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私のやりたいこと

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 セバスとダリアの結婚式もつつがなく終わった。トライド男爵夫妻も涙して笑いあい、セバスの結婚を喜んでいた。セバスの兄妹も来ていたようで、喜ぶ妹と相反して兄から厳しい視線を送られているのを見た。それほど、仲がいいわけではないと聞いていたので、なるほどと納得してしまう。男爵家五男であるセバス。私という後ろ盾を背に、今では公宮では無視できないほどの力があるという噂もあるくらいだ。実際は、それほどではないが、一目置いてくれている貴族もいる。それをよしと思っていない兄たちも多いみたいだ。


「セバスも大変ね?」
「姫さんもね?セバスの後ろ盾なんだからって言ってくる可能性があるから気を付けてって言っていた」
「セバスから聞いているわ。大丈夫。私、そんなことで屈すると思っているの?」
「まったく。むしろ、跳ねのけるくらいだろ?」
「よくわかっていらっしゃる」


 何か言われたとしても、私がセバスに肩入れをしているのには友人ということもその才能もかっているから。他の人に何か言われたからと言って、変わることはない。


「そういや、結婚式終わったばっかりで、いいの?そんな恰好でいて」
「えぇ、今から、レオと馬に乗ってくるわ」
「馬?」
「えぇ、ウィルも行く?」
「行くも何も……アデルは行くの?」
「行かないけど……」


 大きなため息と共に、わかったと言って自室のほうへ去っていく。剣を取りに行ったようだ。レオが時刻になって私の元へ来たので、行こうかと言うとウィルが息を切らしてやってくる。


「……俺も、行くから」
「うん、よろしく」


 私たちは厩舎に向かう前に倉庫に向かう。ここには、いろいろと道具があるのだ。ときおり私が手入れをしているのだが、誰にも気付かれていないものが入っていた。


「ここなに?」
「武器庫!」
「……武器庫?そんなものあるわけ?」
「ただの倉庫よ。鍵は厳重にかけてあるの」


 私は倉庫の中へウィルとレオを招き入れる。母とよく狩りにもでかけていたので、そういった類のものも揃えてあるのだ。


「ひとつ聞くけど」
「どうぞ。聞いてちょうだい」
「……嫁入り道具だったりしないよね?」


 倉庫にずらりと並ぶ武器。剣だけでなく、槍や弓矢まである。私はその中から弓矢を手に取り、殻の矢筒に手を伸ばした。


「ウィル、そっちに矢があるからとって」


 言われたとおりに取ってくれるウィルにありがとうと言い筒へ矢を入れた。


「何?嫁入り道具かって?」
「……そう。どうなの?」
「そうね、ウィルの予想通り私の嫁入り道具ではあるわね。ジョージア様は知らないと思うけど」


 子ども用の弓矢をレオに渡し、倉庫を出る。ウィルはあくまで護衛なので、弓矢は必要ない。狩りと称して弓矢の練習をレオとすることになったので、指導するのを楽しみに厩舎へ向かいレナンテに跨った。
 馬上での弓術の話をしていたので、百聞は一見に如かずとレオを狩りに誘ったのであった。
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