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甘かった何かⅡ
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泣きつかれたジョージ、側にいたアンジェラとネイトはうとうと眠ってしまった。すぅすぅと寝息をたてる三人をそれぞれ撫でるとジョージアが部屋に入ってきた。
「どうでしたか?」
「うん、幸い大きすぎる騒ぎにはなってなかったけど、今日はそのまま続けたいって……屋敷の前で言われた。安全が確認出来るまでダメだって言ったけど……1年に1度しか誕生日はないんだからって、押された……」
「ジョージア様って、押しに弱いですよね?よわよわですよね?激よわですよね?」
「……そこまで弱くは……ないと思うけど?」
「私、押し倒したら……」
「それとこれは別。それより、ジョージはどう?」
ソファの側で覗き込む。アンジェラもネイトも丸くなって寝ている。同じような格好で寝ているのを見て姉弟だなって思う。ジョージは私に抱きついたままだった。
「よく眠っているね。怖かっただろうに……」
ジョージの頭を撫でるジョージア。血は繋がっていなくとも、大事に育ててきた子だ。見つめる瞳は優しい。
「ベッドに移そう。アンナもずっとそのままでは大変だから」
「……お願いしたいですけど、いいんでしょうか?」
「あぁ、なるほど。それだったら……アンナの部屋へ行こうか。二人もつれて」
私の部屋のベッドで、今日は親子五人で眠るらしい。ジョージアがアンジェラをエマがネイトを私がジョージを運ぶことになった。
「ジョージ、重くなっただろ?」
「アンジェラもですけどね……子の重みは成長ですから。嬉しいです!」
落ちないように抱え直しても、ぐっすりのようで全然起きない。部屋に入ってデリアに子どもたちを寝かせられるようにしてもらう。
「執務室へ移動したいんですけど……」
「無理だろうね?みんなをここに呼べばいいよ」
私室に友人たちがいることはしばしばあるので、ジョージアは何も言わず、ウィルたちを部屋へと招き入れた。そこで、さっきの出来事を話合う。
「どうしてジョージ様だったのでしょう?」
「ナタリーの疑問は俺も思った。お嬢じゃなくて、何故なんだ?」
「……アンナリーゼ様のお子を狙っていただけなら、ジョージ様が狙われても別段不思議ではないだろ?」
「ジョージはアンジェラと同じ誕生日だからね……双子ってふうに話が広まっているし」
「実際は、アンナリーゼ様とソフィアが産んだ子なのにね」
私は、ソフィアの子というのに苦笑いをするしかない。アンバー公爵家の血筋には入れない子ではある。成人と同時に話すとジョージアは決めているようだった。
「それはそうとして、今なんか引っかかたなって思ったんだけど、ソフィアのことだ」
「何を思いついたの?ウィル」
「ナタリーは姫さんが出産のときはこっちにいなかったから知らないかもしれないけど……」
「あっ、ソフィアの」
「そう、ソフィアについてた執事だよ。逃がしたって言ってなかった?」
「ディルも見つけられていないの。もしかして、今回のって……」
行きついた先は未だ逃亡中のソフィアの執事だ。ディルに捜索をお願いしている今でも見つからずにいるその人物をすっかり忘れていた。
「4歳の子に何が目的なの?」
「そりゃ……ソフィアのかたき討ちじゃないの?」
「生まれてそんなに経っていない子だったジョージ様に刷り込みでもするつもり?」
「そりゃ、本人じゃなきゃわからないけど……」
「そのせんはあるのかしら?どう思いますか?ジョージア様」
「……なくはないと思うけど、ソフィアに従順だったからね。だからって、警備の多いアンバー領で実行するって、余程自身があったんだな」
「実際、成功していますからね……領地は安全だって勝手に思っていましたし」
「……これから、また、ジョージ様に何かしてくる可能性はあるのでしょうか?」
「……ないとは言い切れないわね」
「ジョージ様を見張りますか?」
「……見張るだなんて!」
「でも、そうしないと、アンナリーゼ様だけではなく、アンジェラ様やネイト様までも危ないですよ」
「そりゃ、一理あるな。ジョージア様は自身の子として三人の名を世間に知らしめているわけだし、姫さんの二人の子がいなくなれば……」
「必然とってこと?」
「……ジョージが望む望まない関係なく、こんなことに巻き込まれていくのか」
大きなため息をつくジョージアの背中にそっと手を添える。『ハニーローズ』殺害未遂により、ダドリー男爵家は一族が死刑となった。ソフィアも例外ではなく、ソフィアの子であり、ジョージアの子でないジョージはその対象であった。
ただ、1年を一緒に過ごしたジョージアの情けでジョージはダドリー男爵家の枠から外された。その髪と瞳の色を見れば、色濃くダドリー男爵家をあらわしているにも関わらずだ。
「ジョージア様、あの日、ジョージを助けたことを後悔しないでください。ジョージア様にとって、大切なお子だったのですから」
ジョージアの曇る表情を見つめながら、大丈夫ですよと囁いた。油断していた私や領地の警備について、今回、こんな形で露呈してしまった。警備の見直しをせざるえなくなり、ウィルとセバスにどうするかと意見を聞くことにした。
「どうでしたか?」
「うん、幸い大きすぎる騒ぎにはなってなかったけど、今日はそのまま続けたいって……屋敷の前で言われた。安全が確認出来るまでダメだって言ったけど……1年に1度しか誕生日はないんだからって、押された……」
「ジョージア様って、押しに弱いですよね?よわよわですよね?激よわですよね?」
「……そこまで弱くは……ないと思うけど?」
「私、押し倒したら……」
「それとこれは別。それより、ジョージはどう?」
ソファの側で覗き込む。アンジェラもネイトも丸くなって寝ている。同じような格好で寝ているのを見て姉弟だなって思う。ジョージは私に抱きついたままだった。
「よく眠っているね。怖かっただろうに……」
ジョージの頭を撫でるジョージア。血は繋がっていなくとも、大事に育ててきた子だ。見つめる瞳は優しい。
「ベッドに移そう。アンナもずっとそのままでは大変だから」
「……お願いしたいですけど、いいんでしょうか?」
「あぁ、なるほど。それだったら……アンナの部屋へ行こうか。二人もつれて」
私の部屋のベッドで、今日は親子五人で眠るらしい。ジョージアがアンジェラをエマがネイトを私がジョージを運ぶことになった。
「ジョージ、重くなっただろ?」
「アンジェラもですけどね……子の重みは成長ですから。嬉しいです!」
落ちないように抱え直しても、ぐっすりのようで全然起きない。部屋に入ってデリアに子どもたちを寝かせられるようにしてもらう。
「執務室へ移動したいんですけど……」
「無理だろうね?みんなをここに呼べばいいよ」
私室に友人たちがいることはしばしばあるので、ジョージアは何も言わず、ウィルたちを部屋へと招き入れた。そこで、さっきの出来事を話合う。
「どうしてジョージ様だったのでしょう?」
「ナタリーの疑問は俺も思った。お嬢じゃなくて、何故なんだ?」
「……アンナリーゼ様のお子を狙っていただけなら、ジョージ様が狙われても別段不思議ではないだろ?」
「ジョージはアンジェラと同じ誕生日だからね……双子ってふうに話が広まっているし」
「実際は、アンナリーゼ様とソフィアが産んだ子なのにね」
私は、ソフィアの子というのに苦笑いをするしかない。アンバー公爵家の血筋には入れない子ではある。成人と同時に話すとジョージアは決めているようだった。
「それはそうとして、今なんか引っかかたなって思ったんだけど、ソフィアのことだ」
「何を思いついたの?ウィル」
「ナタリーは姫さんが出産のときはこっちにいなかったから知らないかもしれないけど……」
「あっ、ソフィアの」
「そう、ソフィアについてた執事だよ。逃がしたって言ってなかった?」
「ディルも見つけられていないの。もしかして、今回のって……」
行きついた先は未だ逃亡中のソフィアの執事だ。ディルに捜索をお願いしている今でも見つからずにいるその人物をすっかり忘れていた。
「4歳の子に何が目的なの?」
「そりゃ……ソフィアのかたき討ちじゃないの?」
「生まれてそんなに経っていない子だったジョージ様に刷り込みでもするつもり?」
「そりゃ、本人じゃなきゃわからないけど……」
「そのせんはあるのかしら?どう思いますか?ジョージア様」
「……なくはないと思うけど、ソフィアに従順だったからね。だからって、警備の多いアンバー領で実行するって、余程自身があったんだな」
「実際、成功していますからね……領地は安全だって勝手に思っていましたし」
「……これから、また、ジョージ様に何かしてくる可能性はあるのでしょうか?」
「……ないとは言い切れないわね」
「ジョージ様を見張りますか?」
「……見張るだなんて!」
「でも、そうしないと、アンナリーゼ様だけではなく、アンジェラ様やネイト様までも危ないですよ」
「そりゃ、一理あるな。ジョージア様は自身の子として三人の名を世間に知らしめているわけだし、姫さんの二人の子がいなくなれば……」
「必然とってこと?」
「……ジョージが望む望まない関係なく、こんなことに巻き込まれていくのか」
大きなため息をつくジョージアの背中にそっと手を添える。『ハニーローズ』殺害未遂により、ダドリー男爵家は一族が死刑となった。ソフィアも例外ではなく、ソフィアの子であり、ジョージアの子でないジョージはその対象であった。
ただ、1年を一緒に過ごしたジョージアの情けでジョージはダドリー男爵家の枠から外された。その髪と瞳の色を見れば、色濃くダドリー男爵家をあらわしているにも関わらずだ。
「ジョージア様、あの日、ジョージを助けたことを後悔しないでください。ジョージア様にとって、大切なお子だったのですから」
ジョージアの曇る表情を見つめながら、大丈夫ですよと囁いた。油断していた私や領地の警備について、今回、こんな形で露呈してしまった。警備の見直しをせざるえなくなり、ウィルとセバスにどうするかと意見を聞くことにした。
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