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領地初の大規模お茶会Ⅳ
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そのあとぞくぞくと案内される来客に挨拶をする。ジョージアと二人で手分けをしていても、これ程の規模のお茶会を開くのは久方ぶりで、初めて会う夫人たちもいるので、正直頭痛がする。
「これで一通りの方がいらっしゃいましたか?」
「そうだね。席も埋まっている。俺は席にいてもいいんだよな?」
「えぇ、ジョージア様は挨拶される側にいてください。私は少しテーブルを回ってきます。それほど多くないので、大丈夫でしょう」
「何があるかわからないから、気を付けて」
「ここは私たちの屋敷ですよ?」
「それでもわからないだろう?それより、よかったの?」
「ヒーナのことですか?」
「あぁ、護衛だとはいえ……」
「かまいませんよ。アンバー公爵夫人は心の広い方だと広めてもらいましょう」
ジョージアは渋い顔をしている。第二夫人であったソフィアのことがあるから、国中に私は嫉妬深い女だと知れ渡っていることは知っている。それでも、ご令嬢たちからチヤホヤされるジョージアに私が何か言ったのは新婚当初くらいだろう。
どこどこのご令嬢の香水と言い当てたことを今でもジョージアは忘れていないようだ。
今日のお茶会はご令嬢の数も多い。ジョージアの第二夫人を狙っている下級貴族も呼んでいるからだ。
「よかったのですか?」
「アデルが心配することではないわ。私はジョージア様を残していなくなるのだもの。その後を支えてくれる人がいるなら、第二夫人がいても構わないと思っているわ」
「いなくなるだなんて!そんなことないですよね?」
アデルには言っていないことを思い出し、笑って誤魔化しておく。私はメイドに花茶のポットを持ってくるようにいい、近場から回ることにした。
そこには新婚のセバスたちが談笑している。
「お話中に失礼しますわ」
「アンナリーゼ様」
「今日は、私どものお茶会に集まっていただきありがとう」
「ご招待いただき、ありがとうございます」
「人生初めてのアンバー領でしたので、少し緊張をしていたのですが」
「聞いていたのとは違って驚いたのではなくて?」
「えぇ、とっても!」
「公都以上に整った道や町並み、あと、あの臭いがないことに驚きました!」
「お茶会の席でいうものじゃありませんよ?奥様」
「でも……どこへ行ってもその……臭いってするじゃないですか?」
そう、国1番の綺麗な街並みの公都でも、街を歩けば臭いはある。貴族の屋敷の中だけは例外だがゴミの腐った臭いや汚物の臭いはどこも変わらないのだ。ヨハンの助手の研究成果のおかげで、処理が出来ていることが大きい。ゴミも収集し肥料に出来るものはしたりと、住民が住む環境からは程遠いところで処理が行われている。唯一、その臭いがしないのはこの国広しといえども、アンバー領だけではないだろうか。
「それは、この領地にはそれ専用の施設がありますから、町を美しく保つ努力を領民みながしてくれています。領地改革を進める中で、領民に目覚めたものですよ」
「……そうなのですね。領民がそれほど協力的なのですね」
驚いたり戸惑ったりとアンバー領の改革に関わっていないものはそれぞれ反応を見せる。ただ、揃って同じ表情になった。
……暗いわね?今までバカにしていたアンバー領の変わりように自身の領地と比べたのね。努力に努力を重ねた我が領地と、アンバー領を下に見てきた領地との違いをとっくと感じて帰ってくれればいいわ。
「難しい話はそれくらいに。せっかくのお茶会ですから、私から」
わざとらしくポットを見せてから、ニコリと笑いかける。私が笑うと、自分たちがどんな表情をしていたか気が付いたようだ。
「セバス、まずはあなたから花茶をどうぞ」
私はセバスのカップに花茶を注ぐと、隣にいるダリア、その隣のご夫人と順に淹れていく。
「花茶というものです。こうして、透明のポットに淹れて目で見て楽しむもよし、カップにひとつ入れてお湯を注いだあと蒸らすとパッとカップの中に花が咲いたようでとても華やいだ気持ちになりますよ」
「本当ですね。とても綺麗ですわ!」
「それは、ハニーアンバー店で購入できますか?」
「もちろんです。数は少ないので……早い目に購入をしていただいたらよいかと。何種類もの花がありますから、ご自身の好きなものを選んでください」
花茶を見せることで一気に話が広がっていく。領地の話や花茶の話、ハニーアンバー店の話などごっちゃではあるが、そのどれもをセバスが上手に捌いていく。ニコライとの語らいのおかげか、商売も上手にできるようになったようだ。
そんな様子を見ながら頷き、私は次へと向かうと挨拶をした。
「全部のテーブルを回り終えたら戻りますので、そのときにでも声をかけてください。皆様のお話も是非聞きたいですわ!」
では……と立ちさり、次なるテーブルへと向かう。そこにはトライド男爵夫妻とサーラー子爵が相席している。ここは男性の多い席であったが、珍しい花茶を見せると、とても気になったようで、興味津々で話を聞いてくれる。血は水より濃いとはこのことだろう。セバスの知識欲は、もしかしたら父親譲りなのかもしれないとクスっと笑ってしまった。
「これで一通りの方がいらっしゃいましたか?」
「そうだね。席も埋まっている。俺は席にいてもいいんだよな?」
「えぇ、ジョージア様は挨拶される側にいてください。私は少しテーブルを回ってきます。それほど多くないので、大丈夫でしょう」
「何があるかわからないから、気を付けて」
「ここは私たちの屋敷ですよ?」
「それでもわからないだろう?それより、よかったの?」
「ヒーナのことですか?」
「あぁ、護衛だとはいえ……」
「かまいませんよ。アンバー公爵夫人は心の広い方だと広めてもらいましょう」
ジョージアは渋い顔をしている。第二夫人であったソフィアのことがあるから、国中に私は嫉妬深い女だと知れ渡っていることは知っている。それでも、ご令嬢たちからチヤホヤされるジョージアに私が何か言ったのは新婚当初くらいだろう。
どこどこのご令嬢の香水と言い当てたことを今でもジョージアは忘れていないようだ。
今日のお茶会はご令嬢の数も多い。ジョージアの第二夫人を狙っている下級貴族も呼んでいるからだ。
「よかったのですか?」
「アデルが心配することではないわ。私はジョージア様を残していなくなるのだもの。その後を支えてくれる人がいるなら、第二夫人がいても構わないと思っているわ」
「いなくなるだなんて!そんなことないですよね?」
アデルには言っていないことを思い出し、笑って誤魔化しておく。私はメイドに花茶のポットを持ってくるようにいい、近場から回ることにした。
そこには新婚のセバスたちが談笑している。
「お話中に失礼しますわ」
「アンナリーゼ様」
「今日は、私どものお茶会に集まっていただきありがとう」
「ご招待いただき、ありがとうございます」
「人生初めてのアンバー領でしたので、少し緊張をしていたのですが」
「聞いていたのとは違って驚いたのではなくて?」
「えぇ、とっても!」
「公都以上に整った道や町並み、あと、あの臭いがないことに驚きました!」
「お茶会の席でいうものじゃありませんよ?奥様」
「でも……どこへ行ってもその……臭いってするじゃないですか?」
そう、国1番の綺麗な街並みの公都でも、街を歩けば臭いはある。貴族の屋敷の中だけは例外だがゴミの腐った臭いや汚物の臭いはどこも変わらないのだ。ヨハンの助手の研究成果のおかげで、処理が出来ていることが大きい。ゴミも収集し肥料に出来るものはしたりと、住民が住む環境からは程遠いところで処理が行われている。唯一、その臭いがしないのはこの国広しといえども、アンバー領だけではないだろうか。
「それは、この領地にはそれ専用の施設がありますから、町を美しく保つ努力を領民みながしてくれています。領地改革を進める中で、領民に目覚めたものですよ」
「……そうなのですね。領民がそれほど協力的なのですね」
驚いたり戸惑ったりとアンバー領の改革に関わっていないものはそれぞれ反応を見せる。ただ、揃って同じ表情になった。
……暗いわね?今までバカにしていたアンバー領の変わりように自身の領地と比べたのね。努力に努力を重ねた我が領地と、アンバー領を下に見てきた領地との違いをとっくと感じて帰ってくれればいいわ。
「難しい話はそれくらいに。せっかくのお茶会ですから、私から」
わざとらしくポットを見せてから、ニコリと笑いかける。私が笑うと、自分たちがどんな表情をしていたか気が付いたようだ。
「セバス、まずはあなたから花茶をどうぞ」
私はセバスのカップに花茶を注ぐと、隣にいるダリア、その隣のご夫人と順に淹れていく。
「花茶というものです。こうして、透明のポットに淹れて目で見て楽しむもよし、カップにひとつ入れてお湯を注いだあと蒸らすとパッとカップの中に花が咲いたようでとても華やいだ気持ちになりますよ」
「本当ですね。とても綺麗ですわ!」
「それは、ハニーアンバー店で購入できますか?」
「もちろんです。数は少ないので……早い目に購入をしていただいたらよいかと。何種類もの花がありますから、ご自身の好きなものを選んでください」
花茶を見せることで一気に話が広がっていく。領地の話や花茶の話、ハニーアンバー店の話などごっちゃではあるが、そのどれもをセバスが上手に捌いていく。ニコライとの語らいのおかげか、商売も上手にできるようになったようだ。
そんな様子を見ながら頷き、私は次へと向かうと挨拶をした。
「全部のテーブルを回り終えたら戻りますので、そのときにでも声をかけてください。皆様のお話も是非聞きたいですわ!」
では……と立ちさり、次なるテーブルへと向かう。そこにはトライド男爵夫妻とサーラー子爵が相席している。ここは男性の多い席であったが、珍しい花茶を見せると、とても気になったようで、興味津々で話を聞いてくれる。血は水より濃いとはこのことだろう。セバスの知識欲は、もしかしたら父親譲りなのかもしれないとクスっと笑ってしまった。
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