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あやしい人物Ⅱ
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『アンジェラ様たちの側にあやしい人物がいます。至急来られたし』
メモを見て、私は何事もないかのようににこやかに、されどドレスの下は足早にアンジェラの元へと向かう。先程の殺気をこちらに向けていた人物なのだろうか?
すぐにアンジェラの姿を見つけ呼びかけた。
「アンジェラ?」
「ママ?」
慌てた私を見ながら、きょとんとしている。周りを見渡すと、ジョージの姿が見当たらなかった。
「無事なのね?よかったわ」
「うん、なんともないよ?」
「ところで、ジョージはどこかしら?」
「ジョーは……今までいたのに、どこ行っちゃったのかなぁ?」
キョロキョロと見渡しているが、アンジェラも知らないうちにいなくなったようだ。子猫たちはアンジェラを最優先にしているので、ジョージのことに気が付かなかったのかもしれない。
「……アンナリーゼ様、申し訳ありません。とんだ失態を」
「今は謝罪をしている場合ではありません。私に向けられた殺気の正体がわからないのです。ジョージをすぐに探さないと。アンジェラは私が見ているので、探してちょうだい!」
「ただちに」
子猫たちは分散してジョージを探す。私も場所を移動することにした。アンジェラを抱きかかえると、少し不満そうにこちらを見下ろしてくる。
「ごめんね、せっかくの誕生日に。いますぐ部屋に戻るわ」
「ジョーを探しているの?」
「そう。どこに行ったかわかるかしら?」
うーんと唸り始めるアンジェラ。すると、ストンと眠りについてしまう。驚いて、思わず大きな声をだそうとして噤んだ。
きっと、『予知夢』を見ようと眠ったのだろう。
そっと抱きしめ、アンジェラを頼るしかない。
「アンジーは眠ったのかい?」
「えぇ、目が覚めたら、ネイトと一緒に部屋に籠るようにしてくれませんか?」
「それはいいけど……」
「ウィルにも行ってもらうから」
「わかった。部屋の護衛は任せろ」
そのとき、アンジェラが目をさました。私が覗き込むようにして話を促すと、欲しい言葉を言ってくれる。
「ジョーはお屋敷の屋上にいる」
「屋上ね!私が行ってくるわ。人物はわかる?」
「わからない。見たことないおじさん」
それだけ言うと、黙ってしまう。これだけの情報があれば、とりあえず十分だと、私は屋上へ向かって走る。
屋敷は広くても、屋上はそれほど広くない。袋小路になったとはいえ、犯人が何を目的としているかわからない以上、ジョージの元へ戻るしかない。
アンジェラが予見したとおり、屋上に繋がる扉は鍵が壊されたあとがあり、小さな子どもあやすかのように、側にいる大人は大切にしているようだ。
「ジョージ!」
私が名を呼んだだけで、帽子を目深に被った男性は慌てる様子もなく、淡々と逃げないようにジョージを捕まえているのであった。
メモを見て、私は何事もないかのようににこやかに、されどドレスの下は足早にアンジェラの元へと向かう。先程の殺気をこちらに向けていた人物なのだろうか?
すぐにアンジェラの姿を見つけ呼びかけた。
「アンジェラ?」
「ママ?」
慌てた私を見ながら、きょとんとしている。周りを見渡すと、ジョージの姿が見当たらなかった。
「無事なのね?よかったわ」
「うん、なんともないよ?」
「ところで、ジョージはどこかしら?」
「ジョーは……今までいたのに、どこ行っちゃったのかなぁ?」
キョロキョロと見渡しているが、アンジェラも知らないうちにいなくなったようだ。子猫たちはアンジェラを最優先にしているので、ジョージのことに気が付かなかったのかもしれない。
「……アンナリーゼ様、申し訳ありません。とんだ失態を」
「今は謝罪をしている場合ではありません。私に向けられた殺気の正体がわからないのです。ジョージをすぐに探さないと。アンジェラは私が見ているので、探してちょうだい!」
「ただちに」
子猫たちは分散してジョージを探す。私も場所を移動することにした。アンジェラを抱きかかえると、少し不満そうにこちらを見下ろしてくる。
「ごめんね、せっかくの誕生日に。いますぐ部屋に戻るわ」
「ジョーを探しているの?」
「そう。どこに行ったかわかるかしら?」
うーんと唸り始めるアンジェラ。すると、ストンと眠りについてしまう。驚いて、思わず大きな声をだそうとして噤んだ。
きっと、『予知夢』を見ようと眠ったのだろう。
そっと抱きしめ、アンジェラを頼るしかない。
「アンジーは眠ったのかい?」
「えぇ、目が覚めたら、ネイトと一緒に部屋に籠るようにしてくれませんか?」
「それはいいけど……」
「ウィルにも行ってもらうから」
「わかった。部屋の護衛は任せろ」
そのとき、アンジェラが目をさました。私が覗き込むようにして話を促すと、欲しい言葉を言ってくれる。
「ジョーはお屋敷の屋上にいる」
「屋上ね!私が行ってくるわ。人物はわかる?」
「わからない。見たことないおじさん」
それだけ言うと、黙ってしまう。これだけの情報があれば、とりあえず十分だと、私は屋上へ向かって走る。
屋敷は広くても、屋上はそれほど広くない。袋小路になったとはいえ、犯人が何を目的としているかわからない以上、ジョージの元へ戻るしかない。
アンジェラが予見したとおり、屋上に繋がる扉は鍵が壊されたあとがあり、小さな子どもあやすかのように、側にいる大人は大切にしているようだ。
「ジョージ!」
私が名を呼んだだけで、帽子を目深に被った男性は慌てる様子もなく、淡々と逃げないようにジョージを捕まえているのであった。
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