいんじゃないか?デリア、それで準備はできる?」
「もちろんです!最短3日でできますよ」
「ふふっ、そんなに急がないわ。旅の工程もあるから……1週間後の朝に出発ということで。子どもたちの体調管理もお願いね?」
「かしこまりました。今回はマリアとシシリーを連れていかれるのですよね?」
「そうよ。あの子たちにも経験させておきたいわ。デリアとエマでマリアをお願いね」
「シシリーはどうするのですか?」
「パルマに連絡したら、毎日帰ってくると言っていたしセバスも帰るから、どちらかにお願いするわ」
「……お忙しいのではないですか?」
私は少し考える。確かにあの二人は、公都に帰れば、私の何十倍も忙しい。国の文官だから報告もあるし、セバスにいたっては特例の派遣であるから、いろいろと課せられている。それでも、子ども一人面倒を見るくらいは、片手間だろう。今年はダリアがいるから、お茶会に連れまわさないといけないと指名は私とナタリーが担っている。
「どうにかなるわ。ダメだったら、私が見るし。ダリアも軍に属してはいたけど、文官も出来そうだし」
「ダリア様はダドリー男爵家で社交の季節はずっといらっしゃるのですか?」
「そうよね?今まで、セバスは宿舎に泊まっていたけど、どうするのかしら?ウィルと違って、実家でいいの?」
「他所のことまで考えなくても、なんとかするだろう?必要だったら、屋敷の客間を解放してもいいし、別館を貸してもいい」
「なるほど。それはいいですね。別館は私的にいわくつきなのでお薦めしませんけど」
プイっとそっぽを向きながら、デリアに必要なものを伝えていく。そうすると、私の抜けているものを補足していってくれる。
去年はリアンが準備してくれた。不足はなかったが、やはりデリアのほうが私のことをよくわかっているようで……何も言わなくても準備は整いそうだ。
「そういえば、両親から手紙が来ていて、公都に戻ったら1度屋敷に招待してほしいと連絡があったの。エマ」
「はい、客間のご用意ですか?」
「いいえ、子どもたちの服なんだけど……その日はアンジェラも男装させておいて欲しいの。少し、出かけたいと思っているから」
「侯爵様たちとですよね」
「えぇ、コーコナへ向かうつもり。社交季節の半ばくらいだから」
「わかりました。服の用意をしておきます」
「コーコナへは何をしに向かわれるのですか?」
「トワイスでもハニーアンバー店のドレスや服は人気らしくって……見て回りたいそうよ。孫たちと出かけたいっていうのが1番の理由でしょうけど」
クスクス笑うと、アンジェラがおじいちゃんに会えるの?と喜んでいる。幼かったから覚えていないかと思っていたが……どうやら手紙や玩具を送ってきてくれる私の両親のことを好きなようだ。現金な娘に肩を竦める。
「お義父さんたちが来るなら、俺もコーコナへ行っても問題ない?」
「もちろんです。私は執務がありますから、できれば案内をお願いできれば助かります」
「アンナはどこに行っても執務が1番だね。たまには、羽を伸ばすことは考えていないの?」
「そんなことはありませんよ。コーコナの空気も好きですからね!綿花の収穫には私も参加するつもりです。今年は子どもたちも連れていきたいなぁなんて思っているんですよね」
「それなら、ダリア様もお誘いされてはいかがですか?ナタリー様も行かれますよね?」
「そうね。セバスに聞いておくわ。セバスは社交の季節が終わるまで、公都にいないといけないから」
「……なんだか、可哀想だね?」
「そうですか?あれで、生き生き執務をしていますよ。私以上に仕事人間ですからね」
噂をすれば、セバスとダリアが入ってくる。何か楽しい話題があったのか、二人でクスクスと笑いあっている。二人の関係はとても良好なように見えた。
「セバス、ダリア」
私が二人を呼ぶと、どうかした?と近寄ってきた。さっきの話を伝えると公都へ帰る準備をしておくのとダリアのことをお願いされた。
見知らぬ公都でトライド男爵の屋敷に籠るのは息がつまるだろうとセバスもダリアに行っておいでよと提案してくれた。
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