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領地初の大規模お茶会Ⅴ
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「アンナリーゼ様、楽しそうでしたわね?」
ナタリーのいるテーブルに向かうとご婦人たちの熱い歓迎を受ける。どうやら、ハニーアンバー店の話でそうとう盛り上がっているようでナタリーは余すことなく話をしているようだ。
「カラマス令嬢は、アンバー領の方ではないのに、とても勉強されていて、感心しますわ」
ナタリーがアンバー領に住んでいて、ハニーアンバー店に並ぶドレスを作っていることを知らないご婦人が得意げに褒めたたえている。私に微笑みながらも、ナタリーのほうをみれない。
「何か勘違いされていると思いますが……」
「あら?おかしなことを言ったかしら?カラマス令嬢」
他のご夫人も公都の夜会で見たことがない人ばかりだ。どうやら、令嬢風情がしゃしゃりでるなと言いたいらしいが、ナタリーがそんなご夫人たちに負けるはずもない。
「始まりの夜会やその他でお見かけしないご夫人ばかりではありませんか?お茶会だからっと言って、クローゼットの奥深くから出してきたようなかび臭いドレスに品のない宝石をなさって。今、この国で1番注目度のあるハニーアンバー店のドレスを1度でも見たことがございますか?」
「……それは、まぁ……ありますわよね?」
「そうよね?奥様方」
このあたりの小物貴族であろう。子爵家令嬢と言えども、ナタリーは今や公都で名だたる貴族婦人に引っ張りだこ。ドレスひとつ見れば、その夫人がどのような存在なのかわかる。
「見たことがあるというのは、愛妾に……」
「ナタリー、そこまでにしなさい」
「……はい」
肩を落とすナタリーの代わりに、私はご夫人たち花茶を淹れていく。
「アンナリーゼ様は何故カラマス令嬢を側におくのですか?そんな野蛮な……」
「そうですか?ナタリーは気が強くて押しも強いですけど、彼女ほど有名な女性はいませんよ?」
「それはどういう……?」
訝しむ女性たちに微笑んだ。本当にナタリーがこの国のドレス事情の最先端にいることをしらないようだ。
ため息をつきたいのをぐっと我慢して、私はおもむろに立ち上がった。
「もしよろしければ、今日の私のドレスについて話をうかがっても?今回は異国の服を少し取り入れたらしいのですが……」
「そのドレスですよね?お会いしてからずっと素敵だなと思っていましたわ!」
「この国のデザインとは少し違うと思っていましたが、異国の服を取り入れていらっしゃるのですね?」
「フワフワと揺れる軽そうな袖が羽根のようで花のようで」
「「「素敵だと思っていたのですよ!」」」
うっとりしたようにご夫人たちが私のドレスを褒めたたえるので、ナタリーにニコッと笑いかける。私は我慢したのに、ナタリーは大きなため息をついた。
「素敵ですって、ナタリー」
「当たり前です!アンナリーゼ様のために私が作ったのですから。アンナリーゼ様の着るドレスも普段着も私が全て手がけているからこそ、アンナリーゼ様をより一層美しく魅せることができるのでしょ?」
「……カラマス令嬢が作られて……?」
「えぇ、そうですよ。アンナリーゼ様の着るものはどれもこれも私が作っていますわ。それを元に、アンナリーゼ様の邪魔にならないようにと他のデザインも変えていますの」
「……あの全てをですか?」
「もちろんです。私にとって唯一無二の方ですから、それくらい当然ではありませんか。公爵様でもありますから、そのあたりもきっちり弁えていますわ!」
勝ち誇ったようなナタリーではあるが、今日はお茶会だ。それぞれの辺境伯の夫人と仲良くならないといけないのだが、大丈夫だろうか。
「そのへんにしておいてくれるかしらナタリー。せっかくのお茶会ですから、ゆっくりと談笑を楽しんでほしいの」
「……わかりました。待機しています」
「それにしても、人は見かけによらないものですね。とても素敵なドレスに感心しましたわ」
おほほほほと誤魔化すような婦人たちにナタリーのすごさを語り始めると、ジョージアがそろそろこっちにも来てくれと呼ばれ、私は最後のテーブルへと向かった。
ナタリーのいるテーブルに向かうとご婦人たちの熱い歓迎を受ける。どうやら、ハニーアンバー店の話でそうとう盛り上がっているようでナタリーは余すことなく話をしているようだ。
「カラマス令嬢は、アンバー領の方ではないのに、とても勉強されていて、感心しますわ」
ナタリーがアンバー領に住んでいて、ハニーアンバー店に並ぶドレスを作っていることを知らないご婦人が得意げに褒めたたえている。私に微笑みながらも、ナタリーのほうをみれない。
「何か勘違いされていると思いますが……」
「あら?おかしなことを言ったかしら?カラマス令嬢」
他のご夫人も公都の夜会で見たことがない人ばかりだ。どうやら、令嬢風情がしゃしゃりでるなと言いたいらしいが、ナタリーがそんなご夫人たちに負けるはずもない。
「始まりの夜会やその他でお見かけしないご夫人ばかりではありませんか?お茶会だからっと言って、クローゼットの奥深くから出してきたようなかび臭いドレスに品のない宝石をなさって。今、この国で1番注目度のあるハニーアンバー店のドレスを1度でも見たことがございますか?」
「……それは、まぁ……ありますわよね?」
「そうよね?奥様方」
このあたりの小物貴族であろう。子爵家令嬢と言えども、ナタリーは今や公都で名だたる貴族婦人に引っ張りだこ。ドレスひとつ見れば、その夫人がどのような存在なのかわかる。
「見たことがあるというのは、愛妾に……」
「ナタリー、そこまでにしなさい」
「……はい」
肩を落とすナタリーの代わりに、私はご夫人たち花茶を淹れていく。
「アンナリーゼ様は何故カラマス令嬢を側におくのですか?そんな野蛮な……」
「そうですか?ナタリーは気が強くて押しも強いですけど、彼女ほど有名な女性はいませんよ?」
「それはどういう……?」
訝しむ女性たちに微笑んだ。本当にナタリーがこの国のドレス事情の最先端にいることをしらないようだ。
ため息をつきたいのをぐっと我慢して、私はおもむろに立ち上がった。
「もしよろしければ、今日の私のドレスについて話をうかがっても?今回は異国の服を少し取り入れたらしいのですが……」
「そのドレスですよね?お会いしてからずっと素敵だなと思っていましたわ!」
「この国のデザインとは少し違うと思っていましたが、異国の服を取り入れていらっしゃるのですね?」
「フワフワと揺れる軽そうな袖が羽根のようで花のようで」
「「「素敵だと思っていたのですよ!」」」
うっとりしたようにご夫人たちが私のドレスを褒めたたえるので、ナタリーにニコッと笑いかける。私は我慢したのに、ナタリーは大きなため息をついた。
「素敵ですって、ナタリー」
「当たり前です!アンナリーゼ様のために私が作ったのですから。アンナリーゼ様の着るドレスも普段着も私が全て手がけているからこそ、アンナリーゼ様をより一層美しく魅せることができるのでしょ?」
「……カラマス令嬢が作られて……?」
「えぇ、そうですよ。アンナリーゼ様の着るものはどれもこれも私が作っていますわ。それを元に、アンナリーゼ様の邪魔にならないようにと他のデザインも変えていますの」
「……あの全てをですか?」
「もちろんです。私にとって唯一無二の方ですから、それくらい当然ではありませんか。公爵様でもありますから、そのあたりもきっちり弁えていますわ!」
勝ち誇ったようなナタリーではあるが、今日はお茶会だ。それぞれの辺境伯の夫人と仲良くならないといけないのだが、大丈夫だろうか。
「そのへんにしておいてくれるかしらナタリー。せっかくのお茶会ですから、ゆっくりと談笑を楽しんでほしいの」
「……わかりました。待機しています」
「それにしても、人は見かけによらないものですね。とても素敵なドレスに感心しましたわ」
おほほほほと誤魔化すような婦人たちにナタリーのすごさを語り始めると、ジョージアがそろそろこっちにも来てくれと呼ばれ、私は最後のテーブルへと向かった。
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