ハニーローズ  ~ 『予知夢』から始まった未来変革 ~

悠月 星花

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私のやりたいことⅣ

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 レオが解体した鹿のうち、この山に埋葬するぶんについてはウィルが穴を掘ってくれていたのでそちらに埋める。血の匂いに肉食動物が寄ってくるかもしれないが、なるべく深く掘ってもらった。


「父様、ありがとうございます」
「いや、いいよ。よく解体をがんばったな。初めてにしては、本当によく頑張った」


 レオの頭をくしゃくしゃと撫でるウィルは少し目が赤い。こんな機会がなければ、レオも何も考えずに戦場に立っていることもあったかもしれない。それが回避できたことを喜んでいる。


「あの……アンナ様」
「ん?どうかして?」
「どうして今日だったのですか?」
「なるほど。たまたまよ。春は、鹿が繁殖期に入っているから多くなるの。少しだけ間引かせてもらっている。そうしないと農作物に影響がでるから。ただ、それだけよ」
「……そうですか」
「怖かった?」


 レオに問うと頷く。まだデビュタント前の子どもだ。いきなりのことで戸惑いや驚きがあったことだろう。それには同情をするが、こういうことはいつも突然にだ。人とのあいだの裏切りはほぼ毎日どこかで起こっているし、凪の心を持たないとと願う私にウィルが苦笑いをしている。


「でもね。生きるために必要になるかもしれないから……きちんと覚えておいてほしいわ」
「部隊で近衛も動くけど、はぐれることもあるから。そのときにこういう知識が役立つこともあるってことだ」
「そんなことあるのですか?」
「ないこともないよな?姫さん」
「そうね、ないこともないわ。さっきも言ったけど、レオを待っている人がいるの。もしものことにも対応できるようにしてほしいのよ」


 ふふっと笑うと、レオも笑う。今日のことはレオにとって不思議な光景だ。いきなり狩りに連れられ、鹿まで解体される。沢で手を洗ってきたが、今思うと私の考えに便乗したウィルはずるい。


「さてと、お腹もすいたしお昼にしましょう」
「ここで焼くのか?それ」
「いいえ、この先に山小屋があるわ。そこで昼食にしようかとデリアが先に行ってくれているわ」
「先回りして昼間のよういをデリアがしてくれているわ」


 解体終わって、食べられる肉を持って、山小屋を目指す。


「デリアがか……大丈夫なのか?」
「何が?」
「デリアがその……腕前は」


 私のお墨付きだからと返事をすれば、二人とも頷いていた。私の侍女であるデリアが何か作れると思っていなかったらしい。
 ほっぺが落ちるほど上手なのだから、久しぶりにデリアの手料理を食べられることを喜び、少し小さめだが、この肉の塊が早くおいしくなるようにと願うだけとなった。
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