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誕生日会は大成功Ⅲ
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「さて、私は他を見て回ってきます。アンバー領にはたくさんおもしろいものがありますから、旦那様と一緒に行ってきますわ!」
「えぇ、楽しんで!今回は本当にたくさんお店も集まっているから」
「昨年は流行り病のせいで、規模が小さかったのですものね。楽しみにしていますわ」
そう言ってカレンはジョージアと話し込んでいる侯爵を誘っている。その姿を見れば、本当に仲の良いことがわかる。二人と別れて、ジョージアがこちらへやってきた。
「侯爵とはどのようなお話を?」
「領地の話を聞いてきたよ。一度行ったことがあったね」
「そうですね。リンゴの木があちらこちらと……今、思い出すだけでも、領地の香りを思い出しますわ」
「領地の香りですか?」
ナタリーはきょとんとしているので説明をすると、なるほどと頷いた。
「リンゴの季節ならリンゴのパイなど美味しかったでしょうが」
「リンゴなら、あるわよ?蜂蜜漬けではあるけど、パイを焼くくらいの量はあると思うわ」
「それって……リンゴ酒を作るためのものではないのですか?」
「そうよ。リンゴ酒のために取り寄せたものでも、痛んでいれば使えないから」
「痛んで?そんなものを食べているのですか?」
「綺麗に切り取ってね?美味しい実のところだけをいただくの。そうしてお酒で煮詰めたり、ジャムにしたりと加工品を作ったりとすれば、痛んだところはわからないわ」
「なるほど……私もずいぶんいただいた気がします」
「それはよかった」と笑っている。ナタリーも領地のことをお願いしている限りこういう話にも興味があるようだ。
「アンナリーゼ様は今回のお菓子の話はいつ考えたのですか?」
「ずいぶん前よ。食堂で甘味を食べていたとき。少しずつお菓子を食べられるといいなって」
「なるほどです。確かにたくさんのお菓子を少しずつ食べられるのは嬉しいです。結婚式もお茶会もこのようにするのですか?」
「できれば、キティにお願いしようと思っているわ」
「ドレスや装飾だけでなく、こういったお茶会にも流行らせたいことをさりげなく入れられるのは、さすがです。新たな流行になりますね」
「そうなるかしら?従来のお茶会も嫌いではないのだけど、少し主旨を変えてみて、訪れたお客が満足してもらえる会になれば嬉しいわ」
「きっと、なりますよ!いつも思いつきに驚かされます」
少し、私も回ってきますと離れていくナタリーの少し後ろに、ライズがスッと付き従っている。その様子をジョージアと二人で見つめた。
「……俺、確か、おっかなびっくりな身分をもった人物だって聞かされていたのに、今じゃナタリーの従者だな?」
「そうですね。ライズが慕っているのですから、ナタリーも側に置くのです。最初はもっと酷かった執事もだいぶみられるようになりましたね?」
「……アンナの侍従なハズなのに、なたりがーがね?」
「いいのですよ。ナタリーにはのびのび仕事をしてもらえれば、私は満足ですわ」
ライズの素性や諸々の事情を知っているジョージアもさすがにナタリーの従者になっていることには苦笑いをしている。
「守られる側がそれならいいよね」
ナタリーの手伝いなら、目をキラキラさせて手伝いをしようとしている貴族がいた。ナタリーの会話を盗み聞きしているようだった。
「それにしても、貴族のお忍びらしい人が大勢いるね?」
「結婚式とお茶会効果ではないですか?珍しいものがあれば買おうと、目を皿のようにしているから、貴族ってわかりやすくていいね?」
確かにと彼らの姿を見て、ジョージアは微笑んだ。もう少しすればセバスの結婚式がある。招待されている貴族たちが楽しんでいる様子がアンバー領への期待の大きさなのかもしれないと周りを見渡した。
「えぇ、楽しんで!今回は本当にたくさんお店も集まっているから」
「昨年は流行り病のせいで、規模が小さかったのですものね。楽しみにしていますわ」
そう言ってカレンはジョージアと話し込んでいる侯爵を誘っている。その姿を見れば、本当に仲の良いことがわかる。二人と別れて、ジョージアがこちらへやってきた。
「侯爵とはどのようなお話を?」
「領地の話を聞いてきたよ。一度行ったことがあったね」
「そうですね。リンゴの木があちらこちらと……今、思い出すだけでも、領地の香りを思い出しますわ」
「領地の香りですか?」
ナタリーはきょとんとしているので説明をすると、なるほどと頷いた。
「リンゴの季節ならリンゴのパイなど美味しかったでしょうが」
「リンゴなら、あるわよ?蜂蜜漬けではあるけど、パイを焼くくらいの量はあると思うわ」
「それって……リンゴ酒を作るためのものではないのですか?」
「そうよ。リンゴ酒のために取り寄せたものでも、痛んでいれば使えないから」
「痛んで?そんなものを食べているのですか?」
「綺麗に切り取ってね?美味しい実のところだけをいただくの。そうしてお酒で煮詰めたり、ジャムにしたりと加工品を作ったりとすれば、痛んだところはわからないわ」
「なるほど……私もずいぶんいただいた気がします」
「それはよかった」と笑っている。ナタリーも領地のことをお願いしている限りこういう話にも興味があるようだ。
「アンナリーゼ様は今回のお菓子の話はいつ考えたのですか?」
「ずいぶん前よ。食堂で甘味を食べていたとき。少しずつお菓子を食べられるといいなって」
「なるほどです。確かにたくさんのお菓子を少しずつ食べられるのは嬉しいです。結婚式もお茶会もこのようにするのですか?」
「できれば、キティにお願いしようと思っているわ」
「ドレスや装飾だけでなく、こういったお茶会にも流行らせたいことをさりげなく入れられるのは、さすがです。新たな流行になりますね」
「そうなるかしら?従来のお茶会も嫌いではないのだけど、少し主旨を変えてみて、訪れたお客が満足してもらえる会になれば嬉しいわ」
「きっと、なりますよ!いつも思いつきに驚かされます」
少し、私も回ってきますと離れていくナタリーの少し後ろに、ライズがスッと付き従っている。その様子をジョージアと二人で見つめた。
「……俺、確か、おっかなびっくりな身分をもった人物だって聞かされていたのに、今じゃナタリーの従者だな?」
「そうですね。ライズが慕っているのですから、ナタリーも側に置くのです。最初はもっと酷かった執事もだいぶみられるようになりましたね?」
「……アンナの侍従なハズなのに、なたりがーがね?」
「いいのですよ。ナタリーにはのびのび仕事をしてもらえれば、私は満足ですわ」
ライズの素性や諸々の事情を知っているジョージアもさすがにナタリーの従者になっていることには苦笑いをしている。
「守られる側がそれならいいよね」
ナタリーの手伝いなら、目をキラキラさせて手伝いをしようとしている貴族がいた。ナタリーの会話を盗み聞きしているようだった。
「それにしても、貴族のお忍びらしい人が大勢いるね?」
「結婚式とお茶会効果ではないですか?珍しいものがあれば買おうと、目を皿のようにしているから、貴族ってわかりやすくていいね?」
確かにと彼らの姿を見て、ジョージアは微笑んだ。もう少しすればセバスの結婚式がある。招待されている貴族たちが楽しんでいる様子がアンバー領への期待の大きさなのかもしれないと周りを見渡した。
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