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あやしい人物
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ネイトは朝からアンジェラに連れまわされクタクタのようで舟をこぎ始めた。ジョージアがそれをみて、部屋に連れていくと抱き上げる。私はジョージアにお願いをすれば、ディルの子猫が後をついて行った。部屋に護衛として残る人が必要なのだ。きちんと仕事を全うしようとしてくれようと動いてくれる子猫に鈴を渡しておく。
「姫さん、あれは何?」
たまたま近くに来たウィルがその様子を見ていたようで尋ねてくる。ちりんとも鳴らない鈴をいそいそとポケットに突っ込んでジョージアの後ろにぴったりと子猫が張り付いていた。
「お小遣いよ。年に数回、ディルが清算しているようよ」
「なるほど。子猫にも特別手当があるってことか。よく、それで揉めないよね?稼ぎ頭とかいるんじゃないの?」
「いるわよ?もちろん。ただ、あの鈴はご褒美に渡すけど、一人占めじゃないからね」
「一人占めじゃない?みんなで分けるってこと?」
「早いところ、そうね?裏のお仕事って、危ないことはしないようにって言ってはいても、ディルからの命令があれば子猫たちは動くわ。公爵の傘下ではなく、前公の飼い猫に近いからね」
「……表舞台から追い出しても、前公は居座っているんだ?」
「悪い人ではないのよ。公がしっかりしていれば、それほど裏からの介入はしないでしょ?」
「……地に足をつけて着実に賢王になってもらいたいものだな」
ウィルが私の周りを見ながら呟いた。どうやら、あやしい人物がいるらしく、視線を外しながら見ていた。
「私からは見えないのだけど、殺気を感じるわ」
「あぁ、いるぜ?姫さんの後方の木の陰に。見たことないけど……何か恨まれるようなことでもした?並の殺気ではなかったけど」
「身に覚えがありすぎて、私にはどのことかわからないのよね。どんな感じの人物」
「うーん、嫌味っぽい感じで、姫さんのこと蔑んだ目で見ているかな?恨みは相当買っているみたいで、今すぐにでも刺されそうだけど?」
「こんなところで刺されてあげないわよ?」
「そりゃもちろん。あっ、どこかへ向かうようだけど、追う?」
「騒ぎを大きくしたくないから、いいわ。そのままにしておいて」
そういうと、私はすぐさま後ろを振り返った。見覚えのあるような、どうだろう?と頭の中で考えていく。それらしい人物に辿り着いたが、たぶん違う。ワイズ伯爵はインゼロだし、1番の恨みを買っているだろうダドリー男爵は一家もろとも処刑されている。些細な恨み言なら、いつの間にか買っているのでどれだかわからない。
二人名が浮かんだうちのもう一人は行方不明だった。
「……その可能性があるのね?」
「何?」
「アンジェラの周りの警備を少し厳重に変えてもらえる頭?内緒で」
「それなら、リリーとアデルをこちらに呼ぼう。三人もいれば、最悪、うちのお姫様を守ることができるでだろ?……断言しかねるけど、おそらくは」
「そうね。不特定多数の人がいる中で何があるかわからないから、警備だけは緩めないで」
「了解。うちの子らも一応見ておいてくれる?」
「もちろん!」
私は、少しだけ油断をしていますと、いつもより緩くしている。私を見張っている人物たちは抜け駆けがあるかもしれないと急に刺激的な時間になったようだ。
「アデル、子どもたちから目を離さないで?私、どうやらこれから少し、貴族の相手をしないといけないみたいだから」
ぞろぞろとこちらに向かってくる一段を見て、今じゃなくてもと悪態をつきそうになった。
アデルは私から少し離れた場所で、子どもたちと私を視界に入れていたのだ。
距離を取ったアデルを感じながら、私はトライド男爵に挨拶した。
「この度は遠路はるばる訪問していただき、ありがとうございます。ご子息のご結婚、おめでとうございます」
「いや、その……お礼を言わないといけないのはこちらの方だよ。そんな気もないようなことを言っていたから、まさか、結婚式を出来る日が来るとは思ってもいませんでした」
「私はそれほど驚いてはいませんけど」
「アンナリーゼ様は、いつか愚息に嫁が来ると思っていたのでしょうか?」
「えぇ、心配はしていませんでしたよ!セバスほどの国を想う人物はいずれ、伴侶を得るとずっと思っていました。大切なものを見捨てることができないように、その伴侶も大切になさることでしょう」
「心配していたので、結婚式が迎えられることが嬉しいです」
私とトライド男爵が話しているとメイドがこっそり手紙を私の手に渡してくる。見たいが、今は、男爵に集中しないといけないだろう。
「アンナリーゼ様に目をかけてもらって本当によかった。内気だったあの子があれほど笑う姿をあまり見たことがなかったので」
トライド男爵夫人はセバスのほうをみて、ダリアとケーキを食べて笑っている姿に涙ぐんでいる。トライド男爵がそっとハンカチを渡して目元を拭うと、ほわっと笑う。夫人もセバスによく似ている……その笑顔をみて思った。
「結婚式を楽しみにしております。アンナリーゼ様が主催されるとか……」
「いいえ、セバスたちが自分で考えていましたよ。私とナタリーが手伝ったまでです。セバスとダリアがこの先困難なことがあっても、共にと初めて力を合わせて準備をしたのです。楽しんで行ってください!」
もちろんですと満足そうな夫妻とその場で別れた。私は手にあるメモをそっと確認したのである。
「姫さん、あれは何?」
たまたま近くに来たウィルがその様子を見ていたようで尋ねてくる。ちりんとも鳴らない鈴をいそいそとポケットに突っ込んでジョージアの後ろにぴったりと子猫が張り付いていた。
「お小遣いよ。年に数回、ディルが清算しているようよ」
「なるほど。子猫にも特別手当があるってことか。よく、それで揉めないよね?稼ぎ頭とかいるんじゃないの?」
「いるわよ?もちろん。ただ、あの鈴はご褒美に渡すけど、一人占めじゃないからね」
「一人占めじゃない?みんなで分けるってこと?」
「早いところ、そうね?裏のお仕事って、危ないことはしないようにって言ってはいても、ディルからの命令があれば子猫たちは動くわ。公爵の傘下ではなく、前公の飼い猫に近いからね」
「……表舞台から追い出しても、前公は居座っているんだ?」
「悪い人ではないのよ。公がしっかりしていれば、それほど裏からの介入はしないでしょ?」
「……地に足をつけて着実に賢王になってもらいたいものだな」
ウィルが私の周りを見ながら呟いた。どうやら、あやしい人物がいるらしく、視線を外しながら見ていた。
「私からは見えないのだけど、殺気を感じるわ」
「あぁ、いるぜ?姫さんの後方の木の陰に。見たことないけど……何か恨まれるようなことでもした?並の殺気ではなかったけど」
「身に覚えがありすぎて、私にはどのことかわからないのよね。どんな感じの人物」
「うーん、嫌味っぽい感じで、姫さんのこと蔑んだ目で見ているかな?恨みは相当買っているみたいで、今すぐにでも刺されそうだけど?」
「こんなところで刺されてあげないわよ?」
「そりゃもちろん。あっ、どこかへ向かうようだけど、追う?」
「騒ぎを大きくしたくないから、いいわ。そのままにしておいて」
そういうと、私はすぐさま後ろを振り返った。見覚えのあるような、どうだろう?と頭の中で考えていく。それらしい人物に辿り着いたが、たぶん違う。ワイズ伯爵はインゼロだし、1番の恨みを買っているだろうダドリー男爵は一家もろとも処刑されている。些細な恨み言なら、いつの間にか買っているのでどれだかわからない。
二人名が浮かんだうちのもう一人は行方不明だった。
「……その可能性があるのね?」
「何?」
「アンジェラの周りの警備を少し厳重に変えてもらえる頭?内緒で」
「それなら、リリーとアデルをこちらに呼ぼう。三人もいれば、最悪、うちのお姫様を守ることができるでだろ?……断言しかねるけど、おそらくは」
「そうね。不特定多数の人がいる中で何があるかわからないから、警備だけは緩めないで」
「了解。うちの子らも一応見ておいてくれる?」
「もちろん!」
私は、少しだけ油断をしていますと、いつもより緩くしている。私を見張っている人物たちは抜け駆けがあるかもしれないと急に刺激的な時間になったようだ。
「アデル、子どもたちから目を離さないで?私、どうやらこれから少し、貴族の相手をしないといけないみたいだから」
ぞろぞろとこちらに向かってくる一段を見て、今じゃなくてもと悪態をつきそうになった。
アデルは私から少し離れた場所で、子どもたちと私を視界に入れていたのだ。
距離を取ったアデルを感じながら、私はトライド男爵に挨拶した。
「この度は遠路はるばる訪問していただき、ありがとうございます。ご子息のご結婚、おめでとうございます」
「いや、その……お礼を言わないといけないのはこちらの方だよ。そんな気もないようなことを言っていたから、まさか、結婚式を出来る日が来るとは思ってもいませんでした」
「私はそれほど驚いてはいませんけど」
「アンナリーゼ様は、いつか愚息に嫁が来ると思っていたのでしょうか?」
「えぇ、心配はしていませんでしたよ!セバスほどの国を想う人物はいずれ、伴侶を得るとずっと思っていました。大切なものを見捨てることができないように、その伴侶も大切になさることでしょう」
「心配していたので、結婚式が迎えられることが嬉しいです」
私とトライド男爵が話しているとメイドがこっそり手紙を私の手に渡してくる。見たいが、今は、男爵に集中しないといけないだろう。
「アンナリーゼ様に目をかけてもらって本当によかった。内気だったあの子があれほど笑う姿をあまり見たことがなかったので」
トライド男爵夫人はセバスのほうをみて、ダリアとケーキを食べて笑っている姿に涙ぐんでいる。トライド男爵がそっとハンカチを渡して目元を拭うと、ほわっと笑う。夫人もセバスによく似ている……その笑顔をみて思った。
「結婚式を楽しみにしております。アンナリーゼ様が主催されるとか……」
「いいえ、セバスたちが自分で考えていましたよ。私とナタリーが手伝ったまでです。セバスとダリアがこの先困難なことがあっても、共にと初めて力を合わせて準備をしたのです。楽しんで行ってください!」
もちろんですと満足そうな夫妻とその場で別れた。私は手にあるメモをそっと確認したのである。
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