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さぁ、踊りましょうⅡ
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……久しぶりだ。
解放されたと言ってもいいだろう。剣を思いっきり振り回すのは。私に負けたリリーは早々にジョージの元へ駆けて行き護衛に戻った。私とウィルを囲うように近衛と警備隊が木剣を構えて待っている。
「混ざってきてもいいんだけどなっ!」
「無理でしょ?ウィルの気に押されてしまうわ!」
木剣なのにガンと盛大な音と共に私たちは後ろへ下がる。一瞬隙が出来た私に切りかかった近衛を好ましく思えた。これは、私対近衛と警備隊の戦いなのだから、当然のように入ってくることは無粋ではない。
「あっ、アイツ何やって……」
せっかく切りかかってきたのに、残念な結果で終わり地面にのしてしまう。それを見た近衛たちは困惑しているが、のされた近衛が正解の動きだ。
「あなたたち、囲っているだけでいいの?」
ウィルから目を離さず、ソワソワしている近衛や警備隊を煽ると顔を見合わせている。ただ一人、その中で狙いすましているものがいたようだ。視界から完全に見えないところから木剣で突撃をしてくるが、気配でわかる。その気合の入った声で反応が出来る。ウィルの視線でバレてしまった。
私は避けたら、ウィルが逆に突っ込んでくる。連携とまでは行かないが、うまく利用した形で上手に私を攻め立てる。
「考えたわね?」
「そうでもねぇよ?あの警備隊様様だな」
「どこの隊のかわかる?」
「たぶん、リリーだと思うけど……姫さん、余裕じゃん?」
つばぜり合いでこちらを力で押してくる。分が悪い。いつものことながら分が悪い。ウィルの力に私は勝てない。ウィルだけじゃなくて……たぶん、ここのほとんどの近衛や警備隊にもだ。土木工事をする面々は、みるみるうちに肉体改造されている。どういうわけか、リアノが指導したなんて言われているほどだ。
「リアノって、兵だったりしたのかしら?」
「なんで?」
私が押し負けているように見えてなかなか押し切れないことに多少の苛立ちを見せるウィルに話しかけていく。
「ここの近衛たち、随分様子が変わったから」
「土木工事しているおかげだろ?あぁ、確かに、リアノがどこのどの筋肉を使っているか意識しながら作業をするように言ってた気がする。剣を振るうには槍を扱うには盾で応戦するにはってな具合で」
「……なるほど。公に土木工事を含め強くして返すよっていったのもあながち……」
「むしろ、この隊は近衛に帰ったら大変だろうな?」
「なんで?」
「あのアンナリーゼ様が鍛えた近衛だから、この筋肉共々維持しないといけないし?」
「日々の鍛錬だけでは、難しいのかしら?」
そろそろ離れたいと思っていることは、ウィルにはお見通しだったようだ。おもいっきり押し返して距離を取ろうとしたのに追随されてしまう。
「しつこいと女性にモテないよ?」
トントンとバックステップを踏んで間合いを少しとる。
「そういうのはもうお見通し!突っ込んでくるんだろ?」
「どうだろうね?」
ニッコリ笑って後ろの様子をチラとみたら、私たちを見逃さないようにとジッと見ている。ほとほと何してるんだろう?って叱り飛ばしたくなるが、今はそんな余裕はない。最後に大きく後ろに下がった瞬間、取り囲んでいた警備隊が驚いていた。
ごめんねと心で呟いた瞬間には、ウィルの剣先がそこら一帯の無防備な隊員を薙ぎ払ってしまった。
「うわっ!ごめん!」
その場に倒れこんだ隊員たちにウィルは申し訳なさそうに謝っているが、私はその隙を見逃さなかった。大きく回りこみ、ウィルの後ろを取った。
首筋に木剣を当てると、そりゃないよなぁ……と呟いている。
「ウィルが言ったんじゃない?お行儀のよい試合じゃないんだって。使えるものは全部使っただけよ?」
「……確かに言ったけどさ。姫さんとは正々堂々と試合したいんだけど?」
「そんなのうけてたつはずもないわよ!」
「だから、今日……!」
「しない!お山の大将は打ち取ったり!さっさと出ていってくれる?」」
「……はいはい。あとよろしくねぇ!」
そういって、近衛たちに号令をかける。本来なら、混戦のはずなのだが、ウィルの号令で動き始めたので、簡単になぎ倒していく。
「せっかく手に入れた肉体があるのに、連携とか戦略とか……全然だめね?まだ、公都にいたときの方がよかったかしら?」
死屍累々……死んではいないが、近衛をはじめ警備隊も地べたで蹲っている。
「本当……衰え知らずっていうか、いつまで最強でいるつもり?」
「ウィルが私を倒すまで?でも、試合は受けないし、こういうのにも参加しないから、永遠に私が最強でいいんじゃない?」
「……まぁ、それもありだよな。いつまでも、俺の目標であり続ける。あぁ、でも、くっそ……いつかは、倒したい。本気の姫さんを越えたい!」
「待っているわ。たぶん、ウィル、エリック、アデル、リリー、キースがちゃんと連携をとって戦うなら、私は敵わないもの」
「そうじゃなくて、サシで勝ちたいんだよ」
ウィルが呟いた言葉は私にも届く。もちろん、わざと負けるつもりもない。それこそ、ウィルのプライドを傷つけるから。
試合はしないといいつつも、いつか、そんな日がくることを密かに願った。
解放されたと言ってもいいだろう。剣を思いっきり振り回すのは。私に負けたリリーは早々にジョージの元へ駆けて行き護衛に戻った。私とウィルを囲うように近衛と警備隊が木剣を構えて待っている。
「混ざってきてもいいんだけどなっ!」
「無理でしょ?ウィルの気に押されてしまうわ!」
木剣なのにガンと盛大な音と共に私たちは後ろへ下がる。一瞬隙が出来た私に切りかかった近衛を好ましく思えた。これは、私対近衛と警備隊の戦いなのだから、当然のように入ってくることは無粋ではない。
「あっ、アイツ何やって……」
せっかく切りかかってきたのに、残念な結果で終わり地面にのしてしまう。それを見た近衛たちは困惑しているが、のされた近衛が正解の動きだ。
「あなたたち、囲っているだけでいいの?」
ウィルから目を離さず、ソワソワしている近衛や警備隊を煽ると顔を見合わせている。ただ一人、その中で狙いすましているものがいたようだ。視界から完全に見えないところから木剣で突撃をしてくるが、気配でわかる。その気合の入った声で反応が出来る。ウィルの視線でバレてしまった。
私は避けたら、ウィルが逆に突っ込んでくる。連携とまでは行かないが、うまく利用した形で上手に私を攻め立てる。
「考えたわね?」
「そうでもねぇよ?あの警備隊様様だな」
「どこの隊のかわかる?」
「たぶん、リリーだと思うけど……姫さん、余裕じゃん?」
つばぜり合いでこちらを力で押してくる。分が悪い。いつものことながら分が悪い。ウィルの力に私は勝てない。ウィルだけじゃなくて……たぶん、ここのほとんどの近衛や警備隊にもだ。土木工事をする面々は、みるみるうちに肉体改造されている。どういうわけか、リアノが指導したなんて言われているほどだ。
「リアノって、兵だったりしたのかしら?」
「なんで?」
私が押し負けているように見えてなかなか押し切れないことに多少の苛立ちを見せるウィルに話しかけていく。
「ここの近衛たち、随分様子が変わったから」
「土木工事しているおかげだろ?あぁ、確かに、リアノがどこのどの筋肉を使っているか意識しながら作業をするように言ってた気がする。剣を振るうには槍を扱うには盾で応戦するにはってな具合で」
「……なるほど。公に土木工事を含め強くして返すよっていったのもあながち……」
「むしろ、この隊は近衛に帰ったら大変だろうな?」
「なんで?」
「あのアンナリーゼ様が鍛えた近衛だから、この筋肉共々維持しないといけないし?」
「日々の鍛錬だけでは、難しいのかしら?」
そろそろ離れたいと思っていることは、ウィルにはお見通しだったようだ。おもいっきり押し返して距離を取ろうとしたのに追随されてしまう。
「しつこいと女性にモテないよ?」
トントンとバックステップを踏んで間合いを少しとる。
「そういうのはもうお見通し!突っ込んでくるんだろ?」
「どうだろうね?」
ニッコリ笑って後ろの様子をチラとみたら、私たちを見逃さないようにとジッと見ている。ほとほと何してるんだろう?って叱り飛ばしたくなるが、今はそんな余裕はない。最後に大きく後ろに下がった瞬間、取り囲んでいた警備隊が驚いていた。
ごめんねと心で呟いた瞬間には、ウィルの剣先がそこら一帯の無防備な隊員を薙ぎ払ってしまった。
「うわっ!ごめん!」
その場に倒れこんだ隊員たちにウィルは申し訳なさそうに謝っているが、私はその隙を見逃さなかった。大きく回りこみ、ウィルの後ろを取った。
首筋に木剣を当てると、そりゃないよなぁ……と呟いている。
「ウィルが言ったんじゃない?お行儀のよい試合じゃないんだって。使えるものは全部使っただけよ?」
「……確かに言ったけどさ。姫さんとは正々堂々と試合したいんだけど?」
「そんなのうけてたつはずもないわよ!」
「だから、今日……!」
「しない!お山の大将は打ち取ったり!さっさと出ていってくれる?」」
「……はいはい。あとよろしくねぇ!」
そういって、近衛たちに号令をかける。本来なら、混戦のはずなのだが、ウィルの号令で動き始めたので、簡単になぎ倒していく。
「せっかく手に入れた肉体があるのに、連携とか戦略とか……全然だめね?まだ、公都にいたときの方がよかったかしら?」
死屍累々……死んではいないが、近衛をはじめ警備隊も地べたで蹲っている。
「本当……衰え知らずっていうか、いつまで最強でいるつもり?」
「ウィルが私を倒すまで?でも、試合は受けないし、こういうのにも参加しないから、永遠に私が最強でいいんじゃない?」
「……まぁ、それもありだよな。いつまでも、俺の目標であり続ける。あぁ、でも、くっそ……いつかは、倒したい。本気の姫さんを越えたい!」
「待っているわ。たぶん、ウィル、エリック、アデル、リリー、キースがちゃんと連携をとって戦うなら、私は敵わないもの」
「そうじゃなくて、サシで勝ちたいんだよ」
ウィルが呟いた言葉は私にも届く。もちろん、わざと負けるつもりもない。それこそ、ウィルのプライドを傷つけるから。
試合はしないといいつつも、いつか、そんな日がくることを密かに願った。
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