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結婚式
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誕生日会の5日後。セバスとダリアの結婚式を領地の屋敷で行った。領民みながセバスの結婚を喜び、領地の女性たちからの贈り物で、会場は彩られている。
「素敵ね!」
「テーブルクロスもところどころで飾られている布の花はやはりいいですね!」
私の隣でナタリーが最終の確認をしていく。誕生日会でも人気だったお菓子もキティが作ってくれ、装飾のひとつとして飾っていた。
「今日は人前式なんだろ?」
「そう。セバスとダリアの誓いを私たちが聞いておめでとうで承認する感じかしら?」
「なるほどね……俺、そういうのには程遠いから、未だに結婚式って緊張するわ」
ウィルが近衛の正装である白の制服に身を包んで、会場を見渡した。先日のこともあるので、警備はほどほどにして、招待客以外は入れないようにしてしまう。いつもは開いている領地の屋敷の門扉も閉じていた。
「もう少ししたら招待客が入ってくるわ。トライド男爵の招待客が前で、その後ろに友人たち、さらにその後ろが身内って感じかしら?」
「そういえば、トライド男爵はアンバー領を軽く見て回ったと聞いたけど」
「そうだったの?案内が必要なら、誰かに付き添いを頼めたのに……」
「いや、セバスが案内したらしいから大丈夫。それより、メチャクチャ驚いていたってセバスから聞いているよ」
「驚く?」
「アンバー領は未だ荒れた土地だと認識されていることが多いから」
「なるほど……それじゃおどいてくれたでしょうね?セバスのために私、とても張り切ったのですよ?」
今回の結婚式で二人の女性がとても活躍したと私は考えていた。一人はもちろんナタリー。ダリアのウエディングドレスをデザインから全て一人で作った。あまり時間がなかったにも関わらず、とても素敵なドレスが出来たと報告を受けていた。サラおばさんが作ったレースもベールとして整えたりしたらしい。流行りも入れつつ、一生記憶に残るドレスが出来たとナタリー自身も大満足している。
もう一人は宝石職人のティアだ。今できるティアの最高傑作となるアレキサンドライトの宝飾品を作ったらしい。元々、私が買ってきたもので、今年の流行にと考えていたものだ。希少価値で値がはるのだが……エルドアから嫁いできた人という意味を込めて、ティアはアレキサンドライトを使ったそうだ。
今年の目玉と言っても過言ではないその宝石は、貴族女性にはどう見えるのか、楽しみであった。
「席次もいいわね。天気もいいし、最高の結婚式日よりだわ!」
「本当だな、気温を気にはしていたけど……冬の冷たい風じゃなくて、春の陽気で正直ホッとしているわ」
「私が晴れ女だから……天気はきっと大丈夫だわ」
「姫さんもかなり張り切っているけど……」
「もちろんよ!友人たちの結婚ですもの。嬉しいのよ」
整った会場にもうすぐ招待客を迎えるのだが、今日、ダリアに貸し出しをしている侍女が私の元へかけてくる。
「アンナリーゼ様」
「どうかして?」
「あの……ダリア様から申し出があったのですが、お伝えしてもよろしいでしょうか?」
「もちろんよ!何かあったのかしら?」
私は側にいるウィルとナタリーに目配せをした。二人も何を意味しているのかわからないようだ。
「はい、ダリア様からの申し出は、アンナリーゼ様にベールダウンをしてもらえないかというもので……無理なら断ってくれて構わないと聞いています」
「ベールダウンってあれよね?バージンロードを歩くときに母親が花嫁のベールを下げるっていう」
「素敵じゃないですか?アンナリーゼ様、なさってくださいよ!」
ナタリーも結婚式のときに母親にしてもらったと懐かしそうに話している。私も確かそうだったと記憶を辿った。
「私でいいのかしら?」
「ダリア様はアンナリーゼ様がいいと。お母様がいらっしゃらないらしいので……」
「わかったわ!私がするわ。そういえば、バージンロードは誰と歩くの?セバス?」
「……それは、その……」
「……両親がいなかったわよね?」
「そうらしいです。一人で歩くとおっしゃっていたので……」
「ジョージア様にしていただきますか?」
ナタリーの提案に少し考えて、首を横に振る。
「ジョージア様と歩くのは、私とアンジェラだけで十分だと思うの」
「……ここでも嫉妬?」
「なら、ウィルが歩いてもいいのよ?」
「それは、その……ミアの練習?」
「うーん、それはなんとも言えないけど……お断りって感じの表情ね」
ダリアにバージンロードを一人歩かせるのは、正直なところダメだろう。アンバー領での結婚式なのだから、ちゃんとしてあげたい。
「私が両方をするのはいけないかしら?」
「両方と言いますと、ベールダウンとバージンロードを歩くというものですか?」
「えぇ、そういうこと。セバスがこの領地で大切な存在だということとダリアが私の庇護下にあることも含めて、周知できるでしょ?」
「……アンナリーゼ様にエスコートされるのって、どんな気持ちでしょうね?私もしてほしいくらいです」
「姫さんがするって言うならいいんじゃない?それなら、今日着るドレスははっきりした色のドレスの方がいいんじゃない?」
「さすが?ウィルね?ちょうどよさそうなドレスってあったかしら?」
「ナタリーに聞けばすぐ出てくるんじゃない?」
私はナタリーと衣装ケースに向かうことになり、結婚式に間に合うよう、準備を始めたので、私もドレス選びにナタリーを連れて私室にあるドレスを見繕ったのである。
「素敵ね!」
「テーブルクロスもところどころで飾られている布の花はやはりいいですね!」
私の隣でナタリーが最終の確認をしていく。誕生日会でも人気だったお菓子もキティが作ってくれ、装飾のひとつとして飾っていた。
「今日は人前式なんだろ?」
「そう。セバスとダリアの誓いを私たちが聞いておめでとうで承認する感じかしら?」
「なるほどね……俺、そういうのには程遠いから、未だに結婚式って緊張するわ」
ウィルが近衛の正装である白の制服に身を包んで、会場を見渡した。先日のこともあるので、警備はほどほどにして、招待客以外は入れないようにしてしまう。いつもは開いている領地の屋敷の門扉も閉じていた。
「もう少ししたら招待客が入ってくるわ。トライド男爵の招待客が前で、その後ろに友人たち、さらにその後ろが身内って感じかしら?」
「そういえば、トライド男爵はアンバー領を軽く見て回ったと聞いたけど」
「そうだったの?案内が必要なら、誰かに付き添いを頼めたのに……」
「いや、セバスが案内したらしいから大丈夫。それより、メチャクチャ驚いていたってセバスから聞いているよ」
「驚く?」
「アンバー領は未だ荒れた土地だと認識されていることが多いから」
「なるほど……それじゃおどいてくれたでしょうね?セバスのために私、とても張り切ったのですよ?」
今回の結婚式で二人の女性がとても活躍したと私は考えていた。一人はもちろんナタリー。ダリアのウエディングドレスをデザインから全て一人で作った。あまり時間がなかったにも関わらず、とても素敵なドレスが出来たと報告を受けていた。サラおばさんが作ったレースもベールとして整えたりしたらしい。流行りも入れつつ、一生記憶に残るドレスが出来たとナタリー自身も大満足している。
もう一人は宝石職人のティアだ。今できるティアの最高傑作となるアレキサンドライトの宝飾品を作ったらしい。元々、私が買ってきたもので、今年の流行にと考えていたものだ。希少価値で値がはるのだが……エルドアから嫁いできた人という意味を込めて、ティアはアレキサンドライトを使ったそうだ。
今年の目玉と言っても過言ではないその宝石は、貴族女性にはどう見えるのか、楽しみであった。
「席次もいいわね。天気もいいし、最高の結婚式日よりだわ!」
「本当だな、気温を気にはしていたけど……冬の冷たい風じゃなくて、春の陽気で正直ホッとしているわ」
「私が晴れ女だから……天気はきっと大丈夫だわ」
「姫さんもかなり張り切っているけど……」
「もちろんよ!友人たちの結婚ですもの。嬉しいのよ」
整った会場にもうすぐ招待客を迎えるのだが、今日、ダリアに貸し出しをしている侍女が私の元へかけてくる。
「アンナリーゼ様」
「どうかして?」
「あの……ダリア様から申し出があったのですが、お伝えしてもよろしいでしょうか?」
「もちろんよ!何かあったのかしら?」
私は側にいるウィルとナタリーに目配せをした。二人も何を意味しているのかわからないようだ。
「はい、ダリア様からの申し出は、アンナリーゼ様にベールダウンをしてもらえないかというもので……無理なら断ってくれて構わないと聞いています」
「ベールダウンってあれよね?バージンロードを歩くときに母親が花嫁のベールを下げるっていう」
「素敵じゃないですか?アンナリーゼ様、なさってくださいよ!」
ナタリーも結婚式のときに母親にしてもらったと懐かしそうに話している。私も確かそうだったと記憶を辿った。
「私でいいのかしら?」
「ダリア様はアンナリーゼ様がいいと。お母様がいらっしゃらないらしいので……」
「わかったわ!私がするわ。そういえば、バージンロードは誰と歩くの?セバス?」
「……それは、その……」
「……両親がいなかったわよね?」
「そうらしいです。一人で歩くとおっしゃっていたので……」
「ジョージア様にしていただきますか?」
ナタリーの提案に少し考えて、首を横に振る。
「ジョージア様と歩くのは、私とアンジェラだけで十分だと思うの」
「……ここでも嫉妬?」
「なら、ウィルが歩いてもいいのよ?」
「それは、その……ミアの練習?」
「うーん、それはなんとも言えないけど……お断りって感じの表情ね」
ダリアにバージンロードを一人歩かせるのは、正直なところダメだろう。アンバー領での結婚式なのだから、ちゃんとしてあげたい。
「私が両方をするのはいけないかしら?」
「両方と言いますと、ベールダウンとバージンロードを歩くというものですか?」
「えぇ、そういうこと。セバスがこの領地で大切な存在だということとダリアが私の庇護下にあることも含めて、周知できるでしょ?」
「……アンナリーゼ様にエスコートされるのって、どんな気持ちでしょうね?私もしてほしいくらいです」
「姫さんがするって言うならいいんじゃない?それなら、今日着るドレスははっきりした色のドレスの方がいいんじゃない?」
「さすが?ウィルね?ちょうどよさそうなドレスってあったかしら?」
「ナタリーに聞けばすぐ出てくるんじゃない?」
私はナタリーと衣装ケースに向かうことになり、結婚式に間に合うよう、準備を始めたので、私もドレス選びにナタリーを連れて私室にあるドレスを見繕ったのである。
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