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結婚式Ⅱ
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ナタリーと一緒に衣装部屋に入った。結婚式の主役は私でなくてダリアであることを念頭において、さりとて公爵として見窄らしい格好では出られない。
「難しいわね?」
「元々、少し離れた場所で祝われる予定でしたからね。派手めのドレスなんですよね」
ナタリーが今日のために用意してくれたドレスを眺める。祝い事だからと、赤に金糸のドレスをみてため息をついてしまった。
「このドレスは始まりの夜会に来ていくことにするわ。今日はそうね……、これなんてどう?」
私のドレスには珍しいネイビーのマーメイドドレスを出してみた。髪の色の関係で濃い寒色はあまり着ないのだが、ナタリーがアンジェラとお揃いのドレスを作ってくれたのだ。私のはマーメイドだが、アンジェラは普通のワンピースのようなものだった。
「今日、アンジェラ様もこのドレスにしてもらいますか?」
「えぇ、そうね。そうしましょう。もしかしたら、準備に取り掛かっているかもしれないから、急いで知らせないと!」
ベルでデリアを呼ぶとすぐに部屋へ入ってくる。
「お呼びでしたか?」
「えぇ、今日のドレスをアンジェラと揃えようと思って」
「エマに知らせてきますね? ナタリー様、アンナ様のお着替えを先に始めてもらってもいいでしょうか?」
「もちろんよ! すぐにとりかかるわ!」
部屋から出ていくデリアと部屋で着替えの準備を始めるナタリー。その姿は王宮の侍女のようであった。
「ナタリーは元々所作が綺麗だったけど、さらに磨きがかかっているわね?」
「そうですか? あまり意識したことはないのですけど……、もし、アンナリーゼ様が私のことをそう見えているのなら、アンジェラ様の礼儀作法の教育を任せてくださったおかげだと思います」
「アンジェラの。それは、勉強してくれているの?」
「もちろんです! どこに出ても恥ずかしくないお嬢様に仕上げないと……。アンナリーゼ様は一見、破天荒なところがありますが、社交の場でそう言った隙は見せません。ならば、そういう教育方針にしたらいいのかなって考えています。私の家の地位では、公爵家のしきたりなど、わかるはずもなく、爵位の違いでこれほど苦労したことはありませんでした」
「私は元が侯爵家のものだから、それほど苦労はしていないのだけど、もし、重荷に感じたらいつでも言ってちょうだい」
「重荷だなんて……むしろ、こちらが勉強させていただいています」
ニッコリ笑うナタリーの本心であろう。私は今日の結婚式を楽しみにドレスに袖を通した。
「難しいわね?」
「元々、少し離れた場所で祝われる予定でしたからね。派手めのドレスなんですよね」
ナタリーが今日のために用意してくれたドレスを眺める。祝い事だからと、赤に金糸のドレスをみてため息をついてしまった。
「このドレスは始まりの夜会に来ていくことにするわ。今日はそうね……、これなんてどう?」
私のドレスには珍しいネイビーのマーメイドドレスを出してみた。髪の色の関係で濃い寒色はあまり着ないのだが、ナタリーがアンジェラとお揃いのドレスを作ってくれたのだ。私のはマーメイドだが、アンジェラは普通のワンピースのようなものだった。
「今日、アンジェラ様もこのドレスにしてもらいますか?」
「えぇ、そうね。そうしましょう。もしかしたら、準備に取り掛かっているかもしれないから、急いで知らせないと!」
ベルでデリアを呼ぶとすぐに部屋へ入ってくる。
「お呼びでしたか?」
「えぇ、今日のドレスをアンジェラと揃えようと思って」
「エマに知らせてきますね? ナタリー様、アンナ様のお着替えを先に始めてもらってもいいでしょうか?」
「もちろんよ! すぐにとりかかるわ!」
部屋から出ていくデリアと部屋で着替えの準備を始めるナタリー。その姿は王宮の侍女のようであった。
「ナタリーは元々所作が綺麗だったけど、さらに磨きがかかっているわね?」
「そうですか? あまり意識したことはないのですけど……、もし、アンナリーゼ様が私のことをそう見えているのなら、アンジェラ様の礼儀作法の教育を任せてくださったおかげだと思います」
「アンジェラの。それは、勉強してくれているの?」
「もちろんです! どこに出ても恥ずかしくないお嬢様に仕上げないと……。アンナリーゼ様は一見、破天荒なところがありますが、社交の場でそう言った隙は見せません。ならば、そういう教育方針にしたらいいのかなって考えています。私の家の地位では、公爵家のしきたりなど、わかるはずもなく、爵位の違いでこれほど苦労したことはありませんでした」
「私は元が侯爵家のものだから、それほど苦労はしていないのだけど、もし、重荷に感じたらいつでも言ってちょうだい」
「重荷だなんて……むしろ、こちらが勉強させていただいています」
ニッコリ笑うナタリーの本心であろう。私は今日の結婚式を楽しみにドレスに袖を通した。
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