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復活した私は今日もどこかで叱られる
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「んー、よく寝た!」
熱を出した次の日、体をパキパキとしながら、起きる。甲斐甲斐しく世話を妬いてくれたナタリーもジョージアも今は部屋にいない。隅の方で、アデルが剣を抱きながら仮眠を取っていた。そっと近づき、トントンと肩を叩く。
「……アンナ?」
「おはよう。護衛、ありがとう」
「……もう、いいのですか?」
「たぶん……、熱は下がったと思うわ!」
「そうですか……でも、今日は1日ベッドで過ごしてくださいね?ナタリー様に叱られますよ?」
眠いのか、瞼が閉じていくアデル。近くにあった毛布をかけてあげ、私は執務室へと向かった。まだ、誰も来ていない執務室はひんやりと寒い。机の上に溜まった書類を確認していく。
お願いしていたお茶会やナイトとライト兄弟の身請けの話は、すでに進んでいるようで、その報告書があった。私は、一通り読んで、椅子に座る。
ふぅ……と息を吐くと白い。コンコンと遠慮がちに扉がノックされたので、どうぞと入出許可を出す。扉の向こうから現れたのはビルとユービスで、私が執務室にいることに驚いていた。
「アンナリーゼ様!もう大丈夫なのですか?」
「熱は下がったわ!」
「熱が下がっても……こんな寒い場所でいては、また、高熱が出てしまいます。今日は1日ベッドでお休みください!」
「……少しだけ様子を見に来ただけだから、すぐに戻るわ」
「それならいいのですが……高熱を出して寝込んだと聞いて、ビックリしました。ヨハン教授も慌てて来てくれたとか」
「……そう、みたいね?みんなには迷惑をかけたわね?」
「いいえ、滅相もないです。アンナリーゼ様は、少し動きすぎます。もう少し、私たちに頼っていただいたらいいのですが……」
困ったという表情を私に向けてくる二人。言いたいことはわかるので頷いた。
「信用していないわけではないの。私が、動きたいっていうのもあるんだけど……」
「アンナリーゼ様にしかできないことが多すぎるというか、公が頼りすぎているのですよね。我らのアンナリーゼ様なのに……国に取られてばかり」
「ふふっ、私は、この命ある限り、アンバーのものですよ。だから、自由に使ってくれて構わないわ!動けるあいだは、しっかり動くから」
「無理はなさらないでください。私たちにとっても、アンナリーゼ様はお一人です。私たち以上に、アンナリーゼ様を必要としている子どもたちがいるのですから」
「……ありがとう」
話をしているうちに、ユービスが暖炉に火を入れてくれ、部屋が暖まってきた。もうすぐ、みなが集まるのだろう。それにしても、二人が先に来ていたのには、何かあるのだろうか?
持っている大量の資料に視線を送れば、渋々であるが見せてくれるらしい。
「これは?」
「この春にアンナリーゼ様が始めた香水の売上をまとめたものです」
「そうなんだ。売れ行きってどうなの?バタバタしていて、あまり関われていなかったから」
「思ったよりかはという成果ですね」
「爆発的な何かはなかったということね?」
「ありていに言えば。次の季節に向けてということで、売り上げのよかったものを強化してみるか、次なる一手とするのか、相談をしようかと思いまして」
「なるほど……そっか。香水事業はダメだったのね」
「香水より化粧品の販売などはいかがですか?貴族女性をターゲットにするなら、いい機会かと」
「うーん、それは考えていたんだけどね?肌に合う合わないってあるでしょ?」
「えぇ、ありますね?」
「そこを考えると、なかなか手を出しにくい分野でもあるの。専門知識がある人材がいるならまだしも、専門外のものばかりよ」
私は今いる研究員と助手たちを思い浮かべてみた。もしかすると、片手間で研究をしているものがいるかもしれないが、私の耳には入ってきていない。
次か……と考えながら、先日貰って来たアレキサンドライトのクズ石の話に変える。
「そういえば、ティアに預けたのってどうなったかしら?」
「アレキサンドライトですか?」
「そう。あの石はまだ、世に出ていないものだから、今年の目玉になるかな?と思っていたけど……使えそう?」
「ティアが加工しています。小さな石を集めて指輪にしたり、アンナリーゼ様がつけていらっしゃるそのルビーの薔薇のピアスのようなものを作ってみたりと、試行錯誤しておりますよ。アンナリーゼ様がおっしゃるとおり、あの石は、宣伝さえあれば、売れるかと」
「よかった。大量に仕入れたから……在庫にならなければいいわ」
「他にもアメジストなどもありますから、今年は花のブローチをメインに作っていると聞いています」
「なるほど。ブローチか。今度、持ってきてくれる?次の始まりの夜会用に豪華なものではなくて……」
「わかっています。アレキサンドライトとアメジストを使ったブローチをご用意します。ナタリー様にもそのように伝えておきますね?」
「えぇ、新しい布や加工方法を仕入れてきているから、今年も素敵なドレスが出来上がる予定よ!」
それは楽しみだと二人も頬を緩めた。大店の店主としてやってきた二人も、ナタリーのドレスはいつも楽しみにしているらしい。
本当に、ナタリーの天職みたいねと思わず笑みが出た。
熱を出した次の日、体をパキパキとしながら、起きる。甲斐甲斐しく世話を妬いてくれたナタリーもジョージアも今は部屋にいない。隅の方で、アデルが剣を抱きながら仮眠を取っていた。そっと近づき、トントンと肩を叩く。
「……アンナ?」
「おはよう。護衛、ありがとう」
「……もう、いいのですか?」
「たぶん……、熱は下がったと思うわ!」
「そうですか……でも、今日は1日ベッドで過ごしてくださいね?ナタリー様に叱られますよ?」
眠いのか、瞼が閉じていくアデル。近くにあった毛布をかけてあげ、私は執務室へと向かった。まだ、誰も来ていない執務室はひんやりと寒い。机の上に溜まった書類を確認していく。
お願いしていたお茶会やナイトとライト兄弟の身請けの話は、すでに進んでいるようで、その報告書があった。私は、一通り読んで、椅子に座る。
ふぅ……と息を吐くと白い。コンコンと遠慮がちに扉がノックされたので、どうぞと入出許可を出す。扉の向こうから現れたのはビルとユービスで、私が執務室にいることに驚いていた。
「アンナリーゼ様!もう大丈夫なのですか?」
「熱は下がったわ!」
「熱が下がっても……こんな寒い場所でいては、また、高熱が出てしまいます。今日は1日ベッドでお休みください!」
「……少しだけ様子を見に来ただけだから、すぐに戻るわ」
「それならいいのですが……高熱を出して寝込んだと聞いて、ビックリしました。ヨハン教授も慌てて来てくれたとか」
「……そう、みたいね?みんなには迷惑をかけたわね?」
「いいえ、滅相もないです。アンナリーゼ様は、少し動きすぎます。もう少し、私たちに頼っていただいたらいいのですが……」
困ったという表情を私に向けてくる二人。言いたいことはわかるので頷いた。
「信用していないわけではないの。私が、動きたいっていうのもあるんだけど……」
「アンナリーゼ様にしかできないことが多すぎるというか、公が頼りすぎているのですよね。我らのアンナリーゼ様なのに……国に取られてばかり」
「ふふっ、私は、この命ある限り、アンバーのものですよ。だから、自由に使ってくれて構わないわ!動けるあいだは、しっかり動くから」
「無理はなさらないでください。私たちにとっても、アンナリーゼ様はお一人です。私たち以上に、アンナリーゼ様を必要としている子どもたちがいるのですから」
「……ありがとう」
話をしているうちに、ユービスが暖炉に火を入れてくれ、部屋が暖まってきた。もうすぐ、みなが集まるのだろう。それにしても、二人が先に来ていたのには、何かあるのだろうか?
持っている大量の資料に視線を送れば、渋々であるが見せてくれるらしい。
「これは?」
「この春にアンナリーゼ様が始めた香水の売上をまとめたものです」
「そうなんだ。売れ行きってどうなの?バタバタしていて、あまり関われていなかったから」
「思ったよりかはという成果ですね」
「爆発的な何かはなかったということね?」
「ありていに言えば。次の季節に向けてということで、売り上げのよかったものを強化してみるか、次なる一手とするのか、相談をしようかと思いまして」
「なるほど……そっか。香水事業はダメだったのね」
「香水より化粧品の販売などはいかがですか?貴族女性をターゲットにするなら、いい機会かと」
「うーん、それは考えていたんだけどね?肌に合う合わないってあるでしょ?」
「えぇ、ありますね?」
「そこを考えると、なかなか手を出しにくい分野でもあるの。専門知識がある人材がいるならまだしも、専門外のものばかりよ」
私は今いる研究員と助手たちを思い浮かべてみた。もしかすると、片手間で研究をしているものがいるかもしれないが、私の耳には入ってきていない。
次か……と考えながら、先日貰って来たアレキサンドライトのクズ石の話に変える。
「そういえば、ティアに預けたのってどうなったかしら?」
「アレキサンドライトですか?」
「そう。あの石はまだ、世に出ていないものだから、今年の目玉になるかな?と思っていたけど……使えそう?」
「ティアが加工しています。小さな石を集めて指輪にしたり、アンナリーゼ様がつけていらっしゃるそのルビーの薔薇のピアスのようなものを作ってみたりと、試行錯誤しておりますよ。アンナリーゼ様がおっしゃるとおり、あの石は、宣伝さえあれば、売れるかと」
「よかった。大量に仕入れたから……在庫にならなければいいわ」
「他にもアメジストなどもありますから、今年は花のブローチをメインに作っていると聞いています」
「なるほど。ブローチか。今度、持ってきてくれる?次の始まりの夜会用に豪華なものではなくて……」
「わかっています。アレキサンドライトとアメジストを使ったブローチをご用意します。ナタリー様にもそのように伝えておきますね?」
「えぇ、新しい布や加工方法を仕入れてきているから、今年も素敵なドレスが出来上がる予定よ!」
それは楽しみだと二人も頬を緩めた。大店の店主としてやってきた二人も、ナタリーのドレスはいつも楽しみにしているらしい。
本当に、ナタリーの天職みたいねと思わず笑みが出た。
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